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【SUZUKI Hayabusa】スペックなんて見なくていい ハヤブサはやっぱり凄いのだ
- 最新ニュース
- 2021.07.27
今回は13年ぶり、2回目のモデルチェンジを果たした「ハヤブサ」をご紹介します!
13年ぶり、2回目のモデルチェンジを果たした「ハヤブサ」。もはやライバルは不在、サーキットを前提としないモデルのため、存在意義にも悩んだことだろうが……変わらずの「究極」は「洗練」をまとう進化を果たしていた。
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「洗練」こそがモデルチェンジの肝
新型ハヤブサに乗った。初期型が登場して既に20年以上、さらに前回のモデルチェンジからは1 0 年以上が経過している中、「メガスポーツ」と名付けられたカテゴリーにおいてはライバルも消滅し、唯一生き残ったブランドとなった。長く現役を続けてきたことでハヤブサは確かなブランドイメージを構築しており、新型を開発するのは困難を極めたことだろう。
しかし長らくうわさされた新型は、一目でそれとわかる確かなハヤブサスタイルをまといつつ、「The Refined Beast」(凶暴さを制す知性)というデザインコンセプトで見事なアップデートを果たしている。全体的な流線型デザインや後ろ下がりのテールカウルなどは明らかにハヤブサのものでありながら、かつてのGSX-R1000( K 4 )を連想させるヘッドライトや四輪車もイメージさせるテールライト周り、サイドパネルに差し色として加えられたクローム部品、そして上質で静かにその性能を解放してくれる様を視覚的にもイメージさせる大きなサイレンサーは先代よりも数段シャープになっている。ハヤブサというアイコンをアップデートするのは難しかっただろうが、しっかりモダナイズされると同時に、確かに洗練された印象だ。
その「洗練」こそが今回のモデルチェンジの肝だろう。ご存知の通り、スペックだけを見てしまうと目を引く項目は少ない。ピークパワー及び燃費はダウン、重量だって劇的に軽くなったわけでもなく、タンク容量は減少。そうした事実から冷めた見方をしてしまえば、ユーロ5に対応しつつ電子制御を充実させたモデルチェンジ、と見てしまう人だっているかと思う。それでいて車両価格は大幅に上がっているのだからこの商品の「売り」は何だろう、と首をかしげる販売店もあるかもしれない。
跨りエンジンをかけると、シートの低さのおかげか先代よりは軽く感じられ、またエンジン音や排気音も先代よりも静かな印象。押し歩きをしてもフリクション感が少なく、先代よりもずっしり感が和らぎまるでレーサーライクなスムーズさ。それこそ「洗練」をすぐに感じられた。クラッチの軽さ、1速に入れた時のシフトショックの少なさ、電子制御スロットルのナチュラルさなども、もちろん新車であることもあるが、それでもまさに「洗練」の言葉が浮かぶ上質さが全ての操作に感じられた。
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試乗インプレッション
動き出せばハヤブサそのもの。絶対性能は今やスーパースポーツカテゴリーに譲るものの、走り出してすぐに感じられる豊かなトルクや振動の少なさ、穏やかな車体の動きなど、スポーツカーではなく高級サルーン的な感覚で、スーパースポーツよりも優雅な走りが魅力だ。このおかげですぐに6速まで入れてしまうことができ、潤沢なトルクに乗せてのんびりと流すことも、そしてシフトダウンもせずにそのまま追い越し加速をかけることも思いのまま。ギクシャク感や予想に反して飛び出す感は皆無のため、まるでオートマ感覚で走らせられてしまい、その高級感は、繰り返しになるがまさに「洗練」。スペックには現れない確かな進化をしていると感じるところだ。
しかしゆっくり走っていると意外と前傾がきつく、防風効果も高くないと感じ始めるのは先代同様。これまでのハヤブサオーナーの中にアップハンやハイスクリーンを装着する人がいるのもわかる。そこでアルティメットはどのように進化したのかペースを上げてみた。最初に走ったのは1.5車線ほどの細かな峠道。ハヤブサにとっては得意なシチュエーションではなさそうにも思えたが、ここでハヤブサはとても生き生きしていた。先代よりも立てられたキャスターと減らされたトレールも効いているのだろう、これと低重心ゆえの安心感と軽さが組み合わさり、驚くほどのペースでヒラヒラと走れてしまう。こんな細かくかつ路面も均一ではない場所では知らないうちに電子制御にも助けられているのだろう、さっきまでの高級サルーン感はどこへやら、1300ccと感じさせない軽快さを見せてくれた。
高速道路でも同様だ。6速でクルージングするだけだったら他にもっと快適なバイクもあるが、2、3、4速を駆使してアクティブに走り回るとハヤブサ本来の「アルティメット」を洗練された高級感が包み込み、とてもエキサイティング及び……もうどうしょうもなく速い。同じ「速さ」でも初代・先代がどこかがむしゃらだったと感じてしまうほど、新型は高級感を伴った絶対性能・総合性能を感じさせてくれた。
価格上昇をしてはいるものの、各種電子制御などは充実しているだけでなく公道向けに良く作り込まれたもの。そして価格はGSX-R1000と全く同一。サーキットを走る予定のない人ならば、こちらの方がマルチに使えるだろうし、所有欲や充実感も高そうだ。心配することはない、ハヤブサはやっぱりアルティメットで凄かった。
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装備・車両詳細
ロービームに4つのLEDライトを採用。ラムエア部の横にはポジションランプを備え、ミラーも刷新。
ハヤブサ伝統の4 連メーターは継承しつつ、中央には各種電子制御情報などを表示するデジタル部。
クイックシフターや任意に設定できる速度リミッターの新設でエンジン性能はより楽しみやすい。
大径化されたディスクブレーキで制動力強化。サスの作動性は明らかに上質に進化している。
十分な消音をしつつ、シャープなデザインでバンク角も確保したツインサイレンサー。
タンデムや荷物の積載も考慮したピリオンシート。シングルシートカバーはオプション設定。
シート下には純正でETC2.0が備わっているほか、発煙筒やウエス程度を収められるスペースも。
フルLEDのテールライトは横に広く四輪的。ライト下部のウイング的パーツもカッコイイ。
●SUZUKI Hayabusa 主要諸元
■型式:8BL-EJ11A ■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,339cm3 ■ボア×ストローク:81.0×65.0mm ■圧縮比:12.5 ■最高出力:138kW(188PS)/9,700rpm ■最大トルク:149N・m(15.2kgf・m)/7,000rpm ■全長× 全幅× 全高:2,180 × 735 × 1,165mm ■ホイールベース:1,480mm ■シート高:800mm ■車両重量:264kg ■燃料タンク容量:20L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤサイズ:120/70ZR17M/C/ 190/50ZR17M/C ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■車体色:マットソードシルバーメタリック×キャンディダーリングレッド、グラススパークルブラック×キャンディバーントゴールド、ブリリアントホワイト×マットステラブルーメタリック、この他カラーオーダープランも有 ■メーカー希望小売価格(消費税込み):2,156,000~2,222,000円
■試乗・文:ノア セレン ■撮影:赤松 孝
■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/