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歴史を刻むバーチカルツイン。【KAWASAKI  W800 STREET】

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  • 2022.04.27

今回は「KAWASAKI  W800 STREET」をご紹介します!

このところZ900RS、Z650RSでレトロモダンレンジを刺激し続けるカワサキ。

ここに紹介するW800 STREETもそのカテゴリーなのだが、このバイクは、もっと深くカワサキの歴史を背負っているのだ。

造り込みの熱量がダイレクトに伝わってきて、走るフィーリング、所有感、高級感などどこを取っても抜かりはない。

日本のビッグバイクの発火点まで今に伝える一台なのだ。気になるその走りはどうだろう?

 

【目次】

1.Wシリーズに歴史あり

2.試乗インプレッション

3.車両詳細

 

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  • Wシリーズに歴史あり

W800 STREETは、抜群のスタイル、低い回転から鼓動感が楽しめるエンジン、ゆったりと風景に溶け込むような気分を楽しめる中に、ストリートというどこか街に似合うキーワードも散りばめられたバイクだ。カワサキにあるMEGURO K3というモデルとも兄弟車であり、W800をベースに仕立てられた一台だ。

 

そもそも、メグロという名前は大正時代に創業、第二次大戦以前からバイクを造るメーカーとして君臨。

1950年代には650㏄の2気筒エンジン搭載のモデルを送り出すなど、日本のビッグバイク(当時は重量車なんて呼ばれていました)の礎を築いた老舗メーカーだ。

1960年には今でいうカワサキと業務提携をし、その後、カワサキが資本注入を強化。そしてメグロはカワサキに吸収され、カワサキがそのビッグバイクストーリーを受け継ぐことに。メグロのK2というモデルがその後のカワサキのW1へとつながって行く。

 

そして初代Wシリーズは1966年から1975年まで日本の大排気量モデルの看板モデルとなったものの、70年代に排気量キングの座は4気筒ナナハンに譲る形で老兵ははただ去りゆくのみ、となった。

 

しかしだ。その姿、エンジンをまるで復刻するようなカタチで、1999年、カワサキはW650を発売。

「新しい技術で趣味性の高いバイクを」という思いが込められた開発では、こだわり抜いたスタイル、エンジンデザインなどを徹底。そのスタイルを変えずにエンジンの排気量をアップ、環境規制への適合など進化を続けたのが今のW800シリーズなのだ。

コンベンショナルなW800、そしてW800 CAFÉ、STREETと併せカスタム志向のあるモデルラインも特徴。つまり、Wシリーズはこの世界観のために造られたバイクなのです。

 

  • 試乗インプレッション

ワイドでグリップ位置が高めに設定されたハンドルバーが造るポジションは独特。背筋を伸ばしてシートにどっかり腰を下ろしイメージだ。プレーンなカタチの燃料タンクは塗装面が綺麗でブラックペイントながら辺りの風景を鏡のように映し出す。試乗日は天気がよく海辺に止めるとマフラー、タンクがキラキラと空、海、風景を跳ねかえし綺麗だった。

 

 直立を意味するバーチカルツインエンジンは、低い回転から力強いトルクを生み出し、1速で発進する時もアイドリングでクラッチを繋ぎ、動き出したらアクセルをグイっと捻るだけでブリブリブリッという排気音と鼓動感を伴って力強く後輪が地面を蹴って行く。360度クランクのエンジンらしい滑らかさと力強さ。不思議なコンビネーションだ。2000rpm前後でシフトアップ。低い回転のままアクセルを少し多めに捻るとブリブリブリという排気音と加速を楽しめる。それが最高に楽しい。

 

 ワインディングロードをアクセルだけ、あるいは軽く前後のブレーキを操作しつつ、一定のペースで走り続けるとW800 STREETの世界はグンと広がる。その名が示す街中でも同様。前後のサスペンションは吸収性が良く乗り心地も上質。左右への旋回、車線変更など車重から来る重さとは異なる「このバイクならこんな動きだろうな」というライダーの予想と一致した手応えとともに自在に走ることができた。

 さすがに高速道路では受ける風を上半身が一手に浴びるので追い越し車線を飛ばす気にはならないが、80km/hでのんびり走行車線を走っていても、見えてくる風景と、風に消えない排気音、そしてアクセルオン、オフで加速感を楽しみながら走るのが面白い。カタチにも、エンジンにも、そして走り方にもしっかりとしたスタイルがある。それがW800 STREETだった。

 

  • 車両詳細

W800 STREETはニーグリップラバーや立体エンブレムは装着されずデカールがそれに変わる。塗装面は下地から綺麗に処理されている様子で風景がゆがみ無く写し出される。タンク容量は15リットル。

 

ストリートにはショートカットされたリアフェンダーが採用される。テールランプ、ウインカーも専用デザインの者を採用。

 

ヘッドライトはLED。このアングルからもハンドルバーがワイドであることが解る。

 

左に速度計、右に回転計を配置したシンプルなメーター回り。幅が広く肩から腕を伸ばした角度にグリップがあるのが解る。

 

1970年代から1980年代にかけてカワサキ車に採用されていたスイッチ類を思わせる配置、デザインのスイッチ類。ホーンとパッシングスイッチは一体型。

 

メーターパネルはブラックの盤面の中央にグレーのラインが入る。速度、回転の数字のカタチ、配置もムードタップリだ。メーターボディーやハンドルバー、ライトケース、ライトステーなどの黒が逆にメーターリングのクロームを引き立たせる。

 

タックロールスタイルのシートを採用。3機種あるW800シリーズの中ではもっとも低いシート高となるSTREET。足付き性を考慮した細身の前端部分、ツーリングなどで快適性を保ってくれる中盤からの着座エリアでフォームの量も変わっている。

 

OHC4バルブのW800のエンジン。カムを駆動する方式はチェーンではなくエンジン右サイドにある円柱のカバー内で回るシャフトと、その先端についたギアとカム側のギアが直角に交差。いわゆるベベルギアを使う。そのことでカムチェーントンネルを造らずエンジンの見え様を整えた。かつてのメグロ発祥のWはエンジン下部からシリンダー内にプッシュロッドを通すOHVだったが、左からの見た目はその造形によく似たシンプルで美しいのも。空冷の冷却フィンのカタチも美しい。ベベルギアが駆動する音も楽しめる。

 

エキゾーストパイプからサイレンサーまで綺麗な線で描くようなカタチもクラシカルな排気系。クロームの仕上がりも美しい。

 

片押し2ピストンキャリパーを使うブレーキ回り。W800の前輪は19インチだが、STREETは18インチを採用。アルミリムとスポークの組合せはクラシカルなルックスに見事にマッチする。

 

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制作・協力

■試乗・文:松井 勉 

■写真:渕本智信 

■協力:カワサキモータースジャパン

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