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【遠藤イヅルの名車カタログ】 第78回 ヤマハ・スポーツGX750(1976)
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- 2019.06.30
毎週イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の名車は、1976年当時、斬新な3気筒エンジンを搭載した「ヤマハ・GX750」のご紹介です。現代ではMT-09が3気筒エンジンで発売されていますが、3気筒フィールってどんな感じ?どんなメリット?‥、何はともあれ一度MT-09に乗ってみたくなりました。
■ヤマハ・スポーツGX750 ■エンジン:空冷並列3気筒DOHC747㎠
■最大出力:66ps/8000rpm ■最大トルク:6.3kg-m/6500rpm
かつてヤマハは“2スト”のイメージが強かったが、
1970年代に入って初の4ストバイク「650XS1」を発売。
1972年に「TX750」、翌年に「TX500」、
1977年には「GX250/GX400」を登場させ、
4ストバイクのラインナップを着々と増強していった。
その最中の1976年。ヤマハはTX750に次ぐ750ccクラスの4ストバイク、
「GX750」を発表した。
ヤマハが送り出したこのナナハンスーパースポーツの特徴は、
直3 SOHC、2バルブDOHCエンジン
+シャフトドライブという変則的なパワートレーンにあった。
TX750の2気筒、ホンダ・CB750のような直4ではなく、
直3という変則的なレイアウトを採用した理由は、
エンジン幅を抑えるとともに、軽量・コンパクト化も実現、
さらにアメリカ市場で販売するための
「4気筒とは違う目新しさ」を出すためだった。
3気筒では避けられない振動問題は、
シリンダー間隔を短く、エンジンマウント方法を見直すなど
様々な技術で克服している。
一方、シャフトドライブの採用は欧州市場からの要請だったが
この頃ヤマハでは経験がなく、
西ドイツのゲトラク社から購入して使用していた。
1977年には改良が行われ、3in1の1本出しマフラーは左右2本、
点火系がフルトラに。
燃焼室形状変更なども行って最高出力は7psアップの67psとなり、
ようやくライバルにパワー面で追いつくことができた。
しかし「4気筒じゃない」という個性は逆に仇となり、
ヤマハの大型バイクは1980年の「XJ650スペシャル」で直4へ、
翌年にはGX750の後継として登場したナナハン「XJ750E」も
直4エンジンを搭載することに。
こうしてオリジナリティ溢れていたヤマハの4スト直3エンジンは、
その短い生涯を終えることになったが、
それからずっと後の2014年になってデビューした「MT−09」では
ヤマハの3気筒が復活している。
イラストではマフラーが2本出しになった仕様を描いた。