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【遠藤イヅルの名車カタログ】第50回 スズキ・GT380
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- 2018.04.29
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、スズキ2ストの歴史を語る上で代表的なモデルである「GT380」のご紹介です。「サンパチ」の愛称は今でも語り継がれていますね。静岡県浜松市にあるスズキ歴史館にも展示があるようです。
■スズキ・GT380 ■エンジン:空冷2スト・ピストンバルブ並列3気筒
■最高出力:38ps(28.0 kw)/7500rpm ■最大トルク:3.8kg・m(37.3N・m)/6500rpm
「名車カタログ」の連載もいよいよ50回を迎えることになった。
そこで今回は、日本を代表する名車にその名が入ることが多い
「スズキ・GT380」をお送りしたい。
4ストモデルを一切持たなかったスズキが
1970年代初頭に展開した2ストの「GTシリーズ」は、
3気筒の「GT750(水冷)」「GT550(空冷)」、「GT380(空冷)」、
2気筒の「GT250」、「GT185」、「GT125」、
そしてシングルの「GT100」という驚異的な
ワイドバリエーションを誇った。
GT380は1972年に登場した3気筒モデルの最小版で、
一般的な冷却フィンを持つエンジンの
40%アップの冷却風導風を実現した「ラムエア・システム」や
分離潤滑のメカニズム「CCI」など、2ストにこだわり抜いた
スズキらしい独創的な技術で溢れていた。
ライバルはカワサキ・マッハ(350SS)、ヤマハ・RD350などで、
これらは性能の高さやコーナリング性能の高さを
押し出したモデルたちだったが、
GT380はどちらかというと乗りやすさが重視され、
エンジン特性もフラット&マイルド。
操縦性も軽快さと安定感を兼ね揃えていた。
だがいざアクセルを開ければ
エンジンは極めてスムーズに回転数を上げていき、
抜群の加速力を見せてくれる。
低回転からトルクに溢れていたこともあり、
ライバルたちにも決してひけは取らなかった。
エコロジーが叫ばれる現在では考えられない
380ccという大きめの排気量の2ストエンジン、
当時は少ないと言われたものの
今の視点から見ると盛大に吐き出される白い排気、
2ストならではの強烈な加速、
官能的とも言えるサウンド、
焼けたオイルの匂いなどの五感に訴える「感覚」、
そして2スト3気筒で4本出しマフラーという
「くすぐるスペック」などのすべてが
現在もなおGT380の神話性を盛り上げる。
それにしてもこんなハード(今見ると)なバイクが
かつては中型2輪の教習車だった時代があったとは…。