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【遠藤イヅルの珍車カタログ】第113回 ベスパ・150TAP
- おすすめコラム
- 2020.12.20
毎週お届けするイラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。今週の珍車は、1950年代にフランスで開発された即製戦闘車両「ベスパ・150TAP」のご紹介です。
■ベスパ・150TAP ■エンジン:単気筒2ストロークエンジン
世の中には「知るとびっくりするバイク」があります。
今回ご紹介する「ベスパ・150TAP」は、まさにそれ。
珍車コーナーにふさわしい一台です。
ベスパ・150TAPの「TAP=Troupe aéroportée」はフランス語で
「空挺」を示します。
つまりこれ、軍用ベスパなのです(見ればわかる)。
車体左側に架装されたアメリカ製M20 75mm無反動砲は、
「左手でシフトチェンジするベスパで、走行中にどうやって撃つんだ」
と思っちゃいますが、
さすがに走行中で発射することはありませんでした。
このベスパは、無反動砲を載せた車両と、
砲弾を積んだ車両の2台1組で運用されたそうです。
パラシュートで2台と兵士2名を降下させた後、
無反動砲を取り外し、砲用の三脚に据えてから
(この三脚もベスパに装備)発射していました。
要するに、無反動砲の輸送用バイクだったのです。
イタリアのバイクですが、開発したのはフランス。
1950年代になんと500両以上が作られ、各植民地に送られたとされています。
それにしても
「ベスパのあの少なめなサスペンションストロークで、
戦場の過酷な環境を走りきれたのか」
「トラブルはなかったのか」
など、いろいろ心配になってしまいました(笑)。