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【遠藤イヅルの名車カタログ】第54回 ノートン・コマンド
- おすすめコラム
- 2018.06.29
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、英国の老舗メーカーであるノートン・モーターサイクル社の中から、「ノートン・コマンド750」のご紹介です。
■ノートン・コマンドー750
英国の名門バイクメーカーとして名高いノートンは、
創業は19世紀末の1898年とたいへんに古い。
バーミンガムで自転車メーカーとして名乗りを上げたが、
1902年にはプジョー製エンジンを搭載したバイクを作り、
早くも1907年には第1回マン島TTレースに出場。
しかも優勝するという快挙を遂げた。
その後1954年までにノートンは合計10勝を挙げている。
500ccシングルのES2シリーズで名を馳せた戦前のノートンは
戦後になってバーチカルツインエンジンを積んだ
「ドミネーター」シリーズを発売。
また、アメリカでの販売に向けてAJS/マチレスのフレームに
ドミネーターのエンジンを積んだ
「アトラス」シリーズを登場させるなど
バリエーションを拡大していった。
アトラスはアメリカで好評となり、
それを大きく発展させた「コマンドー750」が1968年に発売された。
「フェザーヘッドフレーム」と呼ばれたノートンの名物フレームから
ビッグツインエンジンの振動を抑える「アイソラスティック・フレーム」に
圧縮比を高めた750ccパラレルツインを搭載。
マーク1と呼ばれる初期モデルは
「ファストバック」と称された独特のFRP製リアカウルを持ち、
それまでのノートンのクラシカルなバイクのイメージを大きく変えた。
1969年にはアップマフラーとしたスクランブラー仕様の「750S」、
先進的な姿からトラディショナルな形態に戻した
「750インターステーツ」など
コマンドーは矢継ぎ早にバリエーションを展開。
1973年にエンジンをボアアップして850ccとした
コマンドー850系に進化して1977年まで生産が行われた。
コマンドーは一定の成功を得たものの
日本製バイクの台頭でノートンの経営は
他の英国製バイクメーカーと同じく悪化してしまったために
BSAを傘下に置いていたトライアンフと1973年に合併して
ノートン・ビリヤーズ・トライアンフを設立する。
しかしこちらも業績は芳しくなく1977年に倒産してしまった。
その後幾度か名前が復活しては消えていったノートンだが、
現在もなお伝統のロゴとコマンドーの名を冠した
2気筒モデルを発売。
英国製バイクの伝統を今に伝えている。