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【バイクメンテナンス】走れば減るし、置いときゃあサビる
- バイクのメンテ記事
- 2023.04.13
【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.164。バイクを購入した時のコンディションを維持するためには?カズ兄さんのメンテナンス術をご教授いただきました!
バイクの楽しみ方は、乗る・飾る・磨く・カスタムする…とまぁ、まさに十人十色だと思います。購入した時のコンディションを維持するためには、それなりの手入れとか努力がかかせません。とにかく、暇さえあれば走る!という人にとっては、消耗品のチェックとサビ対策が重要だと思います。何故なら、乗るのに忙しくてお手入れが後回しになりがちだからね!
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ハンドル交換は効果絶大だった
前々回にレポートしたVMAX1700のハンドルバー交換。ハリケーンのヨーロピアン2型に交換したわけですが、あまりの乗りやすさから稼働率が異様に高まっています。ツーリングなどの通常走行時は、VMAX1200もしくはXJR1300に近しいライディングポジションとなり、長距離がまったく苦にならない。Uターンなどの小回りさせなければならない場面でも、リラックスしてフルロックターンが可能です。なんでもっと早く交換しなかったのか…そう思っていますが、数年前までVMAX1700のテーパーハンドル用クランプをφ22.2に変換するカラーが無かったのでね。汎用ハンドルに交換するというアイデアが、物理的に使えなかったとも言えます。
サーキットのスポーツ走行のように、速度を上げて走りを楽しむ際は、前傾姿勢の方が操縦しやすいと思います。XJR1300で言えば、06年モデル(キャブレター仕様)までのハンドル形状より、07年モデル以降(FI仕様)の方が前傾になって走らせやすい。VMAX1700のノーマルハンドルも、スポーツ走行に適した形状になっていると思います。
しかしながら、VMAX1700のノーマルハンドルは、いわゆる安全運転講習会または関連する運転技能練習会などの場面で、リラックスポジションを取りにくくクイックな向き変えなどの操縦性に難があります。例えば切り返しが連続する場面(会場の都合上あえてボケた写真を使っています)では、僕の体格だと腕が突っ張ってしまい、上手くステアリング操作ができません。小道路旋回(白バイがよくやる回転半径の小さなUターン)では、ステアリングのフルロック状態を維持しづらい。よって、僕にはノーマルハンドルが合っていないのです。
よって、前々回に紹介したハンドル交換となったわけですが、試行錯誤の結果、ケーブル&ハーネス類を変更することなく装着できたハリケーンのヨーロピアン2型は、僕にとってジャストミートなチョイスです。友人知人やVMAX1700乗りにも跨ってもらいましたが、「これはラクだ!」と賞賛いただきました。
操縦しやすいハンドル形状になったので、取材現場への移動もVMAX1700で行く回数が増えます。先ごろは、焼津のモータープラザカワイさんを訪問。静岡県唯一のカンナム・スパイダー正規販売店として知られていますが、2023年よりレンタルバイクも開始とのこと。人気急上昇中のFBモンディアルやAJSのレンタルバイクを用意していました。VMAX1700のハンドルバーがかなりUPポジションになったせいか、それらレンタルバイクに跨っても、ライディングポジションに違和感なし。これなら、VMAX1700で行って現地で乗り換えのレンタルスタイル、そんな楽しみ方もできそうです。
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乗りやすくなった反面、見落としがちになる消耗品
VMAX1700があまりにも乗りやすくなったためか、走行距離もうなぎ上りに増えていきます。純粋に走らせることが楽しくなるのだから、当然のことかもしれません。そんなある日、乗りやすくなったにもかかわらず、ハンドル操作に違和感を覚えるようになりました。もしや?確認してみると、フロントタイヤが想像以上に摩耗していて要交換の状態。VMAX1700の操縦性は、他のヤマハ車と比較してフロントタイヤへの依存度が高く、交換タイミングもリア1回に対してフロント2回というあんばいです。ローダウンサスペンションキットを装着している車両や、リアタイヤを240化している車両では、異なるかもしれません。前輪の負荷が大きいということは、ブレーキの負担大も予想されるので、ブレーキパッドの交換も視野に入れてYSP沼津さんに点検整備を依頼しました。
ここ1ヶ月ほどで、走行距離がバンバン増えるVMAX1700。燃料タンクを工房nagamiのステンレス20Lタンクに換装しているから、ノーマル以上にワンチャージ(給油)で走りっぱなしが可能。それも少なからず影響していると思います。違和感を覚えたフロントタイヤですが、一般的にはもう少し使えそうな残溝量だけれど、VMAX1700ではNGとなる状態です。ここまで減ると、ハンドル操作が激重になります。
