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カワサキが世界に誇るツアラーを走らせる。「KAWASAKI VERSYS 1000SE」

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  • 2021.12.20

今回は「VERSYS 1000SE」をご紹介します!

2012年に登場以来高い人気を保つベルシス1000。


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2019年には現行型へと3度目のモデルチェンジを果たし、ついに今回SHOWA製セミアクティブサスの搭載で完璧度が俄然アップ。


気になるその走りとは?

  • 長時間のライディングも快適!よりスムーズな乗り心地へ

2021年モデルのベルシス1000SEに待望のセミアクティブサスペンションが搭載された。スカイフック理論を元にサスペンションのアルゴリズムを作り込んだSHOWA製の最新式サスペンションを搭載したのだ。


車体に積まれたボッシュ製6軸加速度センサー(IMU)からの姿勢変化の信号をベースに、KCMF(カワサキ・コーナリング・マネージメント・ファンクション)が、KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)を統合制御する。エンジンECUなどの情報を含め車体にどのような動きが出るのかを細かくモニタリング。

走る場面に合わせ前後サスペンションの減衰圧を瞬時に変更することで、あたかも車体が宙づり(つまりこれがスカイフック理論が生み出すフラットな乗り心地)であるかのような走りを提供するのだ。

アスファルトにある細かなギャップ、大きなうねり、その両方に対応するため、結果的にタイヤは路面を離れず接地性が上がることでグリップ力が向上。上下動が少なくなりライダーは快適に。もちろんパッセンジャーもである。

2019年に現行型にモデルチェンジされた時点で、リーンアングルを察知して点灯するコーナリングランプや、シフトアップ・ダウンその双方にKQS(カワサキ・クイック・シフター)、さらにETC2.0、グリップヒーターなどツーリングアメニティーの多くを標準装備している点は新型も共通だ。

電子制御スロットルを得て滑らかさと排気量を拡大したのでは? と思わせるようなトルク感とそれをジェントルに引き出せるライダビリティーを得ていた。燃焼環境が向上した様子は硬質なエンジン振動が少ないことからも想像ができる。


前置きは充分。走りだそう。TFTモニターとアナログの回転計を組み合わせるスタイルはベルシス1000SEの定番部分。Bluetoothでスマホとのコネクタビリティーが含まれるのは言うまでもない。ライディングモードの設定や細かな車両設定もスイッチとモニターを通じて行える。 


跨がると820mmに抑えられたシート高により足着き感は良好。シートとタンクのつなぎ目部分も細身でありながらお尻にあたるフォームは肉厚感があり快適。アシスト&スリッパー機能で操作力が軽いクラッチレバーを握り1速にシフト。走り出す。初代から磨き込まれてきた1043㏄エンジンは今や世の直列4気筒の中でも出色の出来映えと言っていい。滑らかで充分なトルクで257㎏の車体を押し出してゆく。


4気筒を搭載したクロスオーバー系ツアラーにBMW S1000XRがあるが、あちらはアグレッシブさをあえて隠さない。エンジン振動も車体を通じて明確に伝わってくる。S1000RRから転じたマシン、というポジションを尊ぶならば問題無いが、上質さを求めるならカワサキに軍配が上がる。

  • 試乗インプレッション

そして乗り心地だ。走り出した瞬間、まるで舗装したての良路にタイヤが転がり出したような足周りの吸収力。サスペンションの動きがとても良くて、車体にはピッチング感がまるでない。たとえばゆっくり発進し、途中からグっとアクセルを捻ってみる。確かにフロントフォークは伸びるが、4気筒のパワーに任せてもヘッドライトが上を向くような動きが少ない。これも瞬時に前後サスが姿勢変化を吸収している証拠だろう。


 市街地ではスムーズな乗り心地を堪能した。それでいてキビキビ走りたい時、260㎏に迫る重さをハンドリングからも感じない。スペックを知らずに乗ればもっと軽いバイクの所作かと思うだろう。こうした小気味よい動きにKQSでスパッと決まるシフトも呼応する。6速が少しハイギアードな設定だが、そこは直列4気筒。50km/hからでもトルクフルかつシルキーに加減速できる。


 高速道路ではさらに乗り心地に感心した。最も左側のレーン、大型車両に痛めつけられたうねりやつなぎ目のギャップを狙い走る。そんなところもフラットな乗り心地を崩さない。つなぎ目のギャップでは、通過時に縮んだリアが伸び、それが再び定位置に縮む動きのなかで、コンベンショナルなサスペンションでは、伸びてドスンと落ちるような動きになる。それに合わせてライダーも一瞬間をおいてグワと押し上げられ落ちるから、胃のあたりが気持ち悪いこともある。ベルシス1000SEのスカイフックはそれがほぼ感じない。これは荷物、パッセンジャーを乗せ荷重が増えたときに大きなアドバンテージになる。


ワインディングでは少しリアのイニシャルプリロードを掛けて走ってみた。ハンドリングはシャープになり、リア下がりの姿勢より明確に前後サスのバランスが取れた印象で(これはライダーの体重にも起因する)、前後サスのバランスと動きがさらに良い方向になった。走りは安定とクイックさを併せ持ちながらも、ガンガン攻めたくなるスポーティーさも確認できた。


ブレーキ、エンジンのパフォーマンスもしっかり車体特性とチューニングされている。ミッドレンジトルクが厚いにも関わらず、アクセルをパーシャルからわずかに開け始める瞬間に神経を使わなくてすむ。素晴らしいチューニングだ。総じて4気筒クロスオーバーという商品性をしっかりと磨き込んだベルシス1000SEがスカイフックと出会い、その完成度が増したことを実感するテストだった。一言、お見事! なのである。

  • 装備・車両詳細

VERSYS 1000SE 主要諸元


■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,043cm3 ■ボア×ストローク:77.0×56.0mm ■圧縮比:10.3 ■最高出力:88kW(120PS)/9,000rpm ■最大トルク:102N・m(10.4kgf・m)/7,500rpm ■全長×全幅×全高:2,270×950×1,490mm ■ホイールベース:1,520mm ■シート高:820mm ■車両重量:257kg ■燃料タンク容量:21L ■変速機形式: 常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17M/C 58W・180/55ZR17M/C 73W ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式シングルディスク ■懸架方式(前・後):倒立テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:エメラルドブレイズドグリーン×メタリックディアブロブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,991,000円


KIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム)は通常のABSよりも多様な情報を解析し細かく油圧を制御する。


サイレンサーは多角形。音はジェントルなもの。サブフレームはスチール製だ。


Z1000系をベルシス用にチューニングしたエンジン。扱いやすさはピカイチ。


倒立フォークもセミアクティブ制御。ブレーキはモノブロックキャリパーだ。


上下に45mm可動するスクリーン。左右のノブを回すため停止時のみ操作可能だ。


背景色を白、黒から選べるTFTモニター。表示情報はライダーが選択できる。


ハイリー・デュラブル・ペイントにより細かなキズの自己修復機能をもつ外装塗装。


前後一体式のシート。リアシート下にETC2.0の車載器が搭載されている。


ヘッドライト、テール、ウインカー、コーナリングランプなど全てLED光源を採用。

■試乗・文:松井 勉 

■撮影:赤松 孝 

■撮影協力:カワサキモータース 

https://www.kawasaki-motors.com

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