【一葉的バイクの小窓】vol.13 日本レース写真家協会　写真展『COMPETITION』

JRPAは、1971年に創立された、プロフェッショナル・モタースポーツ・フォトグラファーの団体です。

国内、海外の二輪、四輪モータースポーツの報道写真家として第一線で活躍しているフォトグラファーの組織。

メンバーとなるには厳しい条件をクリアしなくてはならない。

FIA／FIM／JAF／MFJ等の公認イベントの報道用モータースポーツ写真撮影経験があり、

かつ1年間に7イベント以上の取材活動と新聞・雑誌掲載の実績を3年以上継続。

さらに、連続3年以上在籍する会員2名の推薦と総会での賛同を得ることとされている。

つまり、プロ中のプロ集団。

JRPAの写真展は毎年行われていて、

今年のテーマは『ヒューマンレーシング』。

2016年度にJRPAメンバーが世界各地のサーキットなど

二輪、四輪のモータースポーツシーンを撮影した渾身の一枚を展示している。

私は1月27日、二つのイベント（ギャラリートークとトークイベント）を見たくて会場に行った。

ギャラリートークでは、撮影者が作品の前で、

撮影したときの気持ちや、撮影技法、ちょっとした裏話などを説明。

ギャラリーに併設されたショールームで行われたトークイベントは、小林稔会長が進行役、

赤松孝氏、熱田護氏が撮影術、撮影秘話を楽しく解説してくれた。

贅沢な時間だった。

会場は、大勢のファンで埋め尽くされていた。

JRPAメンバーと面識があるらしい女性ファンがいたので、

近くに行って話を聞くと、

Ｆ１が大好きで足繁くレースに通い、自分でもレースの写真撮影をしているとのこと。

あのカメラマンは、あの選手をどのように撮るのだろう。

というふうに見て追いかけているのだと、とても楽しそうに語ってくれた。

ギャラリートークで、何度か耳にした言葉。

「たまたま撮れたんだよね」

例えば、表彰式で選手の表情を撮るために、一番いい場所を陣取る。

時に、あばら骨を骨折するほど熾烈な戦いなのだとか。

良い場所を確保できたとしても、選手がこちらを向いてくれるとは限らない。

ラリーでは、何時間も待ち構えていたのにチャンスが訪れないこともある。

予想が当たったり外れたり、ラッキーだったりアンラッキーだったり。

次の瞬間に何が起こるか、

それは、神のみぞ知る世界。

ただ、第一線で活躍するプロたちの経験と勘は別格。

「たまたま…」は努力の賜だ。

撮影機材も日進月歩。

デジタルカメラの時代になって、フィルムが主流だった頃には、不可能だったことも可能になった。

ISO感度を限界まで引き上げて撮影。ISO感度も1600くらいまでは平気にあげる。

中にはISO3200で撮影したという作品もあった。

現在ならではの技法で光と影を捉える。

写真展に出展する一枚を選んだ理由、作者の想い

シャッターを押したときの気持ち、前後の出来事、

背景にあるドラマを知ると、

自分が作品の中に入り込んだような気分になる。

写真は瞬間の画であるけれど、

果てしない想像の旅へと誘ってくれるのだと思った。

今回の展示実行委員長の赤松孝氏は二輪専門。

ずっと二輪が好きで写真を撮っていた。

好きが高じて今があると言う。

「何でも同じだと思うんですけど、被写体を好きじゃないと

良い写真撮れないでしょ？」

もっともな言葉に、ハッとした。

好きからはじめてみよう。

モータースポーツとカメラマン。モータースポーツと写真の世界を、

もっと深く知りたくなった。