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【オススメバイク】道半ばのVMAXライフ

  • おすすめコラム
  • 2018.12.25

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第20回。今回のテーマはズバリVMAX。今現在でも根強い人気を誇るVMAX。KAZU中西さんがそんなVMAXの素晴らしさについて語ります。

2010年の4月、メディア向けのVMAX(EBL-RP22J)試乗会に参加しました。前年に発表済みでしたが、僕が国内仕様に乗るのはこれが初めて。大きく重い車体ながらも矢のように突っ走る加速感は、まさに未体験ゾーンを見せてくれました。当日は僕の誕生日でもあり、ヤマハから素敵なプレゼントをもらった気分。そして「これは約束を守らねば!」と、新たに決意した日にもなりました。

  • 何と言っても性能が良い車両。VMAX

【どんなに時間がかかっても約束は守る】

VMAX(EBL-RP22J型。以降は便宜上VMAX1700と記します)が開発されているという噂話は、2000年頃から耳にしていました。皆さまご存知の通り、VMAX1700はフルモデルチェンジした2代目で、シリーズの初期型は85年にデビューしたVmax(1200。以降は便宜上Vmax1200と記します)になります。


Vmax1200はミスターバイク誌のメインキャラクターであった佐藤信哉氏の愛車としても有名で、僕は信哉さんが林道でVmaxを駆る姿を見て、かなりの衝撃を受けました。そんな信哉さんが主催していたSHINYAFDAYにもよく参加していたのですが、その場でも次期Vmaxの噂話はたびたび耳にしていました。


確か岡山県で開催された時だと思います。僕は当時最新のアプリリアRSV1000factoryにて、会場に駆け付けました。その際にある人から、こんな風に声を掛けられました。「カズくんは、2000ccのVmaxが出たら買う?」にせんしーしー!?僕のスカイラインと同じ排気量だ(笑)もちろん興味はあるし、出たら買いますよ!と安請け合い。まさかこの時の約束を果たすことになるとはね。




【よく曲がってしっかり止まる】

VMAX1700は、初代のDNAを継承しつつ、より強烈な加速感を味わえるよう進化したオートバイでした。また、世間的にも初代のイメージが強いのか、巷では直線番長的に語られることが多いと思います。しかしながら、VMAX1700は怒涛の加速感だけではなく、コーナリング性能はXJR1300に迫るほど。


それ以上に驚いたのは、リニアABSを採用したことによる制動性能。国内仕様のリミッターがかかる速度から、まさに全力レバー握り+全力ペダル踏みしても、涼しい顔してスマートに速度を落とします。その停止距離は、車両重量311kgにも関わらず、それまでどのオートバイでも実現できなかったと評しても過言ではない短距離で、しかもABSが作動していますよ!というあからさまな自己主張も無いのです。マッスルでインテリジェンス!僕がVMAX1700について思った第1印象でした。



【クルージングが得意です】

いわゆる峠のワインディングロードをつなぐツーリングにも駆り出してみます。公道ですゆえ、全てのパフォーマンスを発揮させるような走り方はできません。のんびりゆったりとクルージングを楽しみます。そんなツーリングシーンでも、VMAX1700は従順なハンドリングを見せ、加速感よりもむしろドロドロドロー・・・と低中速回転でドライブするのが楽しいなと思わせてくれました。

  • 事故防止活動でも活躍

【白き守護神へ】

2009年より、僕は地元にある伊豆スカイラインにて、二輪車の事故防止を呼び掛けるボランティア活動を始めました。この活動にて使用する「看板車」については、伊豆スカイラインを管轄する大仁警察署の関係者などと協議した上で仕様決定。サイドケース付きの白いXJR1300を製作し、活動車として承認されました。その第2号車として挙がったのがVMAX1700。ワイズギアの白外装を纏い、配布物を収めるためのサイドバッグを装備しました。


看板車を製作しなければならなかった主な理由は、一般観光客等から明らかに事故防止の啓発、交通安全の啓蒙活動をしていると一目で認識してもらうためです。しかしながら、この車両制作については、どこからのサポートも無い完全な僕の自腹出費でした。無粋なので詳しい金額は明かしませんが、なかなかのシビレル費用でした(笑)




【看板車として6万キロ】

後日、雨の日にも安心のGIVIパニアケース仕様に変更。そもそも、ケース本体は黒色ですが、白色の特注品をデイトナが用意してくれました。車体もケースも白色となったVMAX1700は、伊豆スカイラインはもちろんの事、全国各地の二輪車事故防止活動の現場に駆り出されました。このVMAX1700を駆る僕に声を掛けられた人は少なくないと思います。同時に配布していた事故防止の啓発・安全運転の啓蒙チラシは、1万枚以上を数えますからね。


【JOEのVMAX1700とツーリング】

あるイベントにて知り合った石原条氏。前みどり市市長です。訊けば愛車はVMAX1700とのこと。意気投合して、一緒にみどり市内をツーリングすることになりました。オートバイには学生の頃から乗っていて、憧れの人は僕と同じく平忠彦氏。そんな石原氏はなかなかの腕前で、VMAX1700をスイスイと乗りこなしていました。


