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【一葉的バイクの小窓】vol.14 駒ヶ根市消防団のバイク隊
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- 2017.02.17
中央アルプスと南アルプス、二つのアルプスを望むことができる風光明媚な地で活躍する、長野県駒ヶ根市の駒ヶ根市消防団バイク隊を訊ねた。
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待望の消防団バイク隊誕生
消防本部及び消防署には、常に待機体制でいる専任の職員がいる。
一方、消防団は市町村の非常備消防機関である。
消防団員は、昼間は別の仕事をしており、
災害など緊急時に招集される民間の有志による組織。
消防防災活動を中心としながらも、地域の伝統行事等にも参加する等、
地域活動も積極的に実施している。
いつでも消防優先。
地元を守る頼れるヒーローたちだ。
この日、お話を伺ったのは、
駒ヶ根市の消防団バイク隊の
隊長の木下康彦さん(左)と、副隊長の吉瀬忍さん(右)。
駒ヶ根市の消防団員は600名。消防団の中にバイク隊がある。
現在、バイク隊員は17名。
通常消防の訓練の他に月に二度、救護や無線をはじめとする様々な訓練をしている。
消防活動用バイクは、機動力が武器だ。
大型車両や救急車が進入できない山道や狭い道路で、迅速に対応することができる。
山林での広範囲に及ぶ行方不明者捜索、山林火災、豪雨災害時、
車両渋滞時に先行して現場へ到着し車両到着までに初期活動など、
消防活動用バイク導入のメリットは大きい。
24年程前に消防の現場で、バイクが使われて以来、全国でバイクを導入する
組織が増えている。(2012年現在では58組織/消防庁調べ)
駒ヶ根市消防団バイク隊は10年前に発足した。
「消防団でバイクの活動があることを知っていたので、
自分たちの消防にバイク隊が発足するとわかったときは、真っ先に参加したいと思いました」
と木下隊長。
最初は、免許を持っている人が、5分団で4人ずつ選ばれた。
現在は、分団から3人。
「免許を持っていないと、バイク隊に入れないので、
隊員になるためにと、二輪免許を取得した人が二人います」
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最も多いのはオフロードタイプ
消防活動用バイクは、消防車や救急車が入れないような狭い道路や山道など、
バイクならではの機動力がある緊急走行が可能なバイクのこと。
スクータータイプや、ロードスポーツタイプもある。
地域によって、取り入れている車種が違うが、
最も多いのは、オフロードタイプ。
舗装されていない道路や林道などで威力を発揮する。
現在、駒ヶ根市消防団バイク隊のバイクは8台。
市役所構内の倉庫に格納されている。
緊急用車種と
オフロードタイプ二種。(XR230 / CRF250L)。
緊急用車種は、赤ランプを点灯させることができる。
車体に拡声器を接続してマイクとして活用することもある。
サイドには消火器を常備。
その他、バール、鋸、応急処置セットなど、
どのような現場なのかを瞬時に判断して、
機材を装備する。
「災害時に、おにぎりや水といった物資を届けることもありますし、
山火事では、バイクから燃料を抜いて車に入れたこともあります」
臨機応変、的確な判断が必要だ。
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訓練で士気を高める
今まで、アスファルトだけで練習していたが、
今シーズンから、
シーズンオフの駒ヶ根にあるスキー場で、山道を使って訓練をした。
「現場に強くなりたい。
だから、もっと山道での訓練回数を増やしていきたいです」
駒ヶ根市消防団では、桜こまち隊と称する女性消防隊員13名が活躍している。
近い将来、現場に向かう際に、バイク隊が出動するとき、桜こまち隊員がタンデムすることも計画しているとのこと。
いかなる現場にも、女性の存在は大きい。
子供、高齢者へ与える安心感。女性ならできめ細やかな心配り。
何よりその存在が、現場の雰囲気を明るくしてくれる。
消防団には、日々の訓練を競い合う全国消防操法大会がある。
消防技術向上と活動の充実を目的とした、真剣勝負。
全国相手に勝ち抜くためには、生半可な訓練ではない。
「バイク隊も、大会があれば、訓練によりいっそう力が入ると思うんです。
士気を高めて団結していきたい。バイクの全国大会ができたらいいと思います」
人命救助の現場は、真剣勝負。
人々の命を守るため全力投球だ。
■駒ヶ根市 http://www.city.komagane.nagano.jp/
■桜こまち隊フェイスブック https://ja-jp.facebook.com/SakuraKomachi.Komagane/
(協力)長野県駒ケ根市消防団
(文・写真)中村一葉(なかむらいちよ)