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【遠藤イヅルの名車カタログ】第99回 スズキ・GT750
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- 2020.05.10
毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の名車は、国産初の水冷2スト3気筒エンジンを提げて登場した「スズキ・GT750」のご紹介です。
■スズキ・GT750 ■エンジン:2ストローク並列3気筒
■最大出力:67ps/6,500rpm ■最大トルク : 7.8kg-m/5,500rpm
1960年代のスズキは小排気量モデルが多く、最大でも500ccだった。
そんな中、1971年に750ccバイク市場にもお得意の2ストで参戦。
これまでに類のない、国産初の水冷2スト3気筒エンジンを提げて登場した。
排気量738ccの3気筒エンジンからは、最高出力67psを発生。
214kgという巨体を185km/hまで引っ張った。
大型排気量、水冷、3気筒の2ストエンジンは、同社ではすでに
1966年から乗用車(フロンテ800)で実現していた。
当時のスズキでは、2スト3気筒は
4スト車では6気筒に相当するバランスがあり、トルクの変動も少ないことや、
多気筒による実用回転域が広くなり、振動が少ないことをアピールしていた。
3気筒で4本生えるマフラーは、中央シリンダーからの2本出し。
これによって低速域での出力特性を向上させた、と謳っていた。
丸っこい造形の大きなラジエターも、GT750の特徴的な外観を生んでいる。
北米では、水冷エンジンをもじって
「水牛=ウォーター・バッファロー」と呼ばれ親しまれたほか、
特撮番組「仮面ライダーV3」で風見志郎が乗り、
漫画「ワイルド7」ではユキの愛車に、
実写版「ワイルド7」ではメンバーのバイクがほぼGT750だった……など、
数多くの作品に登場したことも印象に残る。
1971年のリリース後は、カラーグラフィックの変更、
フロントブレーキのダブルディスク化、
キャブレターやラジエターグリルの変更、
タンク・サイドカバーのデザイン変更などを細かく行なっている。
性能的にも最高出力が70psまでアップしていた。
GT750はフルモデルチェンジしないまま、
後を空冷4スト4気筒の「GS750」に譲り、1977年に製造が終えている。
現在でもなお高い人気を誇り、
多くのファンに愛されていることは言うまでもない。