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スウェーデンのスマートアドベンチャー 【ハスクバーナ ノーデン 901】

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  • 2022.05.06

今回は「ハスクバーナ ノーデン 901」をご紹介します!

各社の最新技術を満載するカテゴリーへと成長し、それをアピールするかのような先鋭的ルックスをしていることが多い「アドベンチャーモデル」群の中で、スウェーデン発祥のハスクバーナはお洒落にまとめてきた。丸ライトやシックなカラーリングで大人のライダーに提案するNorden 901に試乗する。

 

【目次】

1.北欧イメージを鮮明に

2.元気なエンジンと落ち着いた車体

3.スマートに、そして時にはアクティブに。

 

 

  • 北欧イメージを鮮明に

 極寒の山間部で行われた試乗会では雪も降ってきて、「北」を意味するNorden を試乗するには最良の場所に思えた。横殴りの風に混じる粉雪の中、左右のフォグライトを光らせてたたずむNorden 901の姿は、まさに北欧をアドベンチャーしている気分にさせる。灼熱の砂漠を全開全開また全開で走り抜けるラリーレイドとは違った、凍った大地を粛々と走り続けるような、そんなイメージが落ち着いたデザインから伝わってきたのだ。

 かなりのイメージチェンジをしているものの、Norden 901 はKTMの890アドベンチャーの兄弟モデル。21インチのフロントホイールにブロックタイヤを履き、しかしダウンフェンダーとするなど、素の890アドベンチャーと、890アドベンチャー「R」との中間、といったイメージだろうか。105馬力のパラツインエンジンをクロモリフレームに積み、19Lと大容量のタンクを搭載しつつ、重量は204kgに抑えたナイスバランスなアドベンチャーモデルと言えるだろう。

 

落ち着いたルックスは今や珍しくなった丸ライトによるところも大きい。左右の小さなフォグランプは純正装着。カラーリングもグレーにイエローの差し色と、そしてタンクには地図の等高線のような模様が描かれ旅心を誘う。ポジションはとてもナチュラルなもので、特にローシート位置では重心が低く安心感が高い。

 

  • 元気なエンジンと落ち着いた車体

 跨ると2段階に調整できるシートのうちローシート位置でも854mmあるため、一般的日本人にとって足着きはさほどよいとは言えない。が、ハンドル位置との関係かリアサスの初期沈み込みが大きいからか、なんともリラックスしたポジションをとらせてくれる。軽いクラッチや大きなハンドル切れ角のおかげで取り回しは良好、見た目は大きいものの実際に操作すると900ccクラスを感じさせない気軽さがあった。

 

 アクセル開け始めはいくらかファジーで最初はタコメーターを注視する必要があった。クラッチを繋いでからも、優しい車体から想像する程豊かな低速トルクは発揮せず、エンジンの性格は「Ready to Race」のKTMらしいものですぐに高回転域へと誘う。回転上昇にフリクション感が少なく、軽いクランクで一気にフケて行く印象が強い。これはのんびりした乗車姿勢のまま元気なエンジンを楽しめるということで、ブロックタイヤであることも忘れてついつい元気に、積極的に走ってしまっていた。

 元気な味付けとはいえ、巡航速度を維持することも苦手ではなく、試乗現場で流れていたイメージ映像のように淡々と北の大地を走り続けることも(クルーズコントロールの装備もあり)得意だろう。シュラウドとカウルが一体となっていることで防風性も高く感じ、エンジン左右に燃料タンクが振り分けられたことで低重心となっている車体もこれを助ける。エンジンだけはアクティブなのに対し、車体は落ち着いておりいかに長距離を走り抜けるかを考えて作り込まれているのだ。

 

 

ハイシート位置とオフロード

 各種の電子制御により、ライディングモードも数種用意され、切り替えることでより元気なエンジンキャラクターや、雨天用のキャラクターなど選ぶことができる。しかしこの切り替えよりもさらにバイク全体のキャラクターを変えて見せたのはハイシート位置にした時の操作性だ。

