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漢気のZ2~費用やメンテナンス、使い勝手にも触れる~
- バイクのメンテ記事
- 2018.09.18
【KAZU中西の鋼騎馬ラプソディ】第8回。今回のテーマはズバリZ2。今でも絶大な人気誇っている車種Z2の魅力に迫る記事になっております。メンテナンスの際によくチェックする部分などにも触れている為、Z2を保有している方も購入を検討されている方も必見です。
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Zにまつわる熱い話!
・日本のオートバイの形
僕はアメリカ1周武者修行へ出る時、所有するクルマやオートバイ、家財道具、住んでいた家、すべてを処分しました。それは、日本へ帰って来られる保証も自身も無かったから。親にも遺書を宛てたほど、一大決心しての渡米でした。
道中は良い事も危険な目にも遭いましたが、無事に帰国。さて、久々に国内で乗るオートバイは何が良いかな?と考えた末、ゼファー(400)を選びました。その理由は、いかにも日本車らしく日本人や日本の交通事情にマッチしていると思ったからです。
渡米後に選んだ最初の一台
ティアドロップ系の燃料タンクに機能美の空冷並列4気筒。日本車の代名詞みたいなスタイリングだと思っています。
帰国後は、カワサキバイクマガジンにて編集や執筆を担当。そんなある日、オートバイと航空機デザインというテーマで、900スーパー4=Z1をデザインした多田憲正さんを取材することになりました。第1印象は、背が高くてダンディな人だなと。とても気さくな感じで、多田さんの手掛けたオートバイのデザインや航空機について、ざっくばらんに話していただきました。そこから、僕と多田さんのお付き合いが始まりました。
多田さんに称賛いただいたデザイン
A‐TECHスペシャルカウルキットGPZ900R/750R用のスタイリングデザインを僕が手掛けることになった際、多田さんにデザインスケッチを見ていただいたところ、「先鋭的かつデザインとしての突っ込み感が良い。ボディワークとしても良いと思います」と評価いただき製品化につながりました。機能面ではアンダーカウルの形状がポイントで、GPZ750Rに装着実験したところ、走行すると水温が直ぐに下がり安定するという結果も出ました。
関連リンク
http://www.a-tech.org/shop/_kawasaki/gpz750_900/gp...
・今度はZで来ます!
2015年の春、多田さんより話したいことがあると連絡いただき、三重県津市のご自宅へ伺うことになりました。そこで語られたのは、多田さんが大動脈解離になってしまったこと。発症部位が悪く、手術の成功確率は30%以下であることも告げられました。少し気落ちしているように見えたので、僕はこんな風にお話ししました。「手術を受けて面会できるようになった時、多田さんの愛するZでお見舞いに来ますよ!」と。その後、手術は成功。多田さんに再会できる日の目途もつきました。ならば、今こそ約束を果たす時!Zの購入を決断しました。
ウエマツで製作
ミスターバイクBGやカワサキバイクマガジンの取材でよくおじゃまする絶版車の専門店ウエマツ。ある取材日に、多田さんとの約束の話をすると、「漢気に溢れるいいお話ですね。それならぜひ当社も協力させてください」と話が進み、製作を決断しました。コンセプトは、多田さんが手がけてきた中でも、特に思い入れの強いと思われる250A1~Z2をひとまとめにしたような外観。
燃料タンクを始めとする外装パーツはZ1を用い、エンジンとシャーシは僕のこだわりからKZ750Dをベースとしました。
カラーリングは、市販レーサーA1Rに近似させ、スペシャルメイドであることを主張したかったので赤フレームとしました。
関連リンク
2015年10月、完成したZ2を駆り、多田さんを訪ねました。キャンディレッドとホワイトのコンビネーションカラーを纏う燃料タンクを見て、「まさに僕の手掛けたAtoZだね」と喜んでくれた多田さん。目をキラキラと輝かせながら、触ったり跨ったり。多田さんの少年のような笑顔を見て、僕も嬉しくなりました。「見てお気づきの通り、このオートバイはKZ750Dがベースです。あえて名前を付けるとしたらZ750Four(D1)KAZU中西スペシャルとなりますが、どうにも長いので何か良い愛称をつけるとしたら?」「エンジンはZ2E型でしょ?だったらZ2でいいよ。カズ兄のZ2とすればいい」
多田さんと約束
男と男の約束・・・と言えば大げさかもしれませんが、漢気の塊ともいえるカズ兄のZ2は、多田さんに病気と闘う勇気を与え、今でも元気づけています。
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何処へでも行けるZ2!メンテナンス事情は?
