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【今週のレア車】Vol.163 ヤマハTX500
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- 2019.05.23
毎週木曜日に行われる業者間バイクオークションに、全国から出品される中古バイクの中から、レア車をピックアップしてご紹介するこのコーナー。今回は、実は高性能な絶版車ヤマハTX500です。
このバイクが発売された1973年からさかのぼること数年、1960年後半のカワサキW1、ホンダCB750Four、1970年初頭のカワサキZ1、ヤマハXS-1など日本のメーカーは、それまで海外のメーカーの独壇場だった大排気量のモデルを、次々とデビューさせました。
その中には今で言う「絶版車」「旧車」と呼ばれる魅力的なバイクが数多く存在していますが、その多くは美しいデザインと特徴的なエンジンを備えていました。
特にこの時代は4ストロークの進化がめざましくCB750FourはSHOCではありましたが量産車としては世界初の直列4気筒、いわゆるインラインフォアを取り入れていましたし、Z1はそれを超えるDOHCを採用、一気に最高出力を82馬力まで引き上げるなど、各メーカーが威信をかけて最新技術を投入してそれまで2ストロークが中心だった日本のオートバイ事情を変えていったのです。
(もちろん2ストロークにもマッハシリーズやGTシリーズなど継続して人気を博したモデルもあります。)
そんな背景の中1973年に今回のレア車TX500が発売されました。
このバイクは当時の最新技術をつぎ込んだDOHC8バルブ並列2気筒エンジンを搭載、最高出力48ps最大トルク4.6kg-m、ゼロヨン13秒の実力を発揮しました。
当時ヤマハがこだわったパラレル(並行)ツインエンジンは高回転になると強い振動を発生し、スピードを出せば出すほど振動も増すという特徴を持っていました。しかしヤマハはこのエンジンにバランサーを組み込みこの振動を皆無にする事によってより安全、快適に走行することを可能にしたのです。
その他にもこのバイクにはH型アルミリムや2ピストンキャリパーのディスクブレーキ、ケイヒンの負圧式キャブなど随所にヤマハの走りに対するこだわりと最新技術がつぎ込まれ、その圧倒的なスペックは「4ストロークのマッハ」と呼ばれました。
このようにその性能は折り紙つき、当時のヤマハの全技術をつめ込んだといっても言い過ぎではないTX500ですが、同時期に発売されたカワサキのW3(4ストローク空冷並列2気筒OHVを搭載)や、先に販売されていた同じヤマハのXS-1などに比べてもマイナーで、今やその姿を見る事はほとんどありません。
今回の個体は、ほぼオリジナルの状態を保つ貴重な1台で、走行距離も1万Km弱!