シート高874mmはなかなか高いが、この位置にするとハンドルとの位置関係や、バイクの重心位置とライダーの重心位置の関係性からか、途端にシャキッとして積極的な操作性となる。今までのノンビリした印象はアクティブなものに代わり、オンロードもオフロードも高回転域を使いながら目いっぱい楽しんでしまった。着座位置一つでこれほどまで性格が変わるのは、オートバイって面白いものだな、などと改めて感じさせられた。

 なおオフロードにおいては、ブロックタイヤや優秀なトラクションコントロール設定をもつオフロードモードのおかげで、フラットダート路においては自在にテールを流して楽しむことができた。ただオフロードもこなせるとはいえ、200kgを超える車重と170万円を超える価格を考えるとあまり無理はしたくない。

 

  • スマートに、そして時にはアクティブに。そんなあなたにフィットする。

 プリミティブなブランドであり、かつあまり見ないというレアさ、それに加え落ち着いたスタイリングやカラーから、これはやはり落ち着いた大人に向けた車両に思える。400kmを超える航続距離を持つことや、良好な積載性を確保するキャリアの純正装着などを考えると、Nordenの名の通り、日本の北の大地、北海道を何日もかけて周りたいような気にさせてくれる。

 それでいてヤル時にはヤれる実力を隠しているのもまた魅力的ではないか。シックな佇まいでありながら「能あるタカは爪を隠す」的なポジションがグッとくるライダーは多いはずだ。

 

落ち着いたルックスは今や珍しくなった丸ライトによるところも大きい。左右の小さなフォグランプは純正装着。カラーリングもグレーにイエローの差し色と、そしてタンクには地図の等高線のような模様が描かれ旅心を誘う。ポジションはとてもナチュラルなもので、特にローシート位置では重心が低く安心感が高い。

 

フロント周り&リア周り

足周りはフロント21インチ、リア18インチとオフロード色が強い設定。いずれもスポーク仕様ながらチューブレスタイヤを装着し、その銘柄はピレリのスコーピオンラリーSTRを採用。ブロック形状が勇ましいが、オンロードもこなしロードノイズも気にならなかった。

 

エンジン&タンク

889ccのパラツインエンジンは105馬力を発揮。低回転トルクよりも回していった時のパワーを重視した設定なのはKTM譲り。ライディングモードはストリート・レイン・オフロードの他にオプションで任意に各種設定を変更できるエクスプローラーモードを備える。エンジン左右のふくらみは左右に振り分けられた樹脂製タンクで、これにより低重心化を達成。接しやすい特性を得るだけでなく、長距離で疲れない性格も追及している。

 

左右ステップ

ブレーキペダルは先端部を付け替えることができ、スタンディングが多い場面などに対応。シフトペダルは先端が折れ曲がるためオフロード路で折ってしまうといったことを避けられる。クイックシフターは標準装備されるが、いくらか敏感で慣れが必要かもしれない。

 

前後サスペンション

前後にWP製サスを装備し、しかも工具なしで調整できる設定。タンデムや重積載時に気軽にプリロードをかけることができるほか、出先でオフロードに出くわした際には逆に抜いてみるといったことを、車載工具を取り出す手間なくできるのはありがたい。

 

メーター

カラーディスプレイはタッチパネルではないものの、左のスイッチボックスの十字キーにて直感的に操作可能。機能が一覧で表示されるため分かりやすいうえ、ボタン操作も難解な長押し設定など無くとても使いやすかった。また様々な好みの情報を表示させることもできれば、逆に最低限の情報に絞ることができる設定もあり、メーターは欲しい情報だけを簡素に表示させたい筆者は特に気に入ったポイントとなった。

 

シート

高さを2段階に変更できるメインのシートは幅もあり快適そのもの。表皮はスウェード調でグリップも良い。広さのあるタンデム部はキャリアと水平のためタンデムも荷物の積載も容易なはずだ。

 

ハンドル

リラックスしたポジションと十分なハンドル切れ角も大きな魅力。ハンドルは前後6ポジションに変更できるため、シート位置と合わせてベストを探ると良いだろう。左のスイッチボックスの使いやすさは特筆ものであったし、フォグランプは独立したスイッチでとても使いやすく、またタンデムや重積載時には気軽にヘッドライトの光軸調整ができるようメーター横にダイヤルがついているのも実用的かつシンプルで好印象だった。

 

制作・協力

■東京エディターズ

 

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