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ホンダ MotoGP 2021年シーズンレビュー 報道取材会 レポート!
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- 2022.02.18
ホンダ MotoGP 2021年シーズンレビュー 取材会がオンラインで開催されました。
MotoGPはコロナ禍のなか、2021年に全18レースを開催。
今回はレース関係者から2021年シーズンを総括し、2022年に向けた抱負を聞くことが出来ましたのでレポートします。
(写真提供 本田技研工業株式会社)
(株)ホンダ・レーシング
取締役 レース運営室長 桒田哲宏(クワタ テツヒロ)氏(右)
開発室 RC213V 21YM開発責任者 程 毓梁(チェン ユーリャン)氏(左)
【目次】
1.2021年シーズンを振り返って
2.2021年型マシンの方向性と課題
3.2022年シーズンに向けて
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2021年シーズンを振り返って
2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、マシン開発の現場は計画通りいかない苦しい状況が続きました。
そのなかでも開発陣は、不屈の精神によって「結果を残す」という意気込みで、戦う決意で望みました。
シーズン前のテストでは主に車体、電子制御のアップデートに集中。
※ MotoGPは参戦する6メーカーの合意により、2021年はエンジン開発を凍結。
最初のテストのセパンがキャンセルされ、開幕戦が行われるロサイルでスタートするも「砂嵐」のコンディションもあり、テスト期間が短く評価が厳しい状況で出遅れて、開発が不足する状態に。
テストはエースライダーのマルク・マルケス選手が負傷の影響で参加出来なかったのも影響しました。
海外ではステファン・ブラドル選手が、国内では長島哲太選手が開発ライダーを努め、テストでMotoGPの各ライダーからもマシン開発において近しい意見が上がったことから「タイヤのグリップ向上」「扱いやすさ」の進化が「必要な共通項」として共有。
前年の2020年型RC213Vは、エンジンのパワーアップを一番において開発。
この年のシーズン前半でタイヤを上手く使えていなかったという反省点に対応し、後半戦は上り調子の結果に。
2021年のマシンは、2020年型からコンセプトを一部変えたものの、前半戦はライダーがマシンを使い切るには至らず苦戦をしました。
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2021年型マシンの方向性と課題
2021年型は、タイヤのポテンシャルを使い切るという考えは2020年型と変わらないものの、目標がライバルに比べ不足していたと認識し、シーズン後半に「タイヤを機能させる」を突き詰めた「2022年型のエッセンス」を先行して取り入れてハードウェアをアップデート。吸排気系の変更でエンジン特性を変更し、車体の骨格を進化。
後半戦は徐々に調子が上向きとなり、開発の方向性は間違っていないと確信しました。
パドックで話題の「車高調整デバイス」
「車高調整デバイス」は、コーナー脱出時に車高が変わることでの挙動の乱れを抑えるため、車高を固定化し、マシンの姿勢を変化させないのが目的の装置。
タイヤのポテンシャルを使い切ったり、ウィリー限界を上げるなどの利点があります。
このデバイスは「現時点では装置の具体的な内容は言えない」というコメントがあったくらい、各社が競っている最先端の技術です。
この装置を自動で作動させることは「レギュレーション違反」で出来ないので、ライダーの操作が必要なのは(同様に車高を固定化する)スタートデバイス(ホールショットデバイス)と同様。
レース中のライダーが、この操作をしているのが驚きですが、このような話題に注目すると、さらにレース観戦の楽しみが増しますね。
ライダーについて
Repsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は怪我の影響が残り、開幕戦に間に合わず。また、復帰後も感覚を取り戻すのに時間がかかり厳しい状態が続いたものの、後半は調子が上がってきました。
マルケス選手はシーズン3勝。ランキング総合7位で終えました。
同じチームのポル・エスパルガロ選手は序盤を苦戦。マシンのキーポイントを学ぶのに時間が掛かりましたが、チームはライダーの要望が分かってきたので成績が向上しました。
LCR Honda IDEMITSU の中上貴晶選手は、スピードを見せる時が増えてきました。
今シーズンは表彰台を獲得して欲しいので、いろいろなトライが必要。
彼のスピードを発揮できるマシンを用意。
LCR Honda CASTROL のアレックス・マルケス選手は前半、転倒が多くリズムを崩す。
安心して攻められるマシンではなかったので厳しいレースが続きましたが、他のライダーと同様にスピードはあります。
開発ライダーのステファン・ブラドル選手のスピード、能力には満足。2021年はワイルドカード参戦してテストをしながら、大きな変更を入れたマシン開発に貢献。長島哲太選手も同様に開発で貢献しました。
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2022年シーズンに向けて
2021年型マシンの開発においては、マルク・マルケス選手の身体が完調時とは異なり、マシンが「体力的に厳しい」との意見を述べたことから、2020年型の延長線上で開発しつつも「今までより扱いやすいマシン」に変更するという「新しいチャレンジ」に挑みました。
2022年は2021年型の延長線上で開発し、さらに伸ばしていきます。
「扱いやすさ」を具現化するため、枠にはめていたのを取り外した「変更」を実施。
リヤグリップ増大、加速性能を向上し、初戦から勝ちに行くため、全力で取り組みます。
2年間タイトルを逃しているので、2022年は3冠を奪取するため、やることをやったうえで「自分たちの殻を破る」という意気込みを語り、会見を終わりました。
今シーズンは2月5日から、オフィシャルテストが始まります。
(取材協力)
本田技研工業株式会社
(文)
森井智之