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【遠藤イヅルの名車カタログ】 第74回 カワサキ・ZXR400
- おすすめコラム
- 2019.05.06
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、カワサキ400ccクラスのレーサーレプリカとして登場した「ZXR400」のご紹介です。当時のレプリカブームの中では後発だったにも関わらず、毎年改良を重ね、1990年の全日本レースでは優勝を果たしています。
■カワサキ・ZXR400 ■エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒398㎠
■最大出力:59ps/12000rpm ■最大トルク:4.0kg-m/10000rpm
このコーナーの第36回では、
1988年デビューのバイク、「カワサキ・ZX−4」をお送りした。
ZX−4は、カワサキ初の400ccクラスレーサーレプリカだった。
新開発の水冷直4DOHC16バルブエンジン、
フレームもアルミツインチューブ式「e-BOX-FRAME」を採用するなど、
新機軸を数多く投入した意欲的なバイクで、
ZX−4のワークスモデル「ZXR−4」は、
1988年の鈴鹿4耐のSPクラスで優勝を果たして
F3レース参戦という開発目標を達成していた。
しかし、ZX−4の登場からわずか1年後の1989年。
ZX−4のフルモデルチェンジ版、
さらにはZXR−4のレーサーレプリカでもある「ZXR−400」が現れた。
レーサーレプリカとしては少しおとなしかったZX−4の外観は、
ZXR400ではレーサーらしいスタイルに寄せており、
「カワサキはレーサーレプリカに否定的」という印象を払拭した。
エンジンはZX−4から継承されたが、キャブレターの大径化、
カウル裏から伸びたチューブによりシリンダーヘッドを冷却する
K-CAS(カワサキ・クール・エア・システム)の採用、
ピストン、燃焼室、圧縮比の変更など細かなチューニングが施された。
馬力、トルクの数値に大きな変更は見られないが、
レースでの使用を考慮した性格となっていた。
フロントサスには贅沢にも倒立フォークがおごられ、
リアのスイングアームはアルミ鍛造製に。
ブレーキもフロントに4ポッドキャリパーを採用するなど
レーサーレプリカとして十分以上の装備も与えられていた。
さらに、6速ミッションのギア比を変更、
FRP製のシングルシートを持ち車重が3kg減らされた
スポーツプロダクション仕様の「ZXR400R」も追加された。
デビュー時は「H1」だったZXR400は、
1990年にさらに改良が行われて「H2」となり、
翌年にはフルモデルチェンジして「L1」に。
最終的には「L9」まで進化し、2000年に生産を終了している。
なお、イラストは1989年式のZXR400R(H1)である。