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【遠藤イヅルの名車カタログ】第46回 カワサキ・KR250
- おすすめコラム
- 2018.02.24
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は「カワサキKR250」のご紹介です。2ストレプリカ時代において、独創的なエンジンをまとい満を持して発売されましたが、結果は出遅れマイナー車。しかしそのお陰で今や希少な名車になりました。
■カワサキ・KR250(型式:KR250A) ■エンジン:水冷2サイクル直列2気筒249cc
■最高出力:45 ps/10,000 rpm ■最大トルク:最大トルク:3.7kg-m/8,000rpm
カワサキ・KR250は1984年に登場した2ストのレーサーレプリカで
その名称「KR」は1970年代末から1980年代初頭に
GP250クラスを4年連続で制覇した
「KR250」「KR350」から取られていた。
これらのレーサーモデルの特徴は「タンデムツイン」と呼ばれた
水冷直列2気筒エンジンを採用していたことだった。
バイクの直2エンジンは通常左右方向にシリンダーが配置されるが、
タンデムツインはバイクの2名乗車=タンデム同様に
前後方向にシリンダーを並べるという特異な設計で、
エンジン幅を単気筒並にすることができたため
ボディ幅の削減に寄与していた。
KR250はレーサーのエンジンをそのまま積んでいたわけではなかったが、
そのノウハウは名前を引き継いだ“量産版KR250”に
惜しみなく投入されていた。
最高出力は45psと同時期のの2ストスポーツバイクだった
ヤマハ・RZ250RR、スズキ・RG250ガンマと並ぶ
(馬力規制)ものだったが、
ロータリーディスクバルブによる低速から粘るエンジン、
軽量で剛性の高いフレーム、スリムなボディ、
減衰力調整ができた前後サスなどにより
KR250は優れたパフォーマンスを誇っていた。
KR250が発売された当時、
バイクはレーサーレプリカモデルの黎明期に当たっていた。
前述のヤマハ・RZ250RR、スズキ・RG250ガンマなどは
見た目もレーサーを「レプリカ」していただけあって
市場でも大きな反響を得ていた。
しかしKR250は、当時カワサキが
「アンチレーサーレプリカ」という姿勢を貫いていた意地からか
レーサーレプリカ“風”のエクステリアにとどまっていたこと、
発売前年の1983年にKR250が実戦から引退していて
イメージが直結しなかったことから販売は低迷してしまった。
メカニズムは最新技術満載のレーサーレプリカという本格派だっただけに
実に惜しい話である。
現在では逆にその希少性と
無骨とも言えるデザイン、カワサキイズムの具現とも言えるような
そのキャラクターから再評価されて、人気を博している。