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鈴鹿8耐の現場で、水素エンジン実走!
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- 2024.07.26
鈴鹿サーキットで世界初披露となった「水素エンジンモーターサイクル」について紹介します!
2023年12月に公開された水素エンジンモーターサイクルが、2024年7月20日(土)、鈴鹿8時間耐久レース開催を前にした鈴鹿サーキットで、観衆の見守る中、ついに世界初披露し、さらにその実走までもが公開されました。
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マルチパスウェイでさまざまな技術にトライするなかで水素を燃やす、というところでの挑戦
ロードレースファンにとって、夏の一大イベントとなる鈴鹿8時間耐久ロードレース(通称:鈴鹿8耐)のシーズンがやってきました。この第45回大会本戦を前にした、2024年7月20日(土)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットでは、カワサキモータースが、既存のエンジンをリファインした形で搭載し、燃料として水素を燃やして走行する「水素エンジンモーターサイクル」の走行を世界初公開しました。
「Kawasaki Ninja H2 SX」をベースとしたこのバイクは、昨年末に一部では公開されていたものの、一般公開は今回が初めて。そしてその走行シーンを公開するのも今回が初の試みとなります。エンジン自体はH2に搭載する998cc直列4気筒スーパーチャージドエンジンに、水素を筒内に直接噴射し燃焼させることになります。すでにこのエンジンを搭載したバギーが2022年9月のスーパー耐久シリーズの現場でお披露目はされていましたが、これがモーターサイクルに乗った姿を公開するのは今回が初めてのこととなりました。
開発メンバーによってコースに運び込まれたこの車両、正式な名称はなく「水素エンジンモーターサイクル」と呼ぶしかないのだそうですが、この車両をホームストレートに置き、メディア向けに撮影の時間を設けたのち、テストライダーの手により、実際にコースを周回いたしました。しっかり走ることを見せるということで、イメージするよりも低速で極めて慎重に、そしてライダーは場内の観客に向けて手を振りながらの走行となりました。
車両後部にある水素タンクカバーには大きく「ハイス(HySE)」のロゴが描かれております。この水素エンジン車両がお披露目されて実走するということは、昨年設立した技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合「HySE」の活動ともいえるもので、今回のこの発表についてもハイス参加各社にも事前に伝えたうえでの発表となったということです。
水素エンジンとしてはその燃焼の性格から既存のエンジンとは別の、水素ならではのエンジンの設計もあるのでしょうが、燃料を変えても既存のエンジンをそのまま使用できることも環境負荷の低減にもつながるということで、これを今回実証した形でもあります。水素を燃料に電動化するために純水素を使用しなければならない燃料電池車に比べ、水素エンジンならばバイオマス由来の水素などほかの燃料の選択肢ができる、ともしています。
まだ開発中であることや、さまざまな規制がある中で2輪車に対する規制緩和もまだまだ道半ばということもあってか、この「水素エンジンモーターサイクル」のスペックで現在のところ紹介できるものは少ないということです。現時点ではやはり車両後部に積まれたタンクは不格好ですし、その充填についても、水素自体をカセットのように交換することも可能性としてはありでしょうし、次に発表されるとしたら、もっと現実化した形でもっとスマートな車両としてお披露目されることに期待したいですね。ちなみにこの水素エンジンモーターサイクル、カワサキとしては2030年頃には実用化を目指すとしております。
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車両詳細
スーパーチャージャーで空気をより多く送り込むことができることもあってこのH2のエンジンが採用されています。
エンジンはコモンレール直噴式となります。各気筒につながっているこの青い部品とインジェクターが唯一の変更点。
車両後部にあるのが、水素タンク。燃料電池車のトヨタ・ミライで使用されているタンクのうち一番小さいものを2基搭載しています。
車両後部のタンクの間には充填口も見えます。ちなみに2つの70MPaタンクで2㎏搭載し、航続距離は100km以上となります。
まだ試作段階のもので、仕様スペックもまだまだ未確定というところですが、頑丈に作られた70MPaタンクの重量はそうとうに重いはず。
気になるのが既存のガソリンタンク部分ですが、このタンク部分については「中身は空っぽ」ということです。
カワサキモータース水素プロジェクト担当兼川崎重工業執行役員の松田義基さん、カワサキモータース先行開発部長の市 聡顕さんと担当ライダーの方がホームストレート上で水素エンジンバイクとともに写真に納まりました。
記者会見には、走行初披露の場に立ち会った松田さん、市さんとともに、川崎重工業水素戦略本部の山本 滋執行役員も同席して行われました。
■文・撮影:青山義明 ■写真提供:カワサキモータースジャパン