他カテゴリ記事を絞り込んで探す

【石塚健の目指せMotoGP】第5回 遂に開幕! CEVレプソルインターナショナル選手権へ出発

  • おすすめコラム
  • 2020.07.21

【レーシングライダー石塚健の目指せMotoGP】vol.5。今回はポルトガルで開催されたCEVレプソルインターナショナル選手権のレポートです。参戦への決断や、出国から入国までの様子をレポートしてくれました!

こんにちは。レーシングライダーの石塚健です。


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、延期されていたCEVレプソルインターナショナル選手権が遂に開催されました。


とは言っても、ヨーロッパもコロナが終息した訳ではなく、開催を強行したような状況で、決定が発表されたのは開幕戦の約1か月前。日本では、緊急事態宣言が全国的に解除されたばかりの6月上旬です。

そのため、海外への渡航制限も厳しい状況で、日本から出国出来るのかもわからない状態。


しかもコロナの感染拡大が始まった頃には、レースWEEKに入ってからF1の中止が決定した前例もあり、現地に辿り着けたとしても、突如中止となる可能性も考えられました。


開催されるなら行きたいけど、現地まで行って中止になると、渡航費がすべて無駄になるだけでなく、何もしないまま帰国後は2週間の外出自粛要請が出されるため、アルバイトもできません。


開催されることに賭けるか、今回の参戦は諦めるか。究極の2択を迫られることになりました。

  • 苦渋の決断で一度は諦めるも・・・

開幕戦はポルトガルにあるエストリルサーキットで7月6・7日に行われます。また、開幕直前の7月2日には、今年初となるテストが同じくエストリルサーキットで行われることになっていたので、行くとすれば出発日は6月30日。そうなると、迷っている時間はほとんどありません。


飛行機も、かなりの間引き運転をしている状態なので、出発日時に選択肢は無く、料金も比較的高めの状況です。


そもそも、ポルトガルに入国できるのかという疑問に対しても、どこに問い合わせても明確な答えはもらえませんでした。


行こうとすればするほど、どんどん問題点が見えてきて、1度は諦める事を決意。泣く泣くチームに、行けないという状況を伝えます。


するとチームは、主催者であるドルナスポーツが政府に許可を取っていると言うのです。

「タケシ!ドルナは政府に許可を取ったから、アジア人ライダーも全員、来れると言っているよ。」


そしてドルナから、DECLARATIONと書かれた書類が送られてきました。


「行けるなら、やっぱり行きたい。」

出発まで1週間を切っていましたが、急遽行くことを決め、急いで航空券を予約します。


しかし、出発の前日に、驚くべき事実が判明。

その前日に、同じくCEVに参戦するために、出国を試みた別チームのライダーが、飛行機への搭乗を拒否され、空港で足止めされていると言うのです。


理由は、トランジットをする国の入国許可が下りていない事。現在は、新型コロナウイルスの影響でパスポートが無効扱いのため、目的地であるポルトガルへの入国が許可されていても、トランジットで立ち寄る国の入国許可がないと、飛行機には乗せられないと言うのです。


僕は、すぐにその問題をチームとドルナに連絡しましたが、日本とスペインの時差は約7時間。返事は、すぐには返ってきません。


しかし、刻一刻と出発時間は迫っているため、メールに気付いて対応してくれる事を祈りながら、空港に向かうしかありませんでした。

  • 再び究極の選択に迫られる


空港に到着すると、見たことも無いほど人のいない景色に、まず驚かされました。


そしてドルナからの書類とパスポートを持って、恐る恐るチェックインカウンターへ。

「永住権かvisaはお持ちですか?」

「???」

今は、現地在住か家族が現地に住んでいる人でないと、入国はできないと言うのです。


それでも諦めきれなかった僕は、ドルナとのメールのやり取りを見せたり、渡航する経緯を必死で説明したりと食い下がりました。


すると、「トランジット先のドイツで入国を拒否されると、次の日本へのフライト便で帰されるのですが、それまでは施設で隔離されます。しかも、次の帰国便があるのは5日後で、そうなったとしても航空券の払い戻しはできません。それでも自己責任で行かれるのであれば、飛行機にお乗せすることは可能です。」と言うのです。


3万円のキャンセル料を払って航空券を払い戻すか、ドイツに入国できることに賭けて飛行機に乗るか。再び、究極の選択に迫られることになりました。


「行きます。」

僕は、行けることに賭けてみることに決めました。


飛行機の中はソーシャルディスタンスを徹底するために、座席は必ずひと席おきにあけているそうで、普段はつらくて仕方がない約10時間のフライトも、かなり快適です。


そして、問題だったドイツへの入国も、別室に連れていかれるなど少し時間はかかったものの、問題は無し。そのまま、無事ポルトガルへ辿り着くことができました。


ちなみに、僕がポルトガルに到着したのは6月30日の23時半ごろ。7月1日からEU各国の全国境が開かれることが発表されていて、ギリギリ入れるか入れないかという微妙な時期だったそうです。

そのため、時期的にはタイミングが良く、あと数日日程が早ければ、完全に入国は出来なかったと、後から聞かされました。


「来れてよかった~!!!」

お金に余裕がないので、いつもギリギリの日程で日本とヨーロッパを行き来していることが、今回の渡航スケジュールでは、うまく働いたようです。


次回は、レースについて書きたいと思うので、楽しみにしていてくださいね。

制作・協力

レーシングライダー 石塚健

バイクの窓口事務局

オークネット提供サービス一覧
© 2016- AUCNET INC.