他カテゴリ記事を絞り込んで探す
【遠藤イヅルの珍車カタログ】第54回 ハインケル・ツーリスト
- おすすめコラム
- 2018.07.08
毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の珍車は、ドイツの航空機メーカーが製造した「ハインケル・ツーリスト」のご紹介です。初めて聞くバイク名でした。世界には色々なバイクがあるものなんですね。デザインも車名もドイツっぽい。

■ハインケル・ツーリスト ■エンジン:空冷4ストローク単気筒OHV174cm³
第二次世界大戦中にHe111など数々の名機を生み出した航空機メーカー
「ハインケル」が、戦後の1953年から1965年まで製造していた
スクーターが「ツーリスト」です。
敗戦国となった日本では、GHQが航空機メーカーに
航空機の製造禁止を言い渡したことで
中島飛行機の系譜を持つ富士産業はラビットを、
そして三菱(のうち中日本重工業)はシルバーピジョンを発売したように
ハインケルもまた航空機に手を出すことを禁じられたことから
自転車やバブルカーと呼ばれる小さなクルマ、
そしてスクーターの製造開発を行いました。
大柄な車体を持ったツーリストは、
その名の通りツーリングにも使用できるような
快適で速いスクーターとして10万台以上が製造され、
イギリスやアメリカでも人気を博しました。
登場時の重量は約130kg近くもありましたが、
それがむしろ走行安定性につながっていました。
様々なオプションをつけて自分好みにカスタマイズできることも
ツーリストの魅力の一つでした。
エンジンは最初期型のみ149cc、以降製造中止になるまでは
174ccの4スト単気筒OHVエンジンが搭載され、
後者では9psを発生。2名乗車でも90km/h以上を
出すことができました。
なおハインケルはその後、
1965年に会社自体がVFW社に吸収されて
消滅しています。