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【バイクメンテナンス】僕とくしゃみとVMAX

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  • 2023.03.22

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.163。KAZUさんのVMAXがくしゃみ?一体どういう現象なのか気になりますね!

ツーリングに出かけたいけれど、花粉症でくしゃみが止まらん!春はそんな悩みをよく聞きます。人間なら医師の診断を受けて薬で対処…となりますが、バイクの場合はどうでょう?実は僕のVMAX、最近くしゃみがひどくなっていました。機械なのにくしゃみ?友人知人に訊いてみると、別車種も含めて意外に経験者が多かったです。

 

  • 1200時代も経験したVMAXのくしゃみ現象

ハンドルバーをハリケーンのヨーロピアン2型に交換し、理想のライディングポジションとなった僕のVMAX1700。乗り心地や操縦性が良くなれば、自然と稼働率が高まります。某日、とても天気の良い日でしたが、ツーリングの帰路でエンジン上部付近から「くしゅっ」「くしゅっ」時折異音が発生しました。俗にいうバイクのくしゃみ現象です。よくある事例としては、エンジンが温まっていない状態で燃調やバルブタイミングが合ってない時、点火系に不具合がある時、燃焼ガスが吸気管側に吹き返すバックファイアです。僕が過去に経験した車両では、VMAX1200、ZZR1100、GPz750F、Z750Fourにありました。なので、VMAX1700特有の症状というわけではなさそう。場合によってはエンストすることもありますから、気持ちの良いものではないですね。早速原因を探ってみたいと思います。

 

季節を問わず、冷間始動時にくしゃみをすることがあったVMAX(1200)です。インシュレータやキャブレター等々、吸気系をフルに新品交換しても直らず、こりゃあ参ったなぁとさらに原因追及していくと、イグニッションコイルにクラックが!新品交換したらかなり収まりましたが、それでもくしゃみはゼロになりませんでした。カムチェーンも交換したので、エンジンの調子は良かったけれど、乗っている間はずーっと気になってました。

 

  • V4は捻り込みがコツ?

エンジンをかけて、くしゃみが出るまで観察。すると、くしゃみと同時に一瞬だけマニホ―ルドに動きがありました。この時点でバックファイアが起こっていると確信。となれば、考えられる原因は点火系か吸気系になります。さらに観察を続けると、僅かですがマニホールド付近から気体が噴き出しました。ここからは経験を基にした推測になりますが、おそらくマニホールドの一部が裂けていて、吸気タイミングで外気も吸っている→燃調が合わなくなる、そんな風に考えました。そこで新品のマニホールドと関連部品を注文。揃ったところで交換します。マニホールド交換自体は簡単です。しかし、問題なのはスロットルボディの脱着。XJR1300やZ2のように、4連キャブレターを横から抜き差しするタイプでも難儀するのですが、V4エンジンの場合は一体化されているキャブレターやFIのスロットルボディを「捻り込む」ような作業があります。僕はVF400Fで頻繁に(サーキット1走行ごとに)やっていたので捻り込みのコツは体得していますが、初めて作業する人にはかなり難しいと思います。とはいえ、マニホールドは頻繁に交換するパーツではないので、失敗したくない人はショップに依頼すると良いです。

 

VMAX1700では、先ず外装→バッテリー&ECU→エアクリーナーBOX→FIスロットルボディCOMPの順に外すと、マニホールドの交換作業にたどり着けます。外すコネクターが多く、マニホールドが硬化していればスロットルボディCOMPを外すのにとてつもなく苦労するのですが、このVMAX1700では特に難なくスルッと外せました。

 

マニホールドを外したら、インテークマニホールドとバルブを目視でチェック。カーボンが堆積またはベットリ濡れていたら、バルブステムシールの摩耗限度やバルブ傘部の密閉性(バルブとバルブシートの擦り合わせ面)を疑う場面です。一般的に、インテークバルブにカーボンの堆積は起こりにくく、エキゾーストバルブによく見る現象です。ここ数年はシュアラスターループパワーショットを使っていたせいか、いたってキレイな状態を保っていると言えます。このあと、ゴミや異物が入らないようにクロス等で塞いでおきます。

 

シリンダーでいえば、1番3番のマニホールドをチェック。左が新品、右が装着されていたものです。よく見比べると、古い方はOリングがつぶれているだけでなく、内側が破損しています。要交換ですね。

 

続いて2番4番のマニホールドをチェック。特にひどかったのは4番で、内側の裂けが外側まで貫通していました。これではエア漏れ・エア吸いしちゃいますね。それでも約10万キロ走れたことに感動。しかし、当然ながら新品交換です。

 

外したついでに交換しようと思い、エアフィルタも用意しておきました。見比べれば一目瞭然、装着されていたものはかなり汚れていますね。もちろん交換です。

 

  • カタパルト発進感を取り戻す

組み立て作業は、分解した時と逆の手順になります。難儀したのはスロットルボディCOMPの差し込み…とはならず、意外にすんなり装着出来ました。よって、捻り込みの技も不要。整備性の進歩を感じますね。外装まで取り付けたところで「完成!」と喜びたいところですが、エンジン始動の前にもうひと仕事。FI系のイニシャライズです。これはスロットルバルブの開度(位置)をECUに覚えさせるという作業で、やらずにエンジンを始動した時と、やってから始動した時では、その後のスロットルレスポンスやパワーの出方に差が出るように思います。僕はXJR1300やマークX(4輪)、インプレッサ(4輪)での実験で、その違いを体感できていますので、FI車でバッテリー&スロットルボディを脱着した際は、必ず実行しています。その後、試走に出かけてみると、初めてVMAX1700に乗った時の加速感、カタパルトから放たれる発進感みたいなものを取り戻せたように思いました。マニホールドのエアリークが無いので、当然と言えばそうなのですが、イニシャライズまでしっかりやったことで、納得のいく加速感が得られました。これでまた、しばらくの間は楽しめそうです。

 

バッテリー&スロットルボディを付け替えたら、エンジンを始動させる前にイニシャライズをします。これは僕の自己流なので、やってみたら同じ効果を体感できるかはわかりません。いわゆる自己責任でトライします。まず、エンジンを始動させずにイグニッションスイッチをオンにします。そのまま10秒ほど何もせずに待ちます。次にイグニッションスイッチをオフにして1~2秒ほど置き、再度スイッチオン。今度はアクセルグリップをじわーっとゆっくり、全開状態まで回します。そこから同じくゆっくり戻します。これを5回ほど繰り返してスイッチオフ。同じく1~2秒おいてスイッチオン。先ほどより僅かに早くアクセルグリップを回します。このアクセルを回す戻すを、徐々に早くしていき、最終的には超クイックに全開・全閉までやって作業終了。ようやくエンジン始動となります。効果を体感できるか否かは、その人の感覚的なものなので、実際にはデータロガーで計測してみないとわかりません。

 

試走の前に給油。燃費もチェックしたかったので、フィーラープレートの高さにキッチリ合わせるように給油しました。ついでに、シュアラスターループパワーショットを添加。もう、快走するに決まっているという期待しかない!

 

とくにかく、ゼロ発進や定速巡行からのアクセルワークが面白い!急開しても遅れることなくしっかり加速、しかも怒涛の加速感です。不具合を直したのだから当然でしょ?と思われるかもしれませんが、性能の低下は乗っている人ほど感じづらい。徐々に低下していくのでね。それでも走れてしまうから、今時のオートバイはすごい!そう思ってしまう昭和生まれなのですが、今回の修理によってVMAX(1200)のVブースト感を1700でも!さらに、比較的に低い回転数からでも体感できたことが、何より嬉しいのです。

 

制作・協力

■ライター:KAZU中西

フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。

観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。

一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング

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