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【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第10回 大人の工場見学・ハンドル編

  • バイクのカスタム記事
  • 2018.10.01

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第10回。今回はバイクハンドルメーカーの老舗ハリケーンさんの製造工場にKAZU中西さんが取材!自らの愛車R25のセパハンカスタムを製造から追いました!滅多に見られない貴重な記事となりました。

  • バイクハンドルの老舗メーカー「ハリケーン」へ見学

ゴールドのホルダーにブラックバーのセパハン。80年代ライダーならピンっときたかな?大阪の老舗オートバイ用品メーカー、ハリケーン(大阪単車用品工業)です。


その当時、僕もかなりの本数を購入しました。ハリケーンのセパハン(セパレートハンドル)は車種別に設計開発されていて、装着に困ることが無かったと思い出します。


ハリケーンは1955年に創業。マフラーやハンドル、キャリアなどを主力商品として、60年以上も製造販売している老舗中の老舗メーカーです。

オートバイ用品の老舗

東大阪に所在。銘板が歴史を物語っています。創業当時からユーザーの声に寄り添ったモノづくり、安心して使えるパーツにこだわっています。現在は、三代目社長の阿部豪人さんが、伝統を重んじつつ時代のニーズに応える用品のリリースに意欲的です。


・実は昔の機械ほどよく働く

ハンドルバーやキャリアはどのようにして作られているのか?本来はNGなのですが、特別にその一部を見せていただきました。


先ずは阿部社長が子供の頃から稼働していたという100トンプレス機。高さは4mを超えるのでは?と思える巨大な機械です。一例として、クルーザー(アメリカン)モデル用のシーシーバー部材を製造する際に用いられるそうですが、歯車がいくつも組み合わせられていて、最新の機械に比べればアナログ感まんてんです。


さぞかし性能維持に苦労するのでは?と思いきや、「古い機械は構造が簡単で修理しやすい。なかなか壊れないですよ」と、阿部社長。オートバイにも言えることですが、メカニズムが簡単であるほど故障原因が分かりやすく直しやすいです。コンピュータ制御の自動機が当たり前の現代において、逆にシンプルさが新鮮でもあります。

長年働いている100トンプレス

加工するための部材を台座の冶具にセット。巨大な歯車の回転に合わせて部材が圧力変形します。


100トンプレスで作られるパーツ

 元は丸棒だった部材が、あっという間にオーバル断面形状へと成形されました。シーシーバーの部材などの大きなものは、100トンプレス機でないとうまく変形させられないそうです。


100トンプレスより小さいプレス機

 全高で約3mのプレス機。小さな部品の圧力成型に用いるそうだが、何を作っているかは企業秘密。

  • 様々なプレス機を駆使して作成される

・形状によって機械を使い分ける

ハリケーンの代表的な用品に、ハンドルバーがあります。作り方は、ハンドルバー用に切りそろえられた鉄製の丸パイプをベンダー(曲げる機械)にセットし、送る→曲げる→送るを繰り返して製造されます。言葉にすれば実に簡単ですが、曲げ作業に適した室温や湿度、機械の温度などが日々異なるそうで、それを計算に入れた機械のセッティングが重要だとか。そのこだわりこそ職人技で、正しくセッティングできなければ、曲げ終わったハンドルは左右が高さ違いになるなどの問題が起こるそうです。


ハリケーンのハンドルバーは、工業製品として認められる公差の範囲内・・・むしろそれ以上の精度で左右均等になっています。これぞジャパンスペック!

機械ベンダー

現在でも主力の自動ベンダーです。曲げる位置をデータ入力すれば、自動的にパイプを曲げてハンドルバーに成形します。


最新のコンピュータ制御ベンダー

 主力のベンダーより成形できるハンドルの種類はまだ少ないそうですが、今後は主力になっていくというコンピュータ制御の自動ベンダー。


手曲げ用のベンダー

 コンピュータ制御や自動ベンダーでも対応できない複雑な曲げのハンドルバーは、昔ながらの手動ベンダーで製造します。指定の曲げとなるよう計測しながら、少しずつ成形していきます。新たなハンドルバーの試作にも用いられ、まさに職人技が光る機械だと言えます。


・日本の職人気質が活きる

スワローやコンドルなど、特殊な形状のハンドルバーはどのように製作されているのか?要点は溶接部分の強度で、しっかりと溶接するために結合する部材の端部をテーパー状に成型。端部を合わせたV字溝に溶接部材を流し込むような結合方法で、強度の高いハンドルバーとなります。この溶接術に職人気質と経験が必要で、一人前と言われるまでには10年もかかるとか。ユーザーに安心して使ってもらいたいという真心がこもっています。


