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【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第6回  僕とXJRとネイキッドバイク。

  • バイクのメンテ記事
  • 2018.09.02

【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第5回。今回はの記事はKAZU中西さんがネイキットバイク、XJRの魅力を語る回となっております。2017年、惜しまれつつも生産終了となったXJR1300。きっと今でもファンの方は多いのではないでしょうか。

  • 高校生のKAZU中西。ノンカウルと出会う。

ノンカウルという名のオートバイ

僕は高校3年生の時に、隣町のレンタルバイク店で

アルバイトをしていました。

当時はハーフカウルやフルカウルの

いわゆるレーサーレプリカが出揃い、

レンタル車もそれらの新型を用意していました。


そんなある日、レンタルバイクとしてFZ400Nが入荷するとのこと。

Nってなんだ?と話題になりました。


先輩方が言うには、

FZ400NのNはカウルなし、ノンカウルのNだよ!とか、

いやいや、ネイキッドのNでしょ?と。


フルカウル全盛の時代に、逆行するかのようなノンカウルスタイル。

僕は、異端児っぽいカッコよさを覚えていました。



不利を承知で挑む

80km/h以上になると恩恵を実感できる

フルカウル(フルフェアリング)スタイル。


レースの世界では、今や必須の装備だと言えますが、

僕は野武士の如く挑んでいくネイキッドスタイルが好きです。


90年代に入ってからは、排気量を問わず様々な草レース、

イベントレースに参戦してきましたが、

ルール上でOKならば、可能な限りネイキッド仕様のマシンで走りました。

サーキットでもカウルなし

カウルがあれば最高速で有利、転倒時のダメージも少ないように思います。

それでもネイキッドスタイルにこだわるのは、マシンの基本性能とライダーのテクニックだけで勝負したかったから。

ライダーとしての骨太感、強さを求めていたのかもしれません。


月刊オートバイ誌主催の最高速記録走行会=MAXZONEミニで出走させていたYB-1FOURは、FSWのメインストレートで125.33km/hをマーク。

メーター読みでは130km/hに届きそうでした。

冷静に考えれば、カウル付きならもっと速い記録がでたのかな?と思います。

カウルのないバイク

高校2年生の頃は、ハーフカウルの84年RZ250RRに乗っていましたが、以降の街乗りバイクはノンカウルへ。中古で購入したMVX250Fもビキニカウルを外した丸目仕様に。FX400Rは、ノンカウルゆえの武骨さみたいなところが気に入っていました。ZRX1100について、本心では丸目仕様のZRX1100-2が良いなと思っていましたが、ビキニカウル車は後々丸目仕様にカスタムしやすいとのことでしたので、ビキニカウル標準装備のZRX1100を購入しました。

近年のネイキッド

ノンカウルはカウル装着車がベース。現代のいわゆるネイキッドバイクは初めからカウルなしです。ネイキッドバイクはここ3年ほどで、ネオクラシックとスーパーネイキッドに分派したように思います。共通しているのは、カウルがない事による開放感、取り回しの良さだと思います。

  • そしてXJR1300と遭遇。日々増す安心感

衝撃的だったXJR1300の走り

2003年、二輪専門誌の仕事でXJR1300に試乗。


XJR1300自体は98年型に乗ったことがあり、

フィーリングや走行性能についてはよく知っていたつもりでした。


しかし、軽量化と環境対応が進んだ2003年型は、

それまでの「空冷ネイキッド感」を完全に払しょくしてくれました。


水冷4気筒エンジンか?と思わせるほどの、シャープな吹け上がりと静粛性。

吸いつくような路面追従性、軽やかでキレのいいハンドリング。

迫力のある燃料タンク、視認性の良い2眼メーター、etc。


空冷4気筒のビッグネイキッドが、これほどまでに進化するとは…。

XJR1300の走行性能や運動性能に感心しきりでした。

衝撃的だったXJRの走り

1999年モデルまでは安定志向、2000年モデル以降はスポーツ志向だと実感したXJR1300。

雑誌の記事を書くだけなら、メーカーの広報車に試乗して終わりなのですが、あまりにも気にいってしまったので、2003年モデルよりメーターデザインが変更(180km/hスケール→260km/hスケール)となった2004年型を購入。


スポーツもツーリングも良い

XJR1300よりスポーツ走行性能に特化したもの、ツーリング性能に特化したものはたくさんありますが、街乗りからキャンプツーリング、サーキットのスポーツ走行まで、万能に対応できる1台を選ぶならXJR1300が候補に挙がるでしょう。ポイントは、行き過ぎていない人馬一体感。走り込むほどに、シンクロ率が高まります。




ジワジワと思い知る絶大なる信頼感

どんなオートバイを購入しても、すぐさま遠出はしません。

徐々に行動範囲を広げ、エンジンの調子やサスペンションの具合など、

走行データを蓄積していきます。


結果的に北は仙台、南は熊本まで走りましたが、

乗る距離が増えるほどにXJR1300への信頼感が高まっていきます。

僕はフルカウルの水冷スポーツバイクにもたくさん乗ってきましたが、

どういうわけだか、出先では水回りのトラブルに見舞われること多し。


ラジエターホースにピンホールが開いて冷却水が漏れだす、

高速道路の走行中にラジエターホースが抜けて熱水でやけどする、

ウォーターポンプが壊れて冷却不全になる、etc.


