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【石塚健の目指せMotoGP】第6回 CEVレプソルインターナショナル選手権 事前テスト&開幕戦
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- 2020.07.27
【レーシングライダー石塚健の目指せMotoGP】vol.6。前回に引き続き、ポルトガルで開催されたCEVレプソルインターナショナル選手権のレポートです。今回は事前テスト&開幕戦編です。
こんにちは。レーシングライダーの石塚健です。
今回は、遂に開催された開幕戦をレポートしたいと思います。
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苦い思い出の地でリベンジを狙う
元々の予定では、4月26日にポルトガルにあるポルティマオ(アルガルヴェ)サーキットで開催される予定となっていたCEVの開幕戦でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となりました。
そして、改めて決定した開幕戦の日程は7月7日で、同じくポルトガルにある、エストリルサーキットとなりました。
エストリルサーキットは、昨年の開幕戦が開催されたサーキット。
昨シーズンの結果は、Race1:24位、Race2:28位。フリープラクティス中に転倒し、右肩を脱臼してしまったことにより、走り切るのがやっとだったという苦い思い出のある場所です。
「今年こそは、全力を出し切ってレースがしたい。」
そんな気持ちで、サーキットに向かいました。
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夢だったmoto2マシンを走らせるも・・・
開幕戦のスケジュールは、7月2日に40分×6本の事前テストがあり、休日を挟んで、4日に40分×3本のフリープラクティス、5日に35分×2本のフリープラクティス、6日に40分×2本の公式予選、7日に15分のウォームアップと18ラップの決勝レースが2ヒートです。
この事前テストが、今年のmoto2マシン初乗りで、約8か月ぶりの再会となりました。
「去年は、参戦資金を集めることに必死で、ほとんどバイクに乗ってのトレーニングが出来なかったので、成績はまったくダメだったけど、今年は可能な限りNinja250SLでのトレーニングを積んできたし、きっと戦える。」
僕はワクワクしながら、久しぶりのmoto2マシンを走らせました。
しかし、少し乗っただけで体が疲れてしまい、思うように走れません。
「全然だめだ。」
それは、全日本で乗っていたGP2マシンでも、8耐で乗った1000㏄のSSTマシンでも感じたことがないほどの、圧倒的な疲労感でした。
「身長も低いし、手足も短いから、moto2マシンのポジションに合っていないのかも。」
最初はそう考え、ステップの位置を変えてみたり、シートの形を工夫してみたり、ハンドルのポジションを変更してみたりと試行錯誤するも、大きな改善は見られません。
「いったい何が違うのか。」
走行ライン、クリッピングポイント、ブレーキング、ライディングフォームなど、すべてを速いライダーに合わせても、圧倒的に足りない『何か』がありました。
様々なトライ&エラーを繰り返しながら気づいたこと、それは、パワフルすぎるmoto2マシンを操るためには、筋力が足りていないという答えでした。
これは、アスリートとして一番認めたくない事実でしたが、夢だったmoto2マシンは、これまで乗ってきた、どんなレーシングマシンとも比べ物にならないほど、筋力が必要だったのです。
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最善を尽くして結果を残すのみ
「もっと筋肉を付けなきゃ。」
開幕戦にして、自分に足りないものを見つけてしまったものの、それでも最善を尽くし、結果を残さなくてはいけないことに変わりはありません。
エストリルはハイスピードなコーナーと、シケインやヘアピンなどの低速コーナーが合わさった複合サーキットで、純粋に攻めても中々タイムが縮まらない、攻略が難しいコースでしたが、必至でタイムを出すことに集中し、予選結果はQ1:13位、Q2:9位、総合:12位と、CEVでのベストグリッドを獲得することができました。
そして、2ヒートの決勝レースがスタートします。
「追い上げるぞ~!」と意気込んだものの、Race1:13位、Race2:9位という結果。
自分なりに奮闘はしましたが、やはり前を走る速いライダー達とのアベレージの差を、埋めることはできませんでした。
開幕前に思い描いていた結果は残せませんでしたが、確実に進化を感じることができた開幕戦。
もっと前を走るために、やるべきことも見つけることができました。
今回はポルトガル2連戦ということで、次は1週間後にポルティマオサーキットで行われた第2戦をレポートしたいと思います。
レーシングライダー 石塚健
バイクの窓口事務局