・カズ兄のZ2にタブーは無し
多田さんとのいきさつから生まれたカズ兄のZ2。まさに1から製作した機械馬で、エンジン&シャーシ共に絶好調。乗り味は軽快に味付けしたゼファー750という感じで、天候や気温、標高、距離などを問わず、街乗りからキャンプツーリングまで、どこへでも乗って行けます。古いオートバイは壊れやすいのでは?という問いに対しては、ノーマルの正しい状態を維持していれば問題なし!とお答えできます。現行車と比較して、Zは維持費がかかるのでは?という問いに対しては、構造が簡単でリーズナブルなリプロパーツも豊富に出回っているので、むしろ現行車より低コストだとお答えしています。僕がかつてビッグオフローダー乗りだったということもありますが、不整地にもバンバン入って行けます。ちなみに、キャブレターのセッティングは、購入時から1度も変えていません。
・どこでもどこへでもZで行く
ZだからNGだよね?という行先はほとんど無いです。いつでもどこでもZで行けます。強いて言うなら、盗難被害の多い地域には乗っていかないかな。
カズ兄のZ2で一番遠くへ行ったのは、福島県白河市にあるラーメン屋、「太鼓のぼお」です。店主の芳賀さんとは同世代で、かつてはオートバイに乗っていたということから、時々おじゃましています。
福島県白河市のラーメン屋にもZで行く
80年代はTZR250に乗り、峠の走り屋だったという芳賀さん。太鼓のぼおは、無化調無添加素材のラーメンが特徴。
関連リンク
http://shirakawa315.com/ramen/post_116.html
磨くよりも乗る時間が圧倒的に多いカズ兄のZ2。走る分だけメンテナンスもしっかり行なっています。エンジンオイルの交換やドライブチェーンの弛み調整、タイヤの点検などは現行車と同様ですが、スパークプラグに関してはマメにチェックしています。
・よく交換する部品
始動から走行まで、すべてお任せでOKのFI(電子制御燃料噴射装置)車とは異なり、キャブレター車の場合はスパークプラグの燻り具合でエンジンコンディションをチェックします。
始動性がイマイチ、燃費が落ちたなどの現象が少しでもあったらすぐに点検。Z2は、燃料タンクなど他のパーツを外すことなくスパークプラグをチェックできるので、作業面でとても助かります。
関連リンク
デンソーイリジウムパワー
https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/...
・出先に持ち歩くもの
カズ兄のZ2を乗り出す際に必携としているのが、盗難抑止装置とフックレンチです。
ミツバサンコーワのバイスガード2は、ディスクロックのように外し忘れが無く、おっちょこちょいの僕に向いている盗難抑止装置です。
フックレンチは出先で荷物が増えた時や乗り味に違和感があった時、気軽にサスペンションセッティングを変更するためのもの。無くても良いけれど、あればいじって楽しめます。
関連リンク
盗難抑止装置
フックレンチ
・乗り手に合わせてアップグレード
僕はオートバイ全般について、完全ノーマル派でもなければフルカスタム好きでもない。その人に合ったカスタマイズで、快適に乗れれば良いのでは?と思っています。カズ兄のZ2では、走行性能に直結する部分について、アップグレードやチューンナップを行なっています。
走りを支える特徴
僕は風に乗るかの如く、スマートに軽やかにオートバイを走らせたいと思っています。そのためには、低フリクションなドライブチェーンが欠かせません。純正の630サイズからRKジャパンのGV520X-XWへコンバートしたことで、燃費と加速性能がすこぶる向上。走行振動も減りました。
軽やかさでいえば、ダンロップのTT100GPも一役買っています。
フレーム剛性にマッチするグリップ力と対ウェット性能が良いです。意のままに操縦するという面では、ハリケーン(大阪単車用品工業)のZ2タイプハンドルとベスラのオーガニックパッドに好印象です。また、雨の日も乗るので、キャブレターはCR29ながらも、エアクリーナーボックス仕様にしています。スマートに乗りこなすためのETCもさりげなく装着しています。
関連リンク
ドライブチェーン
ETC車載器
タイヤ
https://dunlop-motorcycletyres.com/
ブレーキパッド
ハンドルバー
・TPOでマフラーを使い分ける
