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カワサキモータースジャパン社長・桐野英子さんに会ってきた!
- 最新ニュース
- 2022.03.07
カワサキ車を販売するKMJ(カワサキモータースジャパン)。その新社長、桐野英子さんに会うために、川崎重工業本社のある西明石まで行ってきた。社長って恐い人?優しい人?どんな人?

昨年の10月、カワサキ車を販売するカワサキモータースジャパンの社長に桐野英子さんが就任した。大企業でもある川崎重工業の中にある一部門だったモーターサイクル&エンジンカンパニーを分社化。それに併せて販売会社であるKMJのトップへの桐野さん登用だった。
そもそも川崎重工業という会社は企業を得意先とするビジネスtoビジネス、すなわちB to Bと呼ばれる業態が多い。その中にあってバイク部門は、個人客を相手とする仕事、Business to Consumerである。コンシューマー=一般消費者を満足させるライフスタイル商材なだけに、プロダクトに込める嗜好性やトレンドなど、時代の変化への素早い対応が必要だ。折しもカーボンニュートラル、SDGs等が叫ばれる中、B to B主体の事業の動きとは異なるスピード感が求められる。ならばバイク部門を分社化し、小回り性能を向上させようという意図があり、会社内の改革が行われた。
そこでカワサキモータースジャパンの代表取締社長の役目を担うことになったのが桐野英子さんだ。
【目次】
1.桐野さんのこれまで
2.これからのカワサキ
- 桐野さんのこれまで
桐野さんが川崎重工業に入社したのは1991年4月のこと。以降、モーターサイクル畑を歩んできた。カワサキを志望したそのキッカケが面白い。外語大に在学中、トルコへと旅行に出た桐野さん。イスタンブールにてこう声を掛けられた。
「日本から来たのなら、ボスポラス海峡に掛かる橋を是非見に行きなさい。日本が協力して架けてくれた橋だから」と。
その海峡には政府開発援助と、日本の重工業企業の協業で完成した吊り橋があった。それを見た桐野さんは「こんな仕事がしたい。」とその夢を果たすために川崎重工業に就職した。
実は桐野さん、学生時代に偶然にもカワサキのGPX250、Z750GPとカワサキ車を乗り継いだ。本当はヤマハの白いレーサーレプリカが欲しかったのだが、バイク屋さんで黒のGPX250を勧められ、押し切られるカタチでバイクライフをスタート。ナナハンに乗り換える時も実は他に意中のバイクがあったとか。
でもバイクと志望は全く別で、トルコで見たような大がかりな仕事をすることに惹かれたのだ。しかし、なんの偶然が、GPX250の魔力なのか、「たまたま配属で2輪になった」と桐野さん。
その後、モーターサイクルにまつわる仕事を進め、入社10年目にはカワサキモーターフランスへと出向。現地でどんなバイクが求められているのか、それを日本に投げた。後にカワサキモーターフランスの代表まで務めることになる。日本とは異なるバイク文化、定着したモータースポーツ文化を吸収し、2009年に帰国。その後は営業職になりバイクの生産台数、企画などを業務とすることに。
2011年には「文系出身の、技術系ではない私ですがバイク作りに携わりたい」と開発部門の門を叩く。その後、Ninja H2、モトクロッサーなどパフォーマンス系モデルの開発に携わる。2015年からマーケティングに移動。2018年には部長となりカワサキ車をどんな人に届けるか、という近未来を描く仕事に就く。
- これからのカワサキ
桐野さんは「今後、もっともっと親しみのあるバイクをラインナップしてゆきたい」と抱負を語る。それは女性でも親しみやすい車バイクで、足着き性がよく、軽いバイクも揃えたいという女性目線も忘れない。現在ご自身ではNinja650に乗っているが、「これ以上大きいと出かかるのが億劫になる」と素直に話す。新しいZ650RSもそんなプランの一台なのだろう。
「漢、カワサキと仰って頂くそのイメージは大切にしたいと考えています。その上でコンパクトなトレールバイク的な軽いモデルも必要でしょう。キャンプなどアウトドアが広く楽しまれる今、そうしたニーズもキャッチアップしたい」
と、社長としての決意を語る。
低炭素、ゼロエミッションなどの開発をすでに発表しているカワサキ。同時に今回、ジェットスキーやサイドバイサイドの国内導入にも積極的に取り組むことも表明。すでに話題のビモーター×カワサキの動きも気になるところ。楽しいカワサキ車ライフ、桐野さんの手腕できっと盛り上がるはずだ。
1991年、川崎重工業株式会社(KHI)に入社。2001年、カワサキモーターフランス(KMF)に出向。2009年に帰国し、その後商品企画部を経て開発部門へ。Ninja H2の開発にも携わった。そして2018年にはマーケティング部長に就任。
カワサキモータースジャパンがイタリアの名門・bimotaの総輸入元となり、KB4を国内に導入し、カワサキプラザ店を中心に正規取扱店で発売することを発表した。
「漢、カワサキ」というイメージはこれからも大切にしたい、という桐野さん。「その上で出来ることを、どんどんやっていきたい」と語る。
サイドバイサイドは、北米や欧州で人気のあるオフロードビークル。そのスポーツマシンであるテリックスKRX1000を国内でも販売するという。
■取材・文:松井 勉
■写真:依田 麗
■協力:カワサキモータースジャパン