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【GSX1000S】新型GSX-S1000はストリート「ファイター」回帰!

  • 最新ニュース
  • 2021.11.10

今回は「SUZUKI_GSX-S1000」をご紹介します!

初めてのフルモデルチェンジとなった、スズキの人気大型バイクGSX-S1000シリーズ。


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ネイキッドスタイルのGSX-S1000とカウルの付いたGSX-S1000Fがあったが、Fの方が「GT」へと方向性を変えたこともあり、ノンカウルの方はさらにファイター感がアップしたような印象だ!


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  • 150馬力のネイキッド、そりゃ楽しいさ!

 

なんちゅー速さ! ユーロ5に対応しつつ馬力を上げただとか、クイックシフターやドライブモードセレクタが付いただとか、そういった公式リリースに並ぶ様々な情報は、「まぁ別にいいや」と思わせてくれる性能。


乗ればもう反射的に「ウワっ! 楽し!」と感じさせてくれる、これこそがストリートファイター!と感じさせてくれる新型GSX1000Sだ。


まずはストリートを抜ける。ハンドル幅がわずかに広くなったことで渋滞路は得意とは言えないものの、先代では少し過敏にも感じられたアクセルレスポンスが、例え最もレスポンスの良いAモードでも扱いやすくなっているため、街中でも意のままにピピッと加減速できて気持ちが良い。



信号発進から鋭い加速、素早いレーンチェンジ、あっちの右折可の青矢印信号に間に合ってビビッ!と右折、アンダーパス内を縦目になったLEDライトで照らしながらバシーィッと抜けていく……。


ストリート「ファイター」と言われると「いったい何と戦うのか??」なんてことも考えるが、一定のぬるま湯環境でダラダラと流れる交通の中で、自分だけが突出して機動力の高い乗り物に乗っているという優越感が良い。


本当に街中を走っているだけで素直に「楽しい」のであり、そんなカテゴリーの中でもスズキらしい付き合いやすさ、過激だけど突飛ではない安心感が魅力である。



  • ストリートだけではない万能さ

都市部の一般公道や首都高でも楽しいが、高速道路を使ったツーリングもこなす。



カウルが無いぶん高速ツーリング向きとは言えないが、それでも速さや身軽さは十分楽しめるもの。レーンチェンジの鋭さには特に驚かされ、「あっちへ行こう」という脳内での意思決定を、その現実が追い越してしまうような感覚すらある。


アクセルを開けて前方向へとワープする感覚はパワーのあるバイクなら珍しくないが、GSX-S1000の横方向や斜め前方向への超機敏な動きはちょっとした瞬間移動体験のようで、バイクへの入力を意識しなくても思考とバイクが勝手にリンクしている感覚があった。足周りは先代からほぼ引き継ぐのに、こういった部分での運動性は明らかな進化だ。



この感覚はワインディングでも同様で、意のままにコーナーを切り取っていく感覚は痛快の一言。


近代的なディメンションを持っているのにシートがタンク後方に落とし込まれていてライダーの重心が低くかつバイクの重心と近く、さらに今回ハンドルが高くなったことで、ポジションにはかつてのビッグネイキッド的な余裕が加わったように思う。だからこそ、安心感を持ったままこの鋭い切れ味を満喫できてしまうのだ。


またバンク角も非常に深いため、これならサーキット走行会など本来の性能を解放することができる場面でも十分楽しめるだろう。



■アクティブでプリミティブなあなたへ


速くて過激でとにかく楽しい、と書いてきたが、それでいてつき合いやすいのも魅力。300キロ以上を試乗しても帰路で尻が痛くなるようなことはなかったし、実燃費おおよそ15~17km/Lと2L増やされて19Lとなったタンクのおかげで航続距離も不安はなし。


アドレナリンを出し切った後に幹線道路を流している時には逆に良き脇役になってくれ、淡々とツーリング最後の数時間にも付き合ってくれる優しさがあるのも嬉しい。



こういう所を知るとただただ過激なストリートファイターというだけではなく、質実剛健なバイクを作るスズキらしい仕上げがちゃんとなされているのだな、と実感する。


もう一つ先代からグレードアップしたのはフィニッシュの良さだろう。クランクケースカバーを留めるボルト類にまで高級感が宿っているし、かつてのスズキ車ではちょっとした配線が見えてしまっていて「惜しいな……」なんて思うこともあったが、新型GSX-S1000ではそういったスキは見当たらずプレミアムなフラッグシップマシンだと感じさせてくれるし、シックなグレーのカラーラインナップも大人らしくて高級感があるだろう。