用意した新品タイヤはダンロップのロードスマート4です。リアがロードスマート2なので、フロントも「2」にしたいところですが、市場在庫の都合上こうなってしまいました。ロードスマートシリーズは、前後のタイヤが連携することで疲労感の少ない乗り心地と絶妙なハンドリングを実現していますが、VMAX1700のタイヤサイズはかなり特殊な部類なので、「2」で合わせることができなかったのは残念です。しかし、意外にも4と2の連携具合が良くて、今のところはロードスマートらしさを楽しめています。ブレーキパッドは、案の定減っていましたので新品交換。これでフロント周りの不安がなくなったので、バンバン走り回れますね。
交換後の初遠乗りは、愛知県の平針に所在する運転免許センターへ。二推指導員の研修会がありました。VMAX1700でコースを走る難しさは、指導員仲間もよく知るところ。ねぎらいの言葉を多くいただきましたが、ライディングポジションの改善とタイヤ&ブレーキパッドのフレッシュ化によって、意外に難なくこなせたように思います。比較的に近い地域では、静岡市内に所在するSBSラジオのバイク番組特番に出演。番組内でも話している通り、移動手段はモチロンVMAX1700です。収録が終わるころにはすっかり夜中でしたが、そんな夜走りも心地よいと思えるほど、軽やかな操縦性となっていました。消耗品を交換しただけですが、これほどまでに走りが楽しくなるのかと改めて実感。なお、ラジオ番組の方は、現在YouTubeチャンネルでチェックできます。
その後も、VMAX1700を駆ってあちらこちらへ。今年の春は、桜を求めてツーリングも楽しみました。最終的には桜見物でにぎわう松崎まで行ってしまい、ついでにバイク乗りが営むゲストハウスBBロードにおじゃま。バイク談議で盛り上がりました。花見で混雑している観光地では、Uターンを強いられる場面が多いわけですが、タイヤ・ブレーキ・ハンドルバーの変更が功を奏して、いかなる場面でもタチゴケの不安なくスマートに操縦できます。タイヤ交換の判断が難しいタイミングでは、よくツーリングから帰ってきて…そうなりがちですが、出先での快適さを考えれば事前に交換しておくのが良いと思います。
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サビを防錆塗装に変換するアイテム
遠目で見れば比較的にきれいなVMAX1700ですが、手を入れにくい部分は意外にサビています。これは保有しているバイク全てに言えることで、新品に交換してしまえば簡単に問題解決!となります。しかしながら、機能的に問題はないけれどサビだけ何とかしたいというパーツもあるわけで、そう考えた時には分解してひたすらサビ取りをすることになります。サビ問題を簡単に解決する方法としては、赤サビ→黒サビへの転換剤がメジャー。我が家はベランダ等の鉄筋鉄骨部分に、BAN-ZIさんのサビキラープロを使用しています。これは、赤サビ→黒サビへの転換塗料で、ケレン作業(サビを削り落とす下地処理)をかなり簡素化できるというスグレモノ。そんなサビキラープロと、まさか大阪モーターサイクルショーで出会えるとは!最近では、バイクのレストア用アイテムとしても認知度が高まっているサビキラープロなので、僕のスキルでも使いこなせるものだろうか?という意味も含めて、試してみることにしました。
僕は大阪&東京モーターサイクルショーと、南海部品ブースにてMCを務めさせていただきました。その合間に、会場をぐるぐると…あれ?家で見たことのある容器が並んでいる!そう、BAN-ZIさんがブース出展していました。僕自身、サビキラープロは前々から家屋の補修で使用、最近では宮城光先輩が出演するバイクレストア系YouTubeチャンネルでも見ていたので、同じく出演しているBAN-ZIの宮原社長にお会いできて感激、ご挨拶させていただきました。宮原社長に僕の作業スキルをお話しすると、バイクでも使いこなせると思いますよ、とのこと。これで自信をもって取り組めます。
伊伝バイクコーティング事業部にて、サビキラープロのガンメタを試してみました。対象はZ2のフロントブレーキホースブラケット。盛大にサビていましたが、脱脂後にサビキラープロを塗布して約20分。赤サビはすっかり無くなっていました。これは凄い!感激です。
Z2にて、サビキラープロの性能を確認したところで、CeramicPro9Hのコーティングで入庫していたVOXにも施工してみることに。お客様に承諾を得て、目立つ赤サビ部品に施工してみます。特にサビが酷かったのは、フロントサスペンションのアンダーブラケット(ステアリングステム)ですが、Z2の時と同じく脱脂してサビキラープロ・シルバーを塗布。20分後にはご覧の通り。今回は刷毛塗りで承諾を得ていたので、このような仕上がりとなっていますが、実はサビキラープロ、塗料ですのでペイント用のエアガン塗布も可能です。おそらくパーツを外してガン吹きすれば、もっときれいに仕上がったと思います。
ハンドルバー交換と消耗品交換で、走らせることがより楽しくなったVMAX1700。そして、遠出すれば新しい情報にたくさん出会えると、改めて思った次第です。4月2日に56歳となったカズ兄ですが、過信慢心することなく新たな技術取得や情報収集に努力していく所存です。
■ライター:KAZU中西
フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。
観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。
一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング