他カテゴリ記事を絞り込んで探す
話題の超ロングライフタイヤを試す
- バイクのカスタム記事
- 2025.03.11
【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】vol.187。噂のタイヤのレポートが届きました!

摩耗ライフ47%向上!?とてつもなくキャッチーなコピーライトをひっさげ登場したブリヂストンの新型スポーツツーリングタイヤT33。
それを検証するには、かなりの走り込みを要しますが、本格ツーリングシーズンに向けて使ってみたい!という人も多いのでは?
まだ数百kmしか走っていませんが、現時点で気づいたことをリポートします。
1. 装着時にチェックしておくといいね!
2. 感心する軽快なハンドリング
3. 2℃のウェット路面でも安心感高し
-
1 装着時にチェックしておくといいね!
今回、話題のバトラックススポーツツーリングT33を履かせる車両は、03年型XJR1300。以前はロードスマート3Sを履かせていました。
ロードスマートシリーズは、初期版からずーっと使い続けてきたタイヤで、路面を踏みしめるような接地感、温まり時間の早さから得られるグリップ力への信頼感、リアタイヤのリーンアングルに連動するフロントタイヤの操舵が思い通りのライントレースを可能とする操縦性など、ダンロップのスポーツツーリングタイヤとしては僕にとって理想的でした。
一方、ブリヂストンのバトラックスシリーズについて、直近ではS21、S22、T32、TS100の装着車両を走らせる機会があって、T32のウェット性能やロードホールディング性に好印象でした。
タイヤを交換する際は、サスセッティングをSTD状態に戻す、溝の深さを測る、エアバルブも新品に交換する、交換時の走行距離をメモっておくと良いです。特に溝の深さは複数のポイントで計測しておくと、摩耗具合が判って後々役に立ちます。
今回の交換作業はYSP沼津に依頼しました。先ずは装着されているロードスマート3Sの溝深さをチェック。ゲージで測ってみると、平均して4mmでした。簡易的にチェックしたい時は、硬貨を使うと新品との違いが分かりやすいと思います。
フロントのロードスマート3Sは、絶望的に摩耗していました。溝の深さは1mm。当然のことながらスリップサインも出ています。要交換ですね。
バルブを新品に交換してT33を装着。リアの溝を測ると7mmでした。スポーツツーリングタイヤの相場的には6.8mm前後なので違和感なし。
リアと同様にバルブを交換してからT33を装着。溝は4.6mmでした。市販オンロードスポーツ用ラジアルタイヤでは平均的な数値だと思います。
-
2.感心する軽快なハンドリング
タイヤ交換作業を終え、エア圧を標準値に合わせてYSP沼津を後にしました。
走り出してすぐに気づいたのは、ハンドリングの軽さ。酷く摩耗していたロードスマート3Sから履き替えた直後だからかな?とも思いましたが、さらに走らせていくとT32よりさらに軽い印象です。
旋回性に影響するリーンアングルのつき方については、ナチュラルに傾いていく感覚。途中で接地感が強く出るようなことは無く、その気になればトレッドのエッジ領域まで軽やかに傾いていきます。
それでありながら、接地感に不安を抱くようなことがなかったので、新技術をフル投入したスポーツツーリングタイヤって、まさに次世代感覚なのだなと思いました。別の表現をするならば、グリップ力を重視してタイヤ選びしている人は、この軽快なフィーリングに慣れる時間が必要かもしれません。
街乗りのハンドリングは、軽さ際立つ!という感じで、車体の傾きが増えてもハンドリングが重くなるようなことは無かったです。また、コンビニ等へ出入りする際、段差越えでタイヤの向きが急激に変わるようなことは無く、安心感が高いです。
伊豆半島ならではの海沿いワインディングロード。ハンドリングはいたって軽やかで、荒れた路面も含めた乗り心地の良さに好印象です。
スポーツツーリングタイヤの真価が問われる峠越えのワインディングロード。ここでもハンドリングの軽さが際立っていました。リーン角を増していっても接地感に大きな変動がなく、疲れず操縦しやすい印象です。
-
3.2℃のウェット路面でも安心感高し
T33はスポーツツーリングタイヤを謳っています。となれば、ドライで気温の高い日はもちろん、低温やウェット路面にも強い性能が求められます。
今回は気温10℃前後だったYSP沼津ツーリング、2℃の舩原峠越えにてタイヤ性能をチェックしました。YSP沼津ツーリングでは、宇津ノ谷の旧街道トンネル、大井川港のみなと家、蓬莱橋を巡るルートでした。伊豆の舩原峠越えは、あえて夜間にトライしたのですが、昼間のドライ路面時と同様のハンドリング&乗り心地で全く不安感無し。
急に滑り出しそうな感覚もなかったです。とにかく、どのような走行シチュエーションでもハンドリングの軽さが際立っていて、強いて言うならCB1300SFっぽい操縦感覚でした。これを良しとするか否かは、乗り手次第というところでしょうか。
先月に引き続き、YSP沼津ツーリングに参加。スポーツツーリングタイヤの性能検証にもってこい!のイベントです。スタート地点は沼津の千本公園。県道、国道1号線と繋ぎ、静岡市の宇津ノ谷峠を目指します。ここは、明治・大正・昭和・平成と、年号毎にトンネルが掘られており、工法の違いも含めて時代感を伝える観光スポットとなっています。近くに道の駅もあり、アクセス性も良好です。
宇津ノ谷峠のトンネル見学の後は、大井川港のみなと家で昼食。焼津の市街地を抜けるのに少々時間を要しましたが、トラブル等に巻き込まれることなく一同無事到着。事前に予約しておいたため、数量限定のみなと家丼にも無事(?)ありつけました。
食事中に天候が急変、雨がぱらつく空模様となりましたが、予定通りに島田市の蓬莱橋を目指します。この日はどういうわけだか、県道・国道共に空いており、小一時間で現着。蓬莱橋は全長約897.4mの木造人道橋で、「世界一長い木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定されています。以前訪れた時より周辺整備が進んでおり、駐輪事情も良好でした。バイクで渡ることはできませんが、一見の価値ありだと思います。
今回のツーリング企画は、下道オンリーと銘打たれていたため、僕にとっては絶好の検証シチュエーションでした。
途中、何度も右左折しましたが、ハンドリングの軽さ&素直なリーン角のつき方に好印象。ギャップ越えの柔軟性等、乗り心地の良さにつながる技術がふんだんに採り入れられていることも確認できました。
ツーリング性能重視では、疲れにくさもポイントになりますが、リアタイヤがフロントタイヤの操舵をリードすることによる疲れにくさとは異なる、フロントとリアがそれぞれにリニアなロール性を持ちつつ、シンクロするかのような独自の操舵性が疲れにくさにつながっていると体感しました。
疲れにくさにおいては同じレベルですが、その引き出し方は色々あるのだなと再確認できたように思います。
■ライター:KAZU中西
フリーランスのモータージャーナリスト。通称カズ兄さん。イベントMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)などタレント業でも活躍。
観察分析力に定評があり、開発に携わったバイク用品やカスタムパーツも多数。
一方では、二輪車の事故防止&安全利用の最前線に立つ『Mr.事故ゼロ』とも呼ばれている。愛車はスペシャルメイドのZ2他。趣味はプレジャーボートのクルージング