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【今週のレア車】Vol.158 カワサキAR80
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- 2019.04.04
毎週木曜日に行われる業者間バイクオークションに、全国から出品される中古バイクの中から、レア車をピックアップしてご紹介するこのコーナー。今回は、ゼロハンスポーツブームと共に生まれた名車、AR80です。
AR80は「峠の750キラー」と言われたカワサキの80ccロードモデルです。
このバイクをご紹介する前に、兄弟車であるAR50とその時代背景にも少し触れておきたいと思います。
AR50は1981年に発売された空冷2ストロークのゼロハンスポーツです。
このゼロハンスポーツが、実はめちゃくちゃ充実したカテゴリーで、バイクブーム真っ盛りの1980年代初期に各メーカーからそれぞれ代表的なモデルが販売されていました。
ヤマハからはRZ50、スズキからRG-γ(ガンマ)、ホンダはMBX50、そしてカワサキのAR50とそれぞれ自主規制ギリギリの7.2馬力を発生するパワフルな2ストロークエンジンを搭載。最高速度も〇〇〇kmに迫るモデルも・・・。
スタイリッシュなデザインも各メーカーで特色があり、当時のバイク小僧(私もそうです(^_^;))たちは色めき立ちました♪
50ccとはいえスクーターとは違うフルサイズのゼロハンスポーツは、若者たちのハートをがっちり掴み一大ブームを巻き起こしたのです。
ところが残念な事に、ブームになればなるほど事故を起こすライダーが増えてしまい、当時の運輸省から1983年に『速度性能の抑制等に関する措置についての通達」が出されました。
この通達を受け、各メーカーは自主規制という形で、新たに販売される原付は最高速度を60km/h以下に規制したのです。
この規制により、50ccでありながらそのスペックで若者を魅了したゼロハンスポーツは、一旦その盛り上がりを鎮めることとなりました。
今回のレア車、AR80はこれらゼロハンスポーツと発売時期こそ同じ頃ですが、50ccの盛り上がりの陰に隠れて当時もそれほど取り上げられる事のなかったダークホースです。
その心臓部は78ccの空冷2ストロークの10馬力を発生するエンジンで、スペックこそ突出したものではないですが、77kgと軽い車両重量と市販車に初搭載されたユニトラックリアサスペンションのおかげでパワフル且つスムーズな走りを可能としていました。
その為、パワー差の出にくい下りのワインディングでは大排気量のバイクを追いまわし、冒頭で触れた「峠の750キラー」という異名がつくようになったのです。
今回の個体はマイナーチェンジ後、GPZ風のサイドカバーからテールカウルまで、一体化したデザインとなったモデルでその流麗なデザインは今見てもかっこいいです。
当時、私の友達がこのAR80に乗っていたのですが、チャンバーから少し白煙を吐きながらパーーーンと走り去る姿が今でも脳裏に浮かびます。
今となってはなかなか手に入らないAR80、レストアベースに是非いかがでしょうか?