カズ兄のZ2に限らずですが、僕はシチュエーションによってエキゾーストシステムを交換しています。例えば、サーキット走行ではエンジンパフォーマンス重視で、モリワキのワンピースマフラーを使用します。
高回転域における伸びの良いパワーフィールと軽量化による運動性能の向上が実効果として得られます。ノーマルの4本出しマフラーは、威風堂々したスタイリングで現地へ乗りつけたい時に使用します。音量はどちらも似たようなものですが、モリワキのワンピースマフラーは音色がいかにも「モリワキ」していて、僕は好きです。
サーキットはモリワキ管
高回転領域でのパワーデリバリーと軽量化、モリワキサウンドが気に入っているモリワキワンピースマフラー。インナーサイレンサーは合法的に交換できる年式仕様であるため、マメに新品交換してパフォーマンスとコンディションを維持しています。なお、装着した状態で国土交通省の街頭検査に出くわしても、なんらおとがめなし。車検もOKでした。
関連リンク
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周りを笑顔にするオートバイ
・Zは笑顔を広げるオートバイ
カズ兄のZ2に乗り出してから3年になりますが、どこへ行っても「カッコいい」「キレイ」「良いバイクですね」と褒められます。特に昔乗っていたという人や当時の憧れだったという人から好評で、大切にしてくださいねと激励されます。そもそも多田さんとの約束から製作した機械馬ですが、これほどまでに人々に喜ばれるとは思ってもみなかった。人の心をひきつける何かが、Zにはあるのだと思っています。
・人と人をつなぐオートバイ
友人知人はもちろん、まさにどこへ行っても笑顔で迎えられるカズ兄のZ2。これまで多くのオートバイに乗ってきましたが、こんなにも喜ばれる機械馬は他に無し。
人の心をひきつけると言えば、青島文化教材社へ見学に行った際にも、カズ兄のZ2は好評でした。そんな青島文化教材社の過去モデル保管室にて、思わずニンマリするスケールモデルを発見。漫画「あいつとララバイ」の主人公、菱木研二くんの愛車です。実はカズ兄のZ2と研二くんのZ2は、遠からず縁のあるオートバイだと後日に知りました。人の心をひきつけるからこそプラモデルになるわけで、そういう一面からもZは多くの人に愛されているのだなと思い知らされます。
・アオシマさんでも人気のZ
その当時に発売を知っていたら、間違いなく買っていたと思う青島文化教材社のZ2プラモデル。
スケールモデルの方は、完成品のミニカーとして現在も販売されていますが(赤白カラーではない)、コミカライズモデルの研二くん仕様は絶版になっています。再販してくれるとありがたいのですが・・・。
関連リンク
カズ兄のZ2では、よくタンデムもします。カミサンいわく「牧歌的な乗り味と座面の広さと形状が良い」そうで。僕は後ろに乗らないのでまったく実感できませんが、他のオートバイで2人乗りした時と比べ、カミサンが笑顔なのは間違いないです。漫画「あいつとララバイ」の研二くん&友美ちゃんよろしく、わりかし遠くへもタンデムで行きます。
・タンデムしやすい
僕の機械馬たちに共通する事項は、タンデムライディングのしやすさ。ダントツに好評なのはXJR1300ですが、カズ兄のZ2は良い意味での古さ、ノスタルジック感が気に入っている模様。握りやすいグラブバーも好評です。
・ひたれるオートバイ
僕が乗り出してから、約4万キロを走ってしまったカズ兄のZ2。どこへ行くにも相変わらずの絶好調です。普段の街乗りや仲間とのツーリング、取材先への移動にも使っていますが、Z2らしさに一番ひたれるのは、一人で港へ行く時です。海の向こうにある世界へおもいをはせながら、Zを眺めるひと時。川崎重工業は、造船から始まった企業であるから、港にZが似合うのかもしれません。かつては男の乗り物と称されていた船とオートバイ。だからZには、漢気を込めやすいのだと思います。
■ライター:KAZU中西
文筆業をメインにステージMCやラジオDJ(FMIS・カズ兄さんのモーターレボリューション)で活躍。
現在Z2(Z750Four=KZ750D)、VMAX(RP22J)、XJR1300(RP17J)を所有
プライベートではTOMCATSというモーターサイクルクラブに所属しツーリングやキャンプを満喫。
オートバイ以外の趣味はモーターボート。
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