他カテゴリ記事を絞り込んで探す

希少な旧車が土の上を駆け抜ける、チキチキVMX猛レース

  • おすすめコラム
  • 2024.05.23

今回は、4月28日に開催されたヴィンテージ・モトクロス『チキチキVMX猛レース』のレポートです!

2024年4月28日、小型車から大型車まで全国から延べ180台が、埼玉県モトクロスヴィレッジで開催の『チキチキVMX猛レース』に集まりました。どれもが1960~1980年代の希少車ばかりですが、元気に走る姿は当時の雰囲気そのままにクラシカルでスタイリッシュ、第25回目を迎えた今回も大人気です。

  • 懐かしの愛車で昭和黄金レトロに浸る一日

ファンの間では通称『チキチキ』で通っている、チキチキVMX猛レース。レストアあるいはリビルドされた旧いバイク達が、飾って眺めるためだけでなく、走るために、それも土まみれになりながら走るために集まります。朝、トランポからバイクを降ろせば、まずは豪華な展示会状態。ひとまわりパドックを歩いて1台ずつを眺めながら、マシン再生の苦労話などもあちこちで弾みます。なんといっても昔のバイクなので機構も古く、修理や交換のための純正パーツも無いので、走るようにする工夫についての情報が飛び交います。「自分でレストアする、直す!」というライダーは、この年代のバイクにタイムリーに乗っていた世代で、機構も解るしというベテランの皆さん。我が青春のバイクを思い起こしながらレストアにコツコツ取り組むのも楽しみなんだそうです。一見とてもマニアックな世界のようですが、ヴィンテージのプロショップも多いので、すべてショップ任せというライダーも多数います。意外なことに10代、20代の若いライダーも結構いて、旧車のデザインや雰囲気がカッコいいという、VMXは世代を越えて愛されています。

 

ホンダCR125M(1973)。タンクのエルシノアの文字、S・マックイーンのジャンプシーン、当時誰もが憧れました。

 

ヤマハYZ125(1980)。現行モデルも大人気な2ストYZのご先祖マシン、唯一無二のスタイリングがいかしてます。

 

ブリヂストンBS90(1964)。ブリヂストンもバイクメーカーとして当時はモトクロスとロードで選手権を走りました。

 

スズキRM80(1983)。ある回転からパイイーン!と唸るピーキーパワーが個性的。暑い日だったのでパラソル大活躍。

 

  • 駆けまわる雄姿、まさに『走る博物館』

旧車達は年式やジャンルでクラスに分かれて、走る姿をレース形式でお披露目します。モトクロスなのでスタートは横一線、「5秒前」が出されスタートゲートが落ちるヨーイドンからの、第1コーナーめがけ全開!は、両隣りのライダーとの距離が近く、普段の日常にはなかなかあり得ない状況で緊張マックス。コースは全体になだらかで旧車にも優しく、バイク初心者も不安なく走れるし、愛車を労わりながらマイペースで周回できます。さらにライバル同士の競り合いが同年代の同モデルだったりするとギャラリーも大盛り上がり、応援に力が入ります。そして何より、無事完走すれば自然と湧きおこる拍手、拍手。50年前、60年前のバイクがみごとに走りきる、それだけでも大いにリスペクトですよね。

スプリントレース以外には80分ミニ耐久レースもあり、1台のマシンを複数名のライダーで交代しながら走る、運動会的ワイガヤ感が人気。多くのライダーはスプリントとミニ耐久にダブルエントリーして一日じゅう走りまわります。

 

非日常感あふれるスタートダッシュは旧車とはいえ大迫力。スリリングな気合い試し?キモ試し?
 

無限ME125(1981)。まさにお宝。ライダーは当時のファクトリー車両を多く所有するコレクターさん。

 

カワサキW1(1966)を追いかけるドカティ スクランブラー(1969)、後ろにトライアンフTR120R(1971)。なんて贅沢なシーン。

 

ヤマハYA6(1964)。ご覧くださいこの一体感、この雰囲気。あの時代からタイムスリップしてきたのでは?
 

スズキGS750(1979)。これもありか!のジーエスナナハン。速い、そして音がいい。ビルダーとライダーに称賛拍手です。

 

ホンダCR250(1979)。マシンと共にウェアも当時を忠実に再現、ペラペラのプロテクターに懐古。ライダーは昔取ったキネヅカ実力派。

  • ヴィンテージで土の上で。その魅力は?

この日のチキチキは14歳の中学生から78歳大御所まで、バイクに乗り始めたばかりのライダーからバイク歴60年以上のベテランまでが一緒に楽しみました。レース形式で順位もついて、勝てばもちろん相当誇らしげですが、それでも勝ちより完走、みんなで走って遊ぶ、昭和時代を懐かしみながら互いのマシンを愛で合う。会場全体はこれ以上にないほどほのぼの、ゆったりとしていて、こんなレースイベントってなかなかないですよね? 80年代にさえまだ生まれていない世代にもヴィンテージMXがこれほどにウケるのは、「昔のモトクロッサーのデザインは絶対にカッコいい」という意見が圧倒的で、理屈でなく感性が『古き良き』に反応するのでしょう。そして土の上の連続カーブ、上りや下りを走るのは純粋に面白い、でも実は結構難しいという、思わず夢中になってしまう状況にハマるのでしょう。このチキチキは春と秋の恒例で、次回は11月3日(祝)に開催予定、博物館級のお宝が走る姿が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

 

カワサキKL250A(1984)。愛知県からチキチキ初参加。当時を知らないZ世代エントラントも増えています。

 

ホンダXL250S(1979)・CR125R(1979)・CR125(1980)。お父様(左)と二人の息子さん、

いずれも表彰台登壇の実力。

 

スズキRM80(1978)。ガタイの良いライダー、可愛らしいオモチャみたいなRMで楽しんでいました。

 

ホンダCR80(1983)・XL50S(1981)。初参加で大張りきりはチーム『習志野婦人会』のレディス2人。

 

トライアンフTR120R(1971)。イギリスの伝統的名車を仕上げてレース、なんてお洒落。チキチキには外車クラスもあります。

 

各クラス表彰台では『出場車両と今日の感想』を全員がコメント、壊れた、直した等のエピソードに笑顔が広がります。

 

秋のチキチキでお会いしましょう!

 

主催:ウエストポイント
 

制作・協力

■文・写真:高橋絵里 ■協力:ウエストポイント

オークネット提供サービス一覧
© 2016- AUCNET INC.