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カワサキ KXシリーズ祝50周年

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  • 2023.12.25

兵庫県明石市内のホテルで開催された『KX 50周年を祝う有志の会』のレポートです!

世界のレースシーンで活躍するカワサキのモトクロスバイク KXシリーズが、1973年の発売開始から今年で50周年を迎えました。これを記念して『KX 50周年を祝う有志の会』が兵庫県明石市内のホテルで盛大に開かれ、KXシリーズの開発に携わったカワサキOBの皆様を始め、往年のライダーと関係者80名余りが一同に、KX半世紀の歴史を祝いました。

 

  • 会場はKX尽くしのミニ博物館

グリーンヒルホテル明石のバンケットルームには、時を経てなお光り輝く2台のマシンと歴代マシンカタログ、レース写真、ワークスライダーが着用したウェアなどが展示されて、KXの歴史を眺めることができます。カワサキのモトクロスレースの歴史は、実際は60年前まで遡りますが、いずれもKX以前のモデルであり、72年社内にレースマシンの開発とレース運営を専門とする『開発1班』という部署が誕生して、ここからKXの歴史が始まりました。『カワサキ究極のモトクロサッサー』という意味を込めたKXの命名。一段とブランド力をアピールするため起用されたライムグリーンの新色。以来KXシリーズは、一度たりとも開発と生産、レース参戦を中断することなく、KXの車名を変えることもなく、世界中で多くのチャンピオンを輩出し、多くのモトクロスファンに愛され続けています。

 

KXのデビューでマシンカラーにライムグリーンが採用される以前は、『赤タンクのカワサキ』と呼ばれモトクロス場で活躍しました。展示は赤タンクの最終型F6MX、1973年シーズンの全日本MXでカワサキOB安井隆志氏がライドした実車です。

 

1985年に岡部篤史選手が全日本チャンピオンを獲得したワークスマシンKX125SR、さらにアメリカで9度のタイトルをカワサキで叶えたライアン・ヴィロポート選手のジャージが展示されていました。まさに博物館級のお宝です。

 

ライダージャージはゼッケンと名前でいつの年か解ります。お宝秘蔵コレクション、こちらも博物館級。

 

79年、80年当時のカワサキワークス。バイクやギア、選手の雰囲気もビンテージ感あふれてとてもクールです。

 

展示写真で「あの時のあのレース」を懐かしむ元ワークスライダー伊田氏と立脇氏、写真を指差すのは当時伊田氏のメカニックを務めた小松和夫氏。あれから40数年。。。

 

歴代KXカタログやタンクも展示されました。

 

  • KXを生み出した先輩方の貴重な話

乾杯の前の式次第として、元カワサキワークスライダーで今年逝去された山本隆氏(享年80歳)、多田洋之さん(享年59歳)についてカワサキOB大津信氏よりお知らせがあり、全員で黙祷を捧げました。そして和やかに始まった会は、開会の挨拶に古谷錬太郎氏、続く乾杯の挨拶に百合草三佐雄氏の、まさしく50年前に初代KXを世に生み出した中心的存在のお2人です。60年代『赤タンクのカワサキ』マシンの活躍を経てKX開発へと繋がった経緯やその後に渡る逸話がお2人より披露されると、会場はしんと静まり返って聞き入り、誰もが歴史の重みを噛みしめます。続いてカワサキモータース株式会社 伊藤浩社長の祝辞を同社執行役員 甲斐誠一氏が代読され、会は一段と華やかさを増したのでした。

 

カワサキOB古谷錬太郎氏は、60年代よりカワサキレース活動開始に携わり、レース、広報、マーケティング分野で二輪事業発展に尽力されました。90歳の現在も大変アクティブに毎日1万歩を歩き、ご自身のブログ『雑感日記』を日々アップデート、カワサキオートバイ史の生き字引的存在です。

 

乾杯の音頭は“KXの父”カワサキOB百合草三佐雄氏。KX開発1班初代班長、カワサキレーシングチーム(KRT)初代監督、その後USカワサキへ出向して『チームグリーン』を創設、KXの世界的販売の基礎を築いた方です。車名KXの名付け親でもあります。

 

カワサキモータース株式会社伊藤浩社長の祝辞を代読する甲斐誠一氏。

 

元ワークスライダーによるトークタイムは今だから笑って話せるエピソードも。向かって左から立脇三樹夫、岡部篤史、瀬戸康一、伊田井佐夫、花田茂樹の各氏レジェンド揃い。86年ホンダでチャンピオンを獲得した伊田さんは、ファンにはカワサキのイメージが薄いようですが「A級に上がって4年間は明石に住んで頑張っていました。」

 

カワサキファンの一般のお客様も10名ほどいて、往年のライダーにサインを貰い、思い出話で交流したひとときでした。

 

もうひとつの強豪『チームグリーン』OBライダートーク、向かって左から永井久道、城田賢一、益留信太郎、調所伸一、行方正敏、竹元久、司会役の藤城光雄の各氏が、お世話になった平井稔男監督の思い出話も披露しました。

 

その平井監督は体調の都合で欠席されましたが、ビデオレターが届き、会場全員が感動。オリジナル『平井監督Tシャツ』を着て氏の回復を願う教え子ライダーも多くいました。

 

  • 50周年記念車はデザインに注目!

トークプログラムの最後は、今年11月に発売された『2024年KX250・50周年記念デモル』のデザインについて、元カワサキデザイナーの松見康祐氏より解説がありました。ニューモデルは各部に最新技術が投入されると同時に、グラフィックに90年型KX250をオマージュしたデザインが採用されています。長い歴史の中で『ペリメータフレームに革新的デザインの90年型KX250こそは最もエポックメイキングなモデル』とKAWASAKI USAにより評価されたためです。当時を知る年代のライダーには大変懐かしく、一方で若いライダーには新鮮で斬新な印象のカラーリングとデザインですね。来シーズンもKXが国内外のレースで活躍する姿が楽しみです。

 

KX50周年記念車のデザインについて解説する元カワサキデザイナー松見康祐氏(右)。熱心に見入るのは展示車F6MXのライダー、カワサキOB安井隆志氏。

 

1970年スズキでチャンピオン、その後ホンダに電撃移籍した大レジェンド吉村太一氏の姿も。カワサキとの関連はというと、2021年よりカワサキサテライトチーム『マウンテンライダース』のボスとして全日本MX参戦中です。

 

終盤はお楽しみ抽選会で盛り上がった後、全日本モトクロス85・87・88年IA125、89年IA250チャンピオン岡部篤史氏による迫力の一本締めで会は終了しました。

 

制作・協力

文・写真:高橋絵里

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