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【遠藤イヅルの名車カタログ】 第73回 ホンダ・NS250R(MC11)

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  • 2019.04.21

毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、2サイクルスポーツ、NSRシリーズの前身となる「NS250R」のご紹介です。 当時、サイドカバーにある「ATAC:アタック」って何?と思った記憶があります。オートコントロールド・トルク・アンプリフィケーション・チャンバーの略でした。

■ホンダ・NS250R(MC11) ■エンジン:水冷2サイクルV型2気筒249㎠

■最大出力:45ps/9500rpm ■最大トルク:3.6kg-m/8500rpm


1980年代前半に巻き起こった250ccクラスのパワーウォーズ。

ヤマハ・RZ250が35psを出すと

ホンダはVT250Fで追いついただけでなく、

さらに2ストのMVX250Fでは40psに到達。

負けじとヤマハもRZ250Rで43psと巻き返せば、

スズキはRG250ガンマに45psというパワーを与えてきた。


このパワーウォーズに参戦すべく用意された

ホンダの2ストスポーツバイクは、1983年に登場したMVX250Fだった。

扱いやすさも兼ね揃えた2気筒V3というパワーユニットで注目されたが、

RG250ガンマのようなレーシーさが足りず、販売は大きく苦戦した。


そこでホンダは1984年、MVX250Fに見切りをつけ

「NS250R」を市場に送り出してきた。


レーサーのRS250Rと連携して開発されたことで

まさにレーサーレプリカに変貌したNS250Rのエンジンは

MVX250FのV3からVツインに変更。

シリンダー(NSシリンダー)、トランスミッションなど

RS250Rの部品もいくつか共用している。

最高出力はついに45psを実現した。


パワー競争と同時に「レーサーレプリカ」の芽も萌芽し始めていた頃なので、

ライバルのRG250ガンマ、ヤマハRZ250RR同様フルフェアリングを採用し

レーシーなイメージを得ることに成功した。

Vツイン化したことでエンジン幅が狭くなり、前面投影面積も減少したため、

スリークなフォルムも獲得している。


また、NS250Rからフェアリングを取り払ってネイキッドスタイルにした

「NS250F」もラインナップされていた。

NS250Rのアルミフレームをスチール製に置き換えることで、

こちらは11万円安く提供された。


1986年にはNSR250R(MC16)にモデルチェンジし、

以降、「ホンダの2ストレーサーレプリカはNSR」という

イメージが定着していった。

しかしそのNSR250Rも4代目を最後に、1999年に製造が中止された。


あれから早くも20年が経とうとしていることに、驚きを隠せない。

制作・協力

(イラスト・文)遠藤イヅル

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