他カテゴリ記事を絞り込んで探す

意外に難しいFSWミニろくシリーズチャンピオンへの道

  • おすすめコラム
  • 2025.01.17

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.185。2024年12月15日の大林道路杯2024FSWミニろくショートサーキット戦のレポートです!

2024年シーズンは全6戦となったFSWミニろく。2024年12月15日の大林道路杯2024FSWミニろくショートサーキット戦が最終戦となった。終わってみれば歴戦の勇者ともいえる老舗チームが各クラスの上位を占める結果となったが、FSWミニろくの楽しみ方はそれだけではない。耐久シリーズ戦だからこそのシリーズチャンピオンを獲得するという面白味もあるのです。

 

1. SC多発!?とにかく寒かった第6戦

2. 見事!シリーズチャンピオンを獲得

3. いつも全力を出し切っているつもりですが…

 

  • 1.SC多発!?とにかく寒かった第6戦

例年、寒い寒いと嘆きの声が上がる最終戦。2024年は寒暖の差が激しかったというか、12月15日の冬晴れショートサーキットは、過去一番の寒さだったように思います。僕はカワサキプラザ山梨のライダーを務めつつ、放送席より実況解説者として参加させていただきました。朝7時台の路面温度から、スタート直後の転倒多発を予想していましたが、結果的には約1時間毎にSC(セーフティカー)がコースインする荒れ模様。老舗チーム、有力ライダーチームもコースアウトやクラッシュを喫していたことから、トラックコンディションだけがその理由とは考えにくかったです。みんな熱くなり過ぎた?そんな風に思える最終戦でした。

 

スタート前のブリーフィングはピットロードで行なわれました。本戦でのポイントは、ピットイン義務回数が12回あったこと。単純計算で30分走行毎にピットインすることになります。これが各チームの作戦にどんな影響をもたらしたのか?機会があればぜひ聞いてみたいところです。

 

9時30分のスタート直後からクラッシュ→SC導入、解除後はSCラインが引いてあるところまで追い越し禁止ですが、ルールを把握しておらずペナルティを食らうチームも!ショートサーキット戦は1周のラップタイムが30秒~50秒台なので、1回のペナルティが結果に大きく影響します。トラック上は、ミニろく名物ともいえる異種格闘技戦状態です。

 

FSWミニろくは、2スト50㏄から4スト150㏄(指定車両に限る)まで、車格やパワーの異なるマシンが混走するため、スーパーGT(4輪)の500/300クラスのような接触しないための譲り合うテクニックが重要だったりします。抜かれる側は走っているラインを急激に変えない&急減速をしないのが鉄則、抜く側は接触やクラッシュを誘発しないように走行ラインを変えて一気に抜き去ります。実はこのあたりの「勘所」が難しく、耐久レースならではの紳士協定みたいなものだと思います。

 

FSWミニろくではパドックで調理OK(プロパンガスは使用禁止)よって、寒い時は煮物やカップラーメン等でエネルギー補給するチームが増えます。FSWミニろくが始まったころは和気あいあいと賑わい、パドック飯にも力を入れている様子をよく目にしましたが、コロナ禍以降はレーシングチーム然としたパドック模様となっています。

 

  • 2.見事!シリーズチャンピオンを獲得

FSWミニろくは耐久レースシリーズ選手権です。1戦毎に一喜一憂するもよし、年間を通してチーム運営、シリーズチャンピオンを狙うもよし。人気のあるレースはレーシングコース(フルコース)戦となり、このレースにだけ参戦する海外チームもあるくらいです。しかし、レースの栄誉という意味では、シリーズチャンピオンを獲得することが単発優勝よりも価値あり。まぐれでは到底獲得できず、チーム運営の上手さと結束力、アベレージの高い速さが求められます。僕自身、2013年&2014年のアジアンクラスシリーズチャンピオンを監督として獲得していますが、当時はチームのモチベーション維持とマシンの性能維持、獲得ポイントの計算でストレスに押しつぶされそうでした。だからこそ知っている耐久シリーズ戦の難しさ。各クラスのシリーズチャンピオンを獲得したチームの皆様、おめでとうございます。

