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【今週のレア車】Vol.230 トライアンフT(タイガー)70

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  • 2020.11.25

毎週木曜日に行われる業者間バイクオークションに、全国から出品される中古バイクの中から、レア車をピックアップしてご紹介するこのコーナー。今回は、意外にも初登場のメーカー、トライアンフのT(タイガー)70です。

トライアンフ(Triumph )は、現存する一番古いオートバイ製造販売会社です。


この会社の原型はシーグフリード・ベットマンというドイツ人が1885年にロンドンで興した貿易会社でした。

その後自転車販売、製造、オートバイ生産販売と事業を拡大、1906年には社名「トライアンフ・エンジニアリング」となったのです。


トライアンフの製造するバイクは当時からマン島TTレースなどで活躍し、性能の割に安価で頑丈という評価を得ていました。


まだ第一次世界大戦の前の時代のことです。


しかし、第一次世界大戦後は他社との競争についていけず次第に業績が悪化、自動車販売に乗り出すなど改革を推し進めようとするもうまくいかず1936年、オートバイ部門は自動車部門から切り離され実業家、ジャック・サングスターという人物に買収されました。


トライアンフの改革と立て直しを図ったサングスターは、別のオートバイ会社「アリエル」でチーフデザイナーを務めていたエドワード・ターナーという人物を迎え入れました。

このターナーは、それまであったモデルをベースに、新しいモデルを開発しました。


そうして出来上がったのがOHVエンジンを搭載した3つのニューモデル(タイガー)だったのです。


このニューモデルはそれぞれ「タイガー70」(250cc)、「タイガー80」(350cc)、「タイガー90」(500cc)と名付けられました。

タイガーの後に続く数字は、排気量モデルごとの最高速度を示す70マイル、80マイル、90マイルからきています。

このタイガーシリーズは性能だけでなく、その芸術的なデザインでも好評価を受けて人気車となり、好調な販売を見せました。


こうしてその他の企業努力も相まってトライアンフは徐々に業績を回復させていったのです。


現在のトライアンフといえば水冷並列3気筒エンジンを搭載したアーバンスポーツとしてのデイトナ、スピードトリプルや空冷並列2気筒エンジンで鼓動感を演出したボンネビル、スクランブラーなどモダンクラシックなモデルで人気です。


100年以上から存在するトライアンフ。幾度となく経営の危機を乗り越え、戦争、恐慌をも乗り越えてきた現存する最古のバイクメーカー、今回のT70はそんな歴史にも寄り添いながら現在まで生き続けている超レア車だと思います。

そんな事を考えながらあらためて眺めてみると、また違ったバイクに見えてくるかもしれませんね。


さていくらで競り落とされるのか大変楽しみです♪

独特な取り回しのフレームやリヤサスが渋いです。

エンジンの造形も独特で機能美を感じさせます。

制作・協力

バイクの窓口編集部

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