訪れた先々で目の当たりにしたのですが、VMAX1700に乗る市長は老若男女問わず知名度が高いようで、特に中学生が笑顔で挨拶してくる姿が印象的でした。以降、僕は親しみを込めてJOE市長と呼ばせていただきました。ちなみに現在は市長を退任しており、2代目の市長は同じくオートバイを趣味としている須藤昭男氏が、石原氏の意を受け継いで市政に尽力されているようです。



【VMAX1700の気になるパーツ】

そんなJOE市長のVMAX1700ですが、2017年にお会いした時は、カスタムがかなり進んでいました。僕も欲しい!と思ったパーツは、リアのマッドフラップです。よく見ればTairaRacingのロゴが!おそらくワンオフのスペシャルパーツだと思います。



【事故ゼロ活動以外の楽しみ方】

伊豆スカ事故ゼロ小隊の看板車とは言え、僕の自腹購入したVMAX1700ですから、活動のない日は私用にも使います。僕は公道=マナー良くスマートに走る、サーキット=思いっきりパフォーマンスを楽しむ、と言う具合にオートバイライフのメリハリをつけています。もちろん、VMAX1700もモータースポーツの専用フィールドであるFSW(富士スピードウェイ)に持ち込みます。VMAX1700の5周年イベントの際は、僕よりも速い人がほとんどで、まだまだ修行が足りないなーなんて思ったり(笑)以降も、FSWのレーシングコース幅を活かして、モータースポーツをエンジョイしています。

  • 知れば知るほど高まるVMAXの魅力

【コントロールすることへのこだわり】

VMAX1700は、いわゆるネイキッドバイクと比べて、かなりの重量級です。いかにリニアABSが優れていると言っても、モータースポーツ愛好家ならば、ABSを効かせずにブレーキをコントロールしたい。キャリパーやマスター、ディスクローターなどは、交換不要と思えるほどの高性能品が既に装着されているため、好みのブレーキフィーリングとなるようブレーキパッドを交換します。RKジャパンのメガアロイXは、特に雨天時のコントロール性能と制動性に優れており、VMAX1700のキャラクターにも合っていると思います。



【先輩へのリスペクトとDNAの確認】

先述べた通り、僕にとって佐藤信哉さんは業界の大先輩にあたるわけですが、その後は一緒にツーリングするなどして、まさに先輩後輩のお付き合いをさせていただいています。僕はそんな信哉さんに遠慮してVmax1200はあえて買わずにいたのですが、VMAX1700の真価を探求するならば、その原点であるVmax1200を知らねばならないと思い、実はVMAX1700と同時に中古のVmax1200(北米仕様)を購入しました。スタイリングイメージはVmax流という感じで、関連性を見てとれます。


しかし、それ以上にDANを感じたのは、エンジンの鼓動感。実は1200と1700は、ストロークが66mmと同数値なのです。これは僕の持論ですが、66mmのストロークは人間の操縦感覚に心地よく、シンクロ率の高い数値だと思います。偶然ですが、カワサキ900スーパー4=Z1も、66mmストロークのエンジンを搭載していますね。また、Vmax1200は巷で言われている直線番長的な感覚が無く、確かに加速力はものすごいと感じるものの、よく曲がってしっかり止まります。VMAX1700と同時に所有すると、1200をシティコミューター的に乗りこなせますね。これは買わねば知り得ない感覚でした。



【足りない部分は騎手が補う】

ほれ込みまくっているVMAX1700ですが、ロングツーリングにはあまり向いていないように思います。乗り心地はとても良くて、燃費もリッターあたり17km~20kmくらいですが、そもそもの燃料タンク容量が少ない。アフターマーケットではそれを補うビッグタンクも出回っているようです。とはいえ、僕はバディの足りない部分は騎手が補えばいいと思っているので、次のガソリンスタンドまで何km?を脳内ナビゲーションでチェックして、早めの給油を心掛けています。XJR1300の時より給油タイミングは頻繁になりますが、その分だけ色々と散策できてツーリングが愉快です。でも、ゆくゆくはビッグタンクに換装しちゃうかもしれませんね。



【まだゴールは見えない】

事故ゼロ活動車としては退役する距離となったVMAX1700。それを機に、パニアケースを外してしまいました。積載性はSTDとなりましたが、やはりオリジナルのスタイリングはカッコいい!と思います。そして、VMAX1700の真価を見たのか?と言えば、まだまだ全容は見えてないように思います。僕自身、あと何年乗れるのか?は分かりませんが、街乗りからサーキット走行まで、存分に走り込んでもっと仲良くなりたいと思います。

制作・協力

■ライター:KAZU中西

文筆業をメインにステージMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)で活躍。

現在Z2(Z750Four=KZ750D)、VMAX(RP22J)、XJR1300(RP17J)を所有

プライベートではTOMCATSというモーターサイクルクラブに所属しツーリングやキャンプを満喫。

オートバイ以外の趣味はモーターボート。


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