本気の長距離ツアラーを求めるならば追って登場するGTが良いだろうが、日帰りツーリングをアクティブに楽しみたいアナタや意のままに扱える大排気量車を楽しみたいアナタにはこのGSX-S1000、是非ともお薦めしたい。

  • 装備・車両詳細


今回ハンドルが少し高く、そして少し手前に移動しさらにポジションが楽になっているが、これに加えて角ばった形状になったタンクもスリムな印象で、車体が少し小さくなったような感覚があった。シート高は810mmと特別低いわけではないが、腰がタンク後ろに落とし込まれている感覚があり。バイクの重心に近いような安心感もある。足つきはステップなどが邪魔になることなく、素直に下ろせて好印象。(ライダー 185cm 72kg)



LEDの光源をどこにも反射させることなく直接レンズにあてる「モノフォーカス」式のヘッドライトを上下2段+上にポジション灯を配置する特徴的なヘッドライト周り。ヘッドライト横からシュラウドまでウイング状の部品が5重にも重なっておりメカメカしさをアピールする。テールランプはもちろん、今回ウインカーもLED化された。


フロント周り


アジャスタブルの倒立フォークのブレンボキャリパーは先代から引き継ぐ装備で、新型になっても何も過不足ない。新しくなったのはタイヤで、専用設計されたダンロップのロードスポーツ2を装着。車体とのマッチングが非常に良いようで、先代以上に自由自在なハンドリングを実現しているのはこのおかげも大きいと思う。


エンジン


カムシャフトの交換や電子制御スロットルバルブの採用などでユーロ5規制に対応しつつもパワーは150馬力へとアップ。トルクはピーク値では微減しているものの、先代のトルクカーブにあった山や谷をスムーズに均すことで平均値はむしろ向上。アシスト&スリッパークラッチも装備し非常に軽いクラッチ操作を実現。もっとも、今回新たにクイックシフターも搭載されたためその軽いクラッチを使う機会は減ってしまったが。


リア周り


排気系は環境規制対応により内部を変更しているが、外観は先代と同イメージ。リア足周りはGSX-Rのスイングアームをそのまま使っている所も先代同様。ロードスポーツ2タイヤを装着し、サイズも先代を引き継ぐ190/50ZR17。


シート


特に特徴はないが、丸1日走って「全然尻が痛くならないな」と実感。スリムなタンクとの相性も良いようで、コーナーでハングオンするべく尻をずらした時のホールドも良好。タンデムシートはミニマムだが、そのタンデムシート裏側にはナイロンのベルトも収納されており、最小限の荷物の積載も考慮されている。シート下はETCユニットが収まる程度か。


タンク


印象としてはスリムになっているのだが、容量は逆に2L増やされたタンク。ライダーの体格を限定しない形状は好印象だが、アップハンスタイルでこの加速だとニーグリップしきれなく尻が後方にズレてしまった。タンク横にはグリップラバーなど貼り付けたい。


メーター&スイッチボックス


GSX-S1000GTの方ではカラーが採用されたというが( https://www.moto-auc.com/report/news/suzuki-gsx-s1000gtgt 参照)、こちらはオーソドックスな反転液晶。陽の向きに関わらず視認性は良好。ただ今回ドライブモードセレクタが新搭載され、またクイックシフターの設定なども皆左のスイッチボックスの上下&MODEキーのみでやらなければならず、直感的にできずいくらか難儀したのが正直なところ。



●SUZUKI GSX-S1000 主要諸元


■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:998cm3 ■ボア×ストローク:73.4×59.0mm ■圧縮比:12.2 ■最高出力:110kW/11,000rpm ■最大トルク:105N・m/9,250rpm ■全長×全幅×全高:2,115×810×1080mm ■ホイールベース:1,460mm ■シート高:810mm ■車両重量:214kg ■燃料タンク容量:17L ■変速機形式: 常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17M/C・190/50ZR17M/C ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:トリトンブルーメタリック、グラスマットメカニカルグレー、グラススパークルブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,430,000円

■試乗・文:ノア セレン ■撮影:赤松 孝 ■協力:SUZUKI ■ウエア協力:アライヘルメット、アルパインスターズ

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