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世界一のバイク王国、台湾の最新バイク事情(電動&シェアモデル)
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- 2018.10.12
台湾では今、急速にバイクの電動化が進んでいます。世界でも先端を走る台湾のバイク事情・電動化事情とあわせて、シェアリングモデルについてもレポートします。
台湾は、世界一の人口当たりバイク普及率を誇ります。その割合は2001年時点で人口
100人当たりなんと65.3台!と突出して多く、2位のマレーシアの約2倍もの普及率です。
一般的にGDPが3,000ドルを超えるとバイクから車にシフトすると言われていますが、台湾は
既に10,000ドル超で、車も充分普及しています。
それでもバイクが圧倒的なのは、気候やガソリン価格の高さなどの要素もありますが、一番
大きな要因はバイクの為のインフラが非常に充実している事にあります。
台湾に行かれた方ならご覧になったことがあると思いますが、専用レーンや駐輪場の多さなど、
バイク普及に必要なインフラ整備が最も整っている国と言っても過言ではありません。
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免許・交通法規、メーカーシェア
台湾のバイク販売台数は今年の予測で約80万台と、国土が狭いこともあり普及率の印象
ほど絶対数が多いわけでなく、日本の2倍弱の規模となります。
排気量別構成で見ると、51-250㏄のスクーターが圧倒的なシェアを占めます。(以下表)
ちなみに50㏄の2018年が0となっているのは2017年を持って販売中止となった為です。
また台湾では、排気量・出力別に運転できる免許が異なり、50㏄以下または出力3.73kw
以下が「普通輕型機車」で、50-250㏄未満または出力が3.73-29.84kw未満が「普通
重型機車」、250㏄以上、29.84kw以上は「大型重型機車」と分かれています。
日本の免許はこれに対応しますので、普通免許でどれでも乗れるわけではありません。
「普通輕型機車」は緑ナンバー、「普通重型機車」は白ナンバー、「大型重型機車」は550㏄
以下は黄色、それ以上は赤ナンバーとナンバーの色も異なります。
交通法規も緑・白ナンバーは交差点2段階左折、専用レーン走行義務があり、快速道路は
黄・赤ナンバーは走行可ですが、高速道路はNG等、日本と似ている部分もあり違う部分も
あるので、レンタルバイクを借りる場合は注意が必要です。
今年の予測では50-250㏄が79万台と圧倒的。電動(青色)は右肩上がり。今後は加速予想。
※資料協力(謝謝!):行將企業股份有限公司 https://www.sinjang.com.tw/Portal/
レンタルバイク店でレクチャー中。左端マークは大型でもダメ。右端は250㏄以上OK。日本で言うと首都高OK、東名NGみたいなイメージ。
朝の通勤風景。左の枠は2段階左折用で交差点にはほとんど引かれています。最初はちょっと戸惑います。対向のバイク大群!例えが悪いが蠅みたい・・・
また、メーカー別で見ると、①KYMCO、②ヤマハ、③SYMのTOP3でシェア90%近くと、他の
アジア圏と少々異なる傾向があります。
ここで「なぜホンダがないんだ」と思われる方も多いかと思いますが、実はKYMCOもSYMも、
元々はホンダの技術供与を受けて自社ブランドを立ち上げていったメーカーで、ホンダ自身は
2003年に一度台湾市場から撤退しているからなんです。
ちなみホンダは2017年からは「ドリーム店」を展開し再上陸をしていますがほぼ大型バイクのみ
でスクーターは扱っていません。
ハーレーやBMW・KTM等の大型バイクメーカーもありますが、先程の表にあるように、そもそも
250㏄以上の販売台数が2,000台にも満たない事と、250㏄以下でもスクーターが圧倒的
シェアですので、KYMCO・YAMAHA・SYMのスクーター以外はたまに見かける程度です。
ちなみに大型バイクの価格はメーカー・車種によって差はありますが概ね日本円換算で、1.5~
2倍の価格と、決して安くはありません。また最近の流行りはスーパースポーツ系よりCB1100RS
やトライアンフボンネビルと言った肩肘張らないで乗れるバイクが人気との事です。
