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【新型TEST&RIDE】YAMAHA Ténéré700(テネレ)試乗インプレッション

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  • 2019.08.13

ファンの間で話題となっていたテネレが実に36年ぶりに国内生産・販売へ動き出す!各仕様のレビューや注目の試乗インプレッションです!

アドベンチャーバイク第二章。

パイオニアが開く新境地を試す。


ヤマハがテネレブランドを国内で復活させる。初代だけが発売されたが、あれから36年ぶりに正規ラインナップとして販売される予定だ。Ténéré 700。その存在、その走り、世界同様日本でも大注目の一台なのだ。

■試乗・文 : 松井 勉

■写真協力 : YAMAHA  https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

  • 国内でレアな存在だったテネレがついに国内生産・販売へ

SR400やセロー、ヤマハには長くファンに愛されるブランドがある。排ガス規制クリアのため、一時生産を中断しようものなら市場はざわつき、中古価格は上昇。新型が出ると落ち着くが、従来モデルに人気が集まる、との話も販売店で聞いたことがある。継続より断続マーケティングで求心力を保つヤマハ。上手い!と勝手にそんな戦略(なのかは知らないが)を褒める自分がいる。


 実はここに紹介するテネレも、長く続くヤマハの大切なブランドの一つなのだ。その起源は1983年。30リッターのビッグタンクと短いシート、重めな車体を軽々と動かす空冷単気筒4バルブヘッドの600㏄ エンジンを搭載したXT600Zテネレまで遡ることになる。当時、人気の高まりを見せていたパリ~ダカールラリー。そのラリーに参戦するバイクがそのままストリートに出てきたような出で立ちと、冒険ラリーへの憧れが配合されたパッケージはたちまち人気となった。日本でも初代テネレは発売されたが、当時の特殊な免許制度と、オフロードは250が扱える上限、という論評もあり、畏怖の念を持って見られたテネレ。


 だからだろうか、それ以降、国内正規販売はなく、その後もシングルエンジンで進化を続けた水冷エンジンでは5バルブヘッドというジェネシスエンジンばりのモデル。そして現行モデルでもある水冷並列2気筒で1200の排気量を得たスーパーテネレはツーリングバイクとして輝きを増し、シングルモデルは、フェアリングを装備しながらビッグオフのツアラーとして進化を続けてきた。初代以降、いわゆる逆車で流通したテネレは国内ではひときわレアな存在だったのは間違いない。



 そんな36年の歴史が動く。日本でも再びテネレが販売開始されるのだ。発売時期や価格のアナウンスはまだないが、今秋、ヨーロッパでの発売後、国内でも生産と販売の準備に入るそうだ。


 このTénéré 700が世に出ることは、ファンの間で話題になっていた。その原型は2016年に発表されたコンセプトモデル、T7にある。まるでラリーバイクのようにシンプルでスリムな出で立ちのマシンが砂漠を滑走するように走る動画はファンを色めき立たせた。


 そして昨年、ラリーのファクトリーライダーや、世界をまたに駈けるトラベラー達により、生産プロトタイプでワールドツアーも行われた。3年近く話題を振りまいてきた現車に、ついに乗れる日がきたのである。

  • 既存のアドベンチャーバイクより冒険バイク感よりスポーツマシン感が強い

バルセロナから車で2時間ほどの距離にあるトルトサ。古城を改装したホテルが試乗会の基地だった。そこから2日間、たっぷりと走らせてきたのでその印象を紹介しよう。


 Ténéré 700に搭載されるエンジンはヤマハのネイキッドモデルMT-07に搭載される並列2気筒エンジンと同じだ。ただし、そのチューニングはより低中速トルクを増やす方向でECU、吸排気回りの諸元に手が加えられている。


 専用設計のダイヤモンドフレームは、軽量な仕上げとされ、単気筒エンジン搭載のテネレ660のそれよりも軽いという。単体重量は18kgを切る。性能の要になるサスペンションは、KYB製でフロントが210mm、リアに200mmのストロークを与え、21インチの前輪と18インチの後輪との組み合わせもあり、最低地上高は240mmを確保。テネレの出自がラリーレプリカであるように、このTénéré 700もしっかりとオフロードランを意識した造りになっている。ブレーキまわりは、前輪にダブルディスクと軽量で小型のブレンボキャリパーを合わせている。後輪はシングルプレートとブレンボキャリパーの組み合わせだ。その効き味はよくタッチもまずまず。