溶接強度にこだわり

中央部と両グリップ部、3ピースを冶具にセット。溶接部材をたっぷりと流し込むようにして結合させます。溶接作業後はV字の部分が溶接部材でかなり盛り上がるため、強度を損なわないように削って成形します。ハリケーンの求める仕上がりレベルや強度は、この方法でなければクリアできないとのこと。

  • 完成されたセパハンはカッコイイ

・王道だから妥協無し

ハリケーンのクリップオンハンドル=通称セパハンは、燃料タンクに当たらないクリップオンがモットーで、車種別専用に開発されています。先ずは長さ・高さ・絞り角などが異なるハンドルバーを数セット試作、実車にて装着確認します。一発でOKとなることもあれば、追加試作しなければならないこともあるそうで、開発者が納得のいくレベルまで徹底的に作り込まれます。数ある試作から選ばれた1本に合わせて量産用の冶具を製作。部材をセットし溶接されたハンドルバーは、仕上げ加工へ回され製品化されるという流れです。


組み合わせて使うホルダーにも、割り位置やセレーションボスの取り付け位置など、異なるものをいくつか試作し、ハンドルバーと同様の流れで製品化されます。僕はYZF-R25用の最終プロトタイプテストを手伝わせていただきましたが、前輪のグリップ感を把握しやすく、ノーマルよりスポーティな操縦性になったと思います。


その後、僕のYZF-R25用には、同時期にテストしていたバーハンドルキットを選びましたが、機会があればハリケーンの王道製品であるセパハン仕様で、全国各地を走り回ってみたいと思います。

R25用セパハンの試作

 これまでの製品と比較して、試作品は多くなってしまったというYZF-R25用のセパハン。初期段階では、この中からベストを選び出します。


セパハンの冶具

 ハリケーンの経験とノウハウが活きるセパハン用の冶具。車種別に用意されています。


仕上げ工程に行く前のセパハン

 溶接作業を終えたハンドルバー。この後、仕上げ工程に回されます。数回の工程を経ていく上で、何度も仕上がりをチェックされます。手間暇の掛かる作業ですが、そのような手順を踏んでいるからこそ、安心安全な製品ができあがります。


ホルダーの冶具

ハンドルバーのセレーションが収まるホルダー部。ハンドルバーと同じく、いくつかの試作行程を経て、製品化されていきます。一見同じように見えるホルダーでも、割り位置が異なっていますね?燃料タンクに当たらないセパハンには欠かせない仕様違いだとか。


完成したセパハン

 最終プロトタイプのテスト期間で印象に残っているのは、夜のカフェ巡りです。僕の世代だと、カフェレーサー=セパハンというイメージが一般的で、操縦性などの機能面はもちろん、夜のカフェに乗りつけた際の見栄えにもこだわってテストしました。ブラックのホルダーは、主張しすぎない見栄えの良さがあります。


・愛車感の追求

ハリケーンのハンドルバーでは、MT-09やXSR900向けに開発されたFATコンドル&スワローが、比較的に新しいラインナップだと思います。僕はレース車にも使っていたほど、ハリケーンのコンドルがお気に入りなので、VMAXに装着したらどうなるか?を試してみることにしました。VMAXのノーマルハンドルは、僕の体格だと腕開き肘上がり気味のライディングポジションになってしまい、Uターン時のフルロックがやりにくかった。FATコンドルは絞り角によって、フルロック時は腕の伸びきり状態を解消でき、予想以上の好印象でした。欲を言えば、バーの長さをもう少し延ばしたいところ。今後も理想のポジションを追い求め、様々なハンドルバーを試していきたいと思います。

VMAXにFATコンドル

 スロットルケーブルの取り回しを少し変えるだけで、他はノーマルのまま装着できたFATコンドル。取り付け位置(バーエンド高さ)に制約はありますが、安全運転講習会のカリキュラムも難なくこなせる仕様となりました。何より、ロングツーリングが楽になった。こうなると、より高みを目指したくなるので、今後もハンドルバー交換を楽しみたいと思います。

関連リンク

ハリケーン(大阪単車用品工業)

https://www.hurricane-web.jp/

制作・協力

■ライター:KAZU中西

文筆業をメインにステージMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)で活躍。

現在Z2(Z750Four=KZ750D)、VMAX(RP22J)、XJR1300(RP17J)を所有

プライベートではTOMCATSというモーターサイクルクラブに所属しツーリングやキャンプを満喫。

オートバイ以外の趣味はモーターボート。


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