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ホンダ 「レーシングマシン走行確認テスト」取材レポート Part2!

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  • 2020.03.21

​2020年2月20日(木)にツインリンクもてぎで行われた「ホンダコレクションホール走行確認テスト」の取材レポート Part2です!

2020年2月20日(木)にツインリンクもてぎ 南コースにおいて「ホンダコレクションホール走行確認テスト」が行われました。


ホンダコレクションホールの所蔵車両は「動態保存」を基本とし、走行可能な状態を維持しています。


今回は二輪車、四輪車のレーシングマシン走行確認テストの取材の第二弾として二輪車の2台を紹介します。今回のマシンでもスタッフの方々から興味深い話が聞けました!


パート1は、こちらから!

https://www.moto-auc.com/report/news/part1-2


  • 走行テストをした5台のレーシングマシンはこちら!

この日、走行テストをした5台のレーシングマシン(左から右へ年代が新しくなります)。

ロードレースのレーシングマシンはフルカウルなので、フロントから見ると大きな違いが余りありませんが・・。


リヤに回って見ると、けっこう違います!

年代を隔てた左右2台のお尻がコンパクトなのが面白いですね。


ホンダ RC164 1963

1963年のロードレース世界選手権(WGP)の 250ccクラス参戦マシン。

ライダーは、J.レッドマン。

この年のマニュファクチャラー / ライダーのダブルタイトルを獲得。


レッドマン氏は、去年の「Honda 世界選手権参戦 60周年記念イベント」で来日した際に、元気な姿を見せてくれました。

https://www.moto-auc.com/report/news/60


249.3cc 空冷 4ストローク 4気筒 DOHCエンジン搭載。


ホンダ CBR1000RRW 2004

2004年の世界耐久選手権シリーズ第5戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース参戦マシン。

ライダーは、宇川徹、井筒仁康。


この年のレースはコース上で転倒が続く波乱の展開。その中で圧倒的な走りにより優勝し、鈴鹿8耐で8連覇を達成。


998cc 水冷 4ストローク 4気筒 DOHCエンジン搭載。

ユニットプロリンク式リアサスペンション。

気温の低い中での走行でしたので、走行前はタイヤウォーマーを装着。

  • 宮城光氏が軽快にコースを周回!

走行確認テストのライダーは、元Hondaワークスライダーの宮城光氏。

50年以上前のマシンでもエンジンの回転を上げて、軽快にコースを周回!この当時のレーシングマシンは消音があまりされていないので、迫力満点のサウンドです!


走行を終えた時の様子。多くの方がテストに参加しているのが分かる、通常のイベントでは見られない光景です。


走行後に車両について伺いました。

RC164も、前回レポートした車両(NSR500、NS500)と同様に、「安全に走るため」にブレーキ、ホイール(リム、スポーク)を新調したとのこと。この年代のレーシングマシンは図面がないパーツもあり、苦労が多いようです。


巨大なドラムブレーキを今回は新しく作っています。現代の技術だと当時のものと違って「ピカピカ」に出来てしまうので、表面をあえて「荒らす」加工を施して外観を忠実に再現。

さらにメッキの質感も「職人さんのこだわり」で納得いくまで仕上げるなど、細心の気配りで製作されています。


装着のタイヤは、ダンロップ TT100。この当時の250ccクラス用タイヤサイズは、現代でもなんとか入手が可能ながら、この下のクラス(125cc、50cc)は厳しい状態だそうです。


スロットルワイヤーは1本が内部で破損していることが判明したため、作り直しています。ワイヤーは現代のものとは加工のための工具が異なり、製造方法も違うのですが、今回はオリジナルと同様の形状を再現。

各工程の「職人技」も、車両保存のための大切な要素です。


尚、この車両はデモ走行用として、カウルもアルミからFRPに素材を変えて作り直しています。

  • CBR1000RRWのガソリンはレース用スペシャルブレンドを使用

取材中、ホンダの作業着を着てコースサイドで走行を見守る若手の一団に声を掛けると、コレクションホールのスタッフではなく、部署を超えて集まった社員だと分かりました。この機会は「Hondaイズム」の継承の一環としての意味もあるようです。


さらに、この日は「トヨタ博物館」のスタッフジャンパーを着た方たちも数名いました。お話を聞くと、車両の保存に関してはメーカーを超えて交流があるそうで、この日も走行の視察に来ているとのことでした(先日はダイハツの方も来たそうです)。


やはり、過去の車両を走らせるのは大変な知恵と労力が必要で、メーカーを超えた情報の交換が大切なことだと分かります。


作業の合間に使用しているオイルを見せてもらいました。


RC164は、左の純正オイル(S9 10W-30)を使用。ガソリンは本来は有鉛のアブガス(アビエーション ガソリン)で、現在では入手不可により添加剤で対応。


エルフ HTX976+(中央)は、WGP 500cc用に開発された2サイクル エンジンオイル(市販品)。


エルフ HTX3835(右)は、4サイクルエンジン用レーシングオイル(市販品)。


今回のテスト走行車両では唯一、2000年代のCBR1000RRWも、それなりの年数が経っていますので、サスやブレーキのシール類等のゴム系パーツをリフレッシュ。


この時代の、このクラスは「タイヤサイズ」が問題で、使用する「16.5インチ」は市販車ではサイズの設定がなく、将来の走行において不安が残る要因です。


他の機会で聞いたのは「電子パーツ」の耐久性も心配の種のひとつと聞きました。


このマシンで使用するガソリンはレース用のスペシャルブレンドで、テスト走行のためにメーカーが協力。


フロントを上げて走る姿を見ると普通に走っていて、なかなかスタッフの苦労が伝わりにくいですが、今回のレポートで今後はちょっと違う視点で見ることが出来るようになると良いなと思います。


お昼休みの時間はコースを解放して、この日集まった熱心なファンにマシンをお披露目しました。


ホンダコレクションホールでは、今後も今回のような「走行確認テスト」を行う機会があると思いますので、サイトでの告知をチェックしてみて下さい!


また、市販車を走らせるデモンストレーション走行「ウィークエンドラン」も行われていますので、日程をサイトで確認して下さい。

ホンダコレクションホール

https://www.twinring.jp/collection-hall/


(取材協力)

本田技研工業株式会社


(写真・文)

森井智之

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