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【新型TEST&RIDE】KAWASAKI KLX230 試乗インプレッション

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  • 2019.12.19

“オフロードライディングの楽しさ”を提唱するモデルとして新開発されたKLX230。各仕様のレビューや注目の試乗インプレッションです!

『誰もがオフロードライディングを

楽しめるように開発しました』


そもそも日常でオフロードを走る機会自体が激減してしまっている現状で、あえてカワサキが“オフロードライディングの楽しさ”を提唱するモデルを新開発したのはどんな狙いがあるのだろうか。“これから”のアジアン市場が本来のターゲット!? いや、ライディングを楽しむというバイク本来のあり方の一つとしての再提案!? オフロードライディングの楽しさを実践している濱矢文夫に試乗してもらった。

  • なぜ新型が誕生することになったのか?

 KLX230は全てが新設計。3年ほど前にカタログから消えたKLX250は1993年に発売されたものを環境規制対応など手を入れながら延命してきたモデルだった。それを考えると約26年ぶりとなるカワサキの250ccクラス新型トレールとなる。そこで気になるのは、なぜ今回新型が誕生することになったのか、ということだろう。


 その理由は活発なアジア市場にあった。今、インドネシアやタイでオフロードブームがきて、同社のKLX150が爆発的に販売台数伸ばしている。そして市場はもっとオフロード走行性能の高いものを欲しがった。それがKLX230誕生のきっかけだ。特徴的な大きなヘッドランプは、日本と違う街灯が少ない状況でも安心して走れるよう明るいものにするため。それも導入コストが低く、故障しても現地で手に入れやすいからLEDではなくH4バルブを選んだ。


 シートの高さは885mm。形状が細身とはいえ身長170cmで平均より足が短いライダーでは、両足を伸ばしてなんとかつま先が届くくらい。"低い"とは言い難い。それでも重量バランスからくる軽さがあり、片足なら十分に地面に届くので個人的には気にならない。このカテゴリーでずっと支持されてきたヤマハセローの低いシートとは違う。お互い空冷4ストロークSOHC2バルブエンジン同士で、日本では直接のライバルになるが、カワサキの開発陣は、セローを含むライバルのことを研究もしていないし、まったく意識しなかったと言い切った。あくまでも、ホイールトラベルなど純粋にオフロードで楽しく乗れる性能を求めた結果、このシート高になったと。


 オフロード走行が大好きで、片足なら余裕で着く体格の私にとってはその考えを手放しで受け入れられる。だが客観的に見れば、入り口にいるビギナーライダーや、小柄な人にとってはどうだろうか。一部のユーザーにとって足着きのプライオリティは高く、それによって車両自体の評価さえ変わってしまうのも事実。判断が難しいところだ。

4スト空冷S O H C2バルブ単気筒エンジンは完全新設計。振動軽減のためにバランサーシャフトを内蔵。ボア×ストロークは67.0×66.0mmで、スクエアに近い。低中回転域から扱いやすいトルクが出る。

左から開発責任者の和田浩行氏。エンジン設計の城崎孝浩氏。デザイナーの小林 稔氏。「ちゃんとオフロードを走れ、限界を低く感じさせず、もっと積極的に乗れるようなものにしたかった」(和田氏)。

  • エンジン特性、コスト、軽さを考慮した排気量

 まずは舗装ワインディングで乗った。カワサキとしては久しぶりに登場した新型のオフロード向け単気筒エンジンは、バランサーが入っていることもあり、いっぱいまで回しても振動が少ない。タコメーターがないので具体的な数値は分からないけれど、どの回転域でも淀みがなくスムーズ。シフトアップして速度をのせていく時の加速感は232ccなりというもので、その排気量から想像するより遅くないし、速くもない順当なパワー。我らの感覚だと中途半端に思えるこの排気量は、エンジン特性、コスト、軽さを考慮した結果だと説明を受けた。


 低中速トルクを重視した特性だが、ドカっと急に力が出てくるものではなく、スロットル操作に気を使うことがない。なるほど、と思ったのは、オーバードライブの6速が5速と離れているところ。これは、オフロード走行も考慮した繋がりを5速までにして、高速巡航での速度維持と燃費を考慮した走行を6速に担当させたのだろう。林道や市街地で6速まで使い切ることはなかなかないのだから、この棲み分けは幅広いユーザーがオフロードだけでなくストリートで使う上で有益な設定だ。リアサスペンションの伸び側ダンピングがしっかり効いているので切り返しや飛ばした時の落ち着きがいい。21インチフロントホイールを感じさせない軽快感で、速度を出した時のスタビリティも申し分ない。

  • 土の不整地でも軽さは持続

 土の不整地に場所を移しても、舗装路で感じた動きの軽さは持続。トレールモデルの中には倒し込みで重く感じるものもあるが、それがない。前後の重量バランスがいいのか、意識せずに前と後ろに荷重がかかっていて、滑り出してもコントロールしやすい。前後の足は初期作動が柔らかく突っ張る感じがなく、沈んだ先でほどよく踏ん張る。荒れたところを加速しながら行っても、振られにくい。BOSCHと共同で開発したABSは、踏み始めは強めの制御が入らず、ブレーキの油圧が高まると効き出すようだ。だから土の上でちょんとかけたくらいでは制御が入って邪魔をしたりせず、砂利でのブレーキターンはテールが流れ始める動きがあってから働く。これなら林道走行などでは邪魔にならないだろう。ちなみにこのABSはオフにはできない。


 KLX230と高張力鋼ペリメターフレームを共有する公道で乗れないKLX230Rは、スイングアームがKLX230ではスチール製だったのに対しアルミ製で、前後のホイールトラベルが増やされサスペンションのセッティングも変更されている。エンジンはバランサーが省かれ、二次空気導入装置もない。KLX230とあまり変わらないカタログスペックが信じられないほどパワフルになったと感じる。パルス感がしっかり出て、スロットルを開けた時のクリック感、ツキが力強い。KLX230でもコンパクトに感じた車体は、さらに小さい印象だ。それでもパワフルすぎて手に余り扱えないなんてことはない。オフロードに特化したタイヤというのもあり、コーナで早めにパワーオンしていってもしっかりトラクションする。立ち上がりではリアタイヤに押されるように飛び出すのが気持ちいい。低中速のトルクがあるので、間違ってひとつ高いギアを選択しても、スロットルを開けるだけでスルスルッと前に進むイージーさは強い味方。坂を駆け上がってちょっとしたジャンプをしてフラットに着地しても、衝撃を程よくいなす。フロント荷重を抜いて段差を飛び降りるのも体重移動とスロットル操作で難なくできるなど、KLX230RはKLX230より走りの許容範囲が広い。

●KLX230 主要諸元

■全長×全幅×全高:2105×835×1165mm、ホイールベース:1380mm、シート高:885mm■エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、ボア×ストローク:67.0×66.0mm、排気量:232cm3、最高出力:14kW(19ps)/7,600rpm、最大トルク:19N・m(1.9kg-m)/6,100rpm、燃料消費率:国土交通省届出値、定地燃費38.0km/L(60㎞/h)(2名乗車時)、WMTCモード値33.4km/L(クラス2-1)(1名乗車時)■タイヤ(前×後):2.75-21 45P × 4.10-18 59P、車両重量:134㎏、燃料タンク容量:7.4L、車体色:黒、緑■メーカー希望小売価格(消費税込み):495,000円


■試乗・文 : 濱矢文夫 ■撮影:富樫秀明

■協力 :KAWASAKI https://www.kawasaki-motors.com/

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