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【石塚健の目指せMotoGP】第9回 CEVレプソルインターナショナル選手権 第5戦・第6戦

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  • 2020.10.27

【レーシングライダー石塚健の目指せMotoGP】vol.9。今回は、CEVレプソルインターナショナル選手権の第5戦・第6戦をレポートします!

こんにちは。レーシングライダーの石塚 健です。

今回は、スペインにあるアラゴンサーキットで行われた、第5戦・第6戦をレポートします。

  • 「今回こそはスタートから前に出て見せる。」

ニュースでも報道されている通り、新型コロナウイルス感染拡大の第2波が来ているらしいスペインですが、正直、現地に行っても日本のニュースで流れているほどの状況の変化を感じる事はありません。


ただ、飛行機に乗るために必要な書類が少し増えたり、現地空港の出入り口が制限されたりしていたので、「やはり増えているのかな?」程度の体感です。


そんな中、シリーズが進むにつれてどんどんスケジュールが過酷になっていくCEV。今回のアラゴンでのレースでは、第5戦は1ヒート、第6戦は2ヒートと、1回分のWEEKで合計3レースがおこなわれました。


レースウィークのスケジュールは、9月30日に35分間のフリープラクティス(FP)が3本、10月1日に40分間のFPが2本、2日に40分間の公式予選が2本、3日に15分間のウォームアップと第5戦の決勝レース、4日に15分間のウォームアップと第6戦の決勝レースが2ヒートです。


日本からレースの度に来ている僕にとっては、ただでさえ足りていないマシンとコースを理解するための走行時間が、さらに凝縮されて厳しい状況は一層深まります。


その上、さらに1WEEKで一気に3レースをやってしまうとは、無理矢理感が否めませんが、参戦するからには言い訳はできません。


「前戦で感じた、資金不足によるクラッシュコストへの恐怖を打ち消し、今回こそはスタートから前に出て見せる。」

僕は自分に何度も言い聞かせながら、レースWEEKの走行をスタートさせました。


アラゴンは昨年も走ったサーキットなのですが、昨年は各セッション、ピットに入るたびにエンジンがかからなくなり、ほぼFPを走ることができなかった上に、レースでもサイティングラップがスタートする直前までエンジンがかからず、レインコンディションの中、タイヤウォーマーも巻かれていないバイクで、ピットからの最後尾スタートをするという、ただ走れただけという状況だったので、あまり良い印象がありません。


「意外にイケる!」

そんな、嫌な記憶を脳裏にチラつかせながらも、走ってみた感触はかなり良好。すぐに、去年のベストを軽く更新し、順調にタイムアップしていくことができました。


と言っても、まだまだトップ争いに食い込めるタイムではありませんが、着実に前進できていることは確かです。


トップ争い常連ライダー達の、あのブレーキングや切り返しをするには、いったい何が必要なのか。必死で観察し、少しずつ乗り方を変えながら、トライ&エラーを繰り返していきました。

  • 天候に左右された予選会&第5戦

そうして迎えた公式予選。

予選では、午前(Q1)と午後(Q2)の合計2本のベストタイムで決勝のグリッド順が決まるのですが、予選当日の天気予報は午前が曇りで午後が雨。

どんなに速いライダーでも、レインでのタイムがドライを上回ることはあり得ないので、予報通りの天気なら、午前中のみの勝負となります。


僕はかなり悩みながらも、予選で使用できる新品タイヤ3セットを全てQ1で使いたいとチームに提案したのですが、タイヤはホイールで管理されているので、Q1で使用できる新品タイヤは最大2セットとの回答だったので、その2セットに勝負をかけることに決めました。


そして、1本目のアタックに入るも、クリアラップが上手く取れず、他ライダーに邪魔される形で失敗に終わります。

「2本目こそは決めてやる!」


僕は、2本目の新品タイヤを投入するためにピットイン。タイヤを変えて、すぐに出ようとしたその時に、天気予報よりも早く雨が降ってきたのです。

こうなると、スリックタイヤと呼ばれる、溝の無いドライ用のレースタイヤでタイムアタックをすることはできません。


「終わった。」

この時点での僕の順位は14位。Q2も予報通りの雨だったため、その後は1度もコースに出ることはなく、そのまま予選は終了となりました。


レースは14番グリッドからのスタートとなります。


第5戦の決勝レースは、かなり気温が低く、予選と同じく、いつ雨が降り出すかわからない天候のなかでおこなわれました。


スタートを決め、ひとつポジションを上げることに成功するも、ストレートなど、いたるところでマシンの右側のカウルに違和感を感じ、思うようにマシンをコントロールすることができません。そして、じわじわとペースを落とすことになり、スタートで抜いたライダーにも順位を戻されてしまいます。


レース中にカウルを見ることはできないので、その違和感の正体が分かったのはレース後だったのですが、カウルを留めていたビスが飛び、外れかかったカウルがマシンの抵抗となってしまっていました。


また、マシントラブルです。

僕は、全力を出し切れず、悔しい気持ちを抑えながら、翌日に行われる第6戦の2レースに臨みます。

  • 誰も予想することのできない展開となった第6戦


レース1は、時折小雨が降る難しいコンディションでスタート。サイディングラップで2台が転倒し、グリッドに付けないなど、誰も予想することのできない荒れた展開となりました。


しかし、諦めることなく粘り強く追い上げ、11位でチェッカー。


レース2は、午前中とはうってかわって、汗ばむ暑さのドライコンディションでスタートします。



今回のレースWEEKでは3レース目となるこのレースでは、前回のウィークで明確な課題として見えた、スタート、そしてレース序盤のペースのアベレージを改善することに全身全霊を集中。


イメージ通りの位置取りでオープニングラップを終え、周回中に自己ベストも更新できるなど、いい流れでレースを進めることができました。


その結果、CEVでのベストリザルトとなる9位でチェッカー!まだまだ、トップ争いには届きませんが、大きく前進することができました。


次は最終戦!このままの流れを維持し、さらなるベストリザルトを更新して来たいと思います。

制作・協力

レーシングライダー 石塚健

バイクの窓口編集部

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