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電動バイク事情
そんな中、台湾では昨年、政府が2030年迄にバイクの全面電動化の方針を打ち出した事
もあり、急速に電動バイクが普及し始めています。
これも先程の表を見て頂くとまだ数は少ないものの急激な伸びがお分かり頂けると思います。
台湾の電動バイクと言えば、スマホ的な販売形態やカートリッジ式電池で急成長中のGogoro
(日本では石垣島のレンタルバイク実証実験でも話題になっていますね)が真っ先に思い
浮かびますが、シェアTOP3も黙ってはおらず、トップのKYMCOは同じくカートリッジ式電池方式
のスクーターを先日発表し追撃、2番手ヤマハはGogoroと業務提携を行い追随するなど、
世界で最も電動化が進んでいる国となっています。
Gogoroは台北市内に4拠点、複数箇所の充電ステーションインフラ(全国では400か所との
事)を既に構築しており、現在のところ一歩リードしていますが、今後はKYMCOの追随や
ヤマハ連合との趨勢等、シェア争いは混沌としてくるのでしょう。
但しユーザー目線で言えば、カートリッジ電池の規格が違うようで互換性の問題が今後出てくる
のが懸念点ではあります。
なお、電動化促進の為、政府が日本で言うところのスクラップインセンティブのような下取助成金
(2スト4ストで異なるようですが、4,000-5,000元、日本円で15,000-20,000円程度)を
出しています。覇権争いは混沌とするのでしょうが、今後ますます電動化へ拍車がかかっていくもの
と思われます。
台北市内のGogoro販売店。スマホ/PC店の隣なんですね。創業者がスマホメーカー出身だけありますね。
ショップ内。こちらもAppleストアのような雰囲気。奥のピットでは作業も。見ていると電動バイクらしく、ASSY交換が主の様です。
Gogoroの充電ステーション。台北はショップ&GS併設が確認できましたが他ではコンビニ店頭もあるようです。
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シェアバイク(&自転車)事情
台湾ではMRTという地下鉄や路線バス・タクシーなど、公共交通機関はもとより、多くの車・
バイクレンタル店もあり、交通インフラはとても発達していますが、近年話題となっている「シェリング
エコノミー」においても更に先端を行っています。
街中でよく見るのは、行政主導、駐輪ポートで管理する方式の「U-Bike」ですが、その他乗り
捨て系の「O-Bike」等、レンタル自転車を非常に多く見ることが出来ます。
もちろんバイク王国ですので、やはりその手のサービスがありました。
「WeMo」という、「電動」・「シェア」スクーターで、スマホでアプリをダウンロード、カード情報等登録
するだけですぐ使えます。
WeMoは乗り捨て型のシェアスクーターなので、現在空き状態のスクーターの位置情報とバッテリー
残量がGoogleマップ上にピンを立ててあり、瞬時に探せる、借りれる状況になっています。
実際に借りてみましたが非常に便利でした。
ちなみにWeMoは可動エリアが台北市内に限定されていますが、ピンをざっくり見たところ500台
くらいはあるようで、近隣で探すのには苦労しませんでした。また、電池はカートリッジ式ではなく、
回収部隊が回収、充電しているようです。
実際に公共交通機関を利用するユーザーは、家と会社の往復は公共交通機関、日中の近距離
移動はシェア自転車、というような使い方がもはや一般的で、複数の自転車シェア、WeMoのような
シェアバイクまであり、移動手段の豊富さ・自由さには本当に驚かされます。
WeMoはこんな感じでいろんなところに無造作に置かれています。緑ナンバーなので出力3.73kw以下。
スマホで検索、予約、開錠/施錠、決済全て完了!とてもカンタン。ちなみにメットインスペースにはメット×2と使い捨ておでこパットが。
政府主導のシェア自転車、U-Bike。ご覧の通りポート管理方式。ちなみにジャイアント製らしいです。
日本に置き換えてみると、バイクのインフラ充実度は全くかなわないものの、今後ホンダと郵政が
郵便局をハブにした電動化実証実験を行う発表も既にされていますし(先日発表されたイ
ンドネシアでの実証実験はそのパイロット版?)、バイクの領域では電動化は確実に今後
日本でも進んでいくでしょう。
先行指標としても非常に参考になる台湾のバイク・シェアリング事情でした。
バイクの窓口編集部