 

全戦エントリーでボーナスポイント10を加算、ぶっちぎりの118.5ポイントをマークしたAZUQLO Racingが85クラスのシリーズチャンピオンに輝きました。

 

最終戦以外の5戦にエントリー、99ポイントをマークしたケンパチレーシングが100クラスのシリーズチャンピオンを獲得。

 

全戦エントリーでボーナスポイント10を加算、合計99.5ポイントでalpina racing with 292Linkが125-Cクラスのシリーズチャンピオンとなりました。

 

第2戦以外の5戦にエントリー、最終戦まで一国Racingと争ったSCS Racing + Apollon RTが0.5ポイント差で125-Iクラスシリーズチャンピオンを獲得。

 

全戦エントリーでボーナスポイント10を加算、ぶっちぎりの103.5ポイントでグローバルクラスシリーズチャンピオンを獲得したPOXLCAFE Racing+RB.Riberty。

 

2024年は激戦だったスーパーグローバルクラス。190ポイントでシリーズチャンピオンを獲得したのはSCS Racing。シリーズ2位は181ポイントで功和軍団攻明なTSC&ノリーズ、シリーズ3位は113ポイントでalpina racing with 292Link 祭号が獲得した。

 

  • 3.いつも全力を出し切っているつもりですが…

昨年と同様、2024年シーズンは最終戦のみのエントリーだったカワサキプラザ山梨チーム。参戦クラスはグローバルで、マシンは2016年より継続使用しているZ125PROです。シリーズチャンピオンを獲得するためには、最低でも5戦エントリーしなければならないので、第6戦のみのクラス優勝を狙いました。僕はコース上に異常がないかのチェック係りも兼ねてライダー参加しています。とはいえ、レースですからトラック上では耐久レースを走り切る技術と経験を100%出しています。今回初めて組んだ山梨県の有名ライダー・ボビー堀口や全国安全運転技能大会優勝者で中部地区のスーパーエンデューロライダー・クレイジー坂本も、やるからには本気モードで臨んだはずです。以前から一緒に走っているプラザ山梨チームの皆さんも同様、みんな全力を出し切っているのですが、今シーズンのルール変更が裏目に出てしまったのか、結果的には3位でフィニッシュ。グローバルクラスはエンジンとECUの改造が不可であるため、ベース車のポテンシャルが重要。なので、勝ちに行くなら別のハイパワーマシンにスイッチする手もありますが、順位よりもみんなで楽しむ思い出を重視するカワサキプラザ山梨・吉田GMの考え方を尊重し、カワサキが次期マシンを市場投入するまでZ125PROで頑張りたいと思います。

 

1980年代から、様々なレースで結果を残してきた山梨県の生きる伝説・ボビー堀口さん。僕とは旧知の中で、パドックでは「怪我しないように走ろう」と励まし合い。しかし、初めて乗るZ125PROで僕より2秒も速いラップタイムを連発していました。

 

FSWミニろくでは、実況解説者と実走によるコースコンディションのチェックを担当しています。今回はスタートより1時間30分を経過したあたりから走りましたが、意外に落下物が多いこと、同じマシンでも加速性能に大きな差が出ていること、ルールブックをキチンと理解していないのでは?と思えるチームがいること等々、様々に確認したことを主催サイドに報告させていただきました。個人的に嬉しかったのは、KTM125デュークの走りを間近で見られたこと。レースの数日前にKM元浜(静岡県浜松市)さんで実車の確認、スペックを聞いていたので、興味津々なエントリー車両でした。ブレーキやサスペンションのアップグレードが進めば劇的に速くなりそうな予感。2025年シーズンも注目していきたいと思います。

 

12回ピットイン義務を考慮し、ライダー多数で挑んだ最終戦。ここ数年で平均ラップタイムも揃ってきたので、2025年シーズンは楽しみつつも勝ちに行くレース運びができると思います。2024年シーズンも走らせていただき感謝!

 

参考リンク

FSWミニろく

http://www.japan-racing.jp/fsw/mini6.html

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

 

オークネット提供サービス一覧
© 2016- AUCNET INC.