 そして注目はボディだ。満タンで204kgと軽量な車重はKTMが先だってリリースした790ADVENTUREと同様だ。Ténéré 700とKTMのこの機種は現在のダカールラリーを走るマシンを思わせるスリムな体躯を持ち、その中に燃料タンクなど必須な要素をパッケージしている。だから既存のアドベンチャーバイクからすると冒険バイク感よりスポーツマシン感が強い。これは新しいアプローチ。

ライトマスクを兼ねたスクリーン、LED光源の4灯ヘッドライト、メーター上にはガジェットバーが装備される。

メーターパネルはLCDを使ったシンプルなもの。速度計、燃料ゲージを主体に回転計は縦に伸びて横に動く表示方法。

  • 車高の高いオフ車が持つ軽さ・一体感と、へこたれないロード性能を併せ持つ

実際に跨がってみても車高の高いオフ車が持つ軽さと一体感にこれはイケそうだ、とすぐに思えた。エンジンは鼓動感をことさら主張するより、軽い吹き上がりで小排気量の強味を打ち出す。排気量がなす力強さとファイナルレシオをスローにしたことで、右手とバイクの動きは意思に完全に同期。その造り込みに違和感がない。そもそもMT-07に搭載された時から、素晴らしく扱いやすいエンジンで、Ténéré 700を動かすのにもほどよいパワーとトルクにより得られる、右手でバイクを操れる自信は大きなプラスだ。


 フロントのサスペンションがややカドのある堅さを見せる場面もあるが、標準装備されるスコーピオンラリーSTRというピレリ製のタイヤとのマッチングや、車体がもつ旋回性のチューニングもよく、走りが楽しい。市街地から高速道路、そして郊外のワインディングでもその印象は常に一定。自分の意思通りに動いてくれるし、それ以上に暴れる場面がない。良いバイクだ。オフロードを攻めるがごとくのスペックなので、舗装路性能を少々心配したが、杞憂に過ぎない。峠をガンガン走るヨーロッパのラテンペースでも全くへこたれないロード性能を持つ。


 試乗にはたっぷりオフロードが含まれていた。100km/h巡航も簡単なフラットダート、山の尾根に立つ風力発電の巨大風車を巡るようなアップダウンと路面変化が激しい細い道、岩盤質の地形を切り崩して道にした上に埃が体積し滑りやすい路面などなど、多種オフロードを走ったが、難所でも乗りやすく加速、減速、そしてコーナリングが楽しい。日本の林道ほどの幅の道も多く、その点でこの車体なら日本の道でも十分に楽しめることも確認できた。Ténéré 700は前評判どおり、世界のライダーに「こういうのが欲しかった!」と言われるはずだ。


 アドベンチャーバイクといえば、積載性やタンデム時の快適性を前面に打ち出したモデルが多い。その分、大柄で重たくなるのは否めない。そのカウンターを行くTénéré 700は、スポーツマシンとして煎じ詰めた新ジャンルのマシンだ。早く日本へ来い……ボクもそう思う一人だ。

曲がりそのものは控えめながら、ライザーでしっかりと上げられたハンドルバーを装備。スタンディングでも決まる。

市街地でも機動力が良さそうなハンドル幅。高級感よりもスポーツネスを主張する構成でまとめられている。

一体式に見えるが実際は前後セパレートタイプのシート。オフライディングに適した体重移動をしやすい形状でデザインされている。


●XTZ700 Ténéré 主要諸元

■エンジン型式:水冷4ストローク2気筒DOHC4バルブ、排気量:689cm3、ボア×ストローク:80.0mm×68.6mm、燃料装置:フューエルインジェクション、変速機型式:6速リターン ●サスペンション:前φ43mm倒立フロントフォーク、フルアジャスタブル、ストローク8.3in、後シングルショックプリロード調整、リバウンドダンピング、ストローク7.9in、ブレーキ:前φ282mmシングルディスク、セレクタブルABS、後φ245mmシングルディスク、セレクタブルABS、タイヤ:前90/90R21 Pirelli Scorpion Rally STR、後150/70R18 Pirelli Scorpion Rally STR ●シート高:34.6in、ホイールベース:62.6in、最低地上高:9.5in、燃料タンク容量:4.2gal

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