その点、XJR1300は空冷エンジン車ですから

水のトラブルは物理的に発生せず、

いきなり走行不能になるようなトラブルも無く、

旅の相棒として絶大なる信頼感を持っています。

絶大なる信頼感

僕は1台当たり、年間で1万キロ~3万キロを走ります。寒暖や雨風も関係なく走らせます。

ロングツーリングや取材では、出先で壊れないことが必須。

XJR1300は、その要件を十分に満たせるオートバイだと実感しています。

2004年モデルでは、10万キロ走行時にエンジンを分解して中身を点検したのですが、全て規定値内で問題なし。

驚くべきタフネスさです。

  • XJR1300だからこそ気を付けるメンテナンスポイント

XJR1300だからこそ気をつけているメンテナンス事項

どんなオートバイでも、

ノーメンテ状態では正しく機能できなくなります。

機械ものは動いた分だけ消耗します。

だからメンテナンスが必要。


XJR1300の場合、エンジンオイル管理が

調子の良し悪しや寿命に大きく影響すると思います。


空冷エンジンは、

走行風やエンジン周辺の空気との熱交換にてエンジンを冷却、

安定的に動き続けられるよう設計されています。

レースなどの限られた条件下で走らせるなら

ここ一発の性能にこだわったエンジンオイルを選びますが、

ストリートユースなら受熱劣化の遅いものが良いと思います。


交換時期は、運転(稼働)時間で管理するか、

油温と油圧のデータを取り続けて、性能の下限を目安にしています。

そこまで厳密に管理できないという人は、

シフトフィールの変化があてになると思います。

ちょっとでも渋いなと感じたら、できるだけ早く交換した方が良いです。


次にスパークプラグのチェック。

XJR1300の場合、先ずオイルクーラーをズラし、ダクトを外します。

その後、キャブレター車は燃料タンクを外すことになりますが

FI車は燃料タンクを後方へズラすだけで着脱できます。


碍子部の酷い燻りや気泡、接地電極の摩耗、中心電極の摩耗が無ければ

再使用したくなるところですが、

さほど高額な部品でもないと思っていますので

外すたびに新品交換しています。


始動性や燃費に悪い変化が出てきたら要チェックです。




エンジンオイルについては、お世話になっているショップの意見を参考にするのが良いです。

僕は高品位パラフィン基油のフルミネラルオイル・オメガSP-2を重用していますが、出先などでそれを入手できない場合は、ブランドを問わず鉱物油もしくは半合成油を好んで使っています。

XJR1300は、足まわりの動きがキモのオートバイです。

サスペンションの動きが良い分、劣化の早さも気にしなければなりません。

写真は約2万キロ走行後のフロントフォーク。オイルロックピースにスラッジがたくさんついています。

このスラッジが、減衰力の発生に影響するので、綺麗に清掃して組み直します。

足まわりの動きが悪いと、タイヤの摩耗に影響します。


僕はストリート用のハイグリップ系ならば、約1万キロで交換時期となりますが、同じXJR1300に同じタイヤの組み合わせでも、乗り方や足まわりのセットアップ、整備状況で5000kmしかもたないという人もいます。

XJR1300でタイヤの減りが早い、異様に燃費が悪いという人は、サスペンションが正しく機能しているか否かをチェックすると良いです。




ネイキッドは変幻自在

運動性能やタフネスぶりが気に入っているXJR1300。

その他にも、使用状況に合わせたカスタムや仕様変更のしやすさも

お気に入りのポイントになります。


高速巡行が多いと想定されればカウルを装着。

荷物が多ければパニアケースを着ける。

ハンドルバーを高くしたり、低くしてみたり、

飽きたらノーマルに戻したり…。


とにかく弄って遊びやすいオートバイだと思います。

XJR1300の場合、ラジエターが無いことから

様々な作業がしやすいとも言えます。

NKは変幻自在



始まりがあれば終わりもある

2017年、XJR1300は生産終了となりました。

何事においても始まりと終わりはあるので、仕方のない事です。

現在の愛機であるラストモデルを、大切に乗っていきたいと思います。

ラストXJR

多くの人がイメージするオートバイの普遍的なスタイリング。必要にして十分な空冷エンジンの性能。意のままに導いてくれるシャーシ性能。未だ色褪せることのないXJR1300の魅力です。

制作・協力

■ライター:KAZU中西

文筆業をメインにステージMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)で活躍。

現在Z2(Z750Four=KZ750D)、VMAX(RP22J)、XJR1300(RP17J)を所有

プライベートではTOMCATSというモーターサイクルクラブに所属しツーリングやキャンプを満喫。

オートバイ以外の趣味はモーターボート。


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