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【福島】六十里越『雪割り街道』ツーリング 攻略ガイド

  • バイクのツーリング記事
  • 2021.06.18

【ミッドガルド ツーリング クラブ】vo.9 今回はまろうどさんに豪雪地域のツーリングレポート頂きました。スノーシェッドを改めて見ると、こんなに綺麗なものだったんですね!

越後山脈は、国内有数の豪雪地帯です。その山脈を越える道は、とても奇異な景観を生み出しています。


豪雪地帯って、いったいどれくらい雪が積もるか知っていますか?


数年前の真冬に、大学生だった娘が雪かきのアルバイトに行った時の話です。


数名の友人達と一緒に、地元の方に案内されたのは何もない雪原でした。


「ここら辺を掘ってください」


地元の方が指し示す場所を掘り始めて2〜3時間後、スコップの先端が硬いものに当たりました。


「ここ…何かあるみたい?」


みんなでその場所を掘ってみたところ、太い金属でできた空色のパイプが出てきたのです。


「なんだろう、これ?」


「もう少し掘ってみると、それが何かわかると思うよ」


思いあぐねる大学生達に、地元の方が答えました。


形が少しずつ見えてくると、1人の大学生が首を傾げながら友人に問いました。


「これって、ブランコの1番高い部分じゃないの?」


そうです。ここは児童公園のブランコの真上だったのです。


雪は、ブランコの高さの遥か上まで積もっていたのです。


自然解凍を待っていると、子供達が遊べるのがずっと遅くなってしまうので、毎年大学生に雪かきを頼んでいたのです。


ここ、福島県只見町は年間降雪量十数メートルの豪雪地帯です。


ブランコが埋まるほどに雪が降るこの土地から、険しい山岳部を越えて新潟県魚沼市に抜ける道が、『六十里越 雪割り街道』と呼ばれています。


ここは、凄まじい絶景を見ることができるルートです。


私が個人的に選ぶ絶景ワインディングは


  • ・日光霧降高原道路

  • ・磐梯吾妻スカイライン

  • ・六十里越 雪割り街道

  • の3つのルートです。

ビーナスラインや志賀草津高原ルートも絶景を見られますが、ワインディングという点では六十里越に敵わないと思っています。


巨大なダム湖の周囲を取り囲む断崖絶壁の上を行くワインディングロードは、皆さんの日常とかけ離れた構造をしています。


そのとっておきのツーリングルートを、池澤まろうどがご案内いたします。

  • 絶景ワインディング【六十里越】

訪問したのは6月9日の水曜日でした。


梅雨の中休みのような貴重な晴れ間を使って六十里越に向かいます。


私の自宅は関東平野の北部にあります。

栃木県は、日本で1番平野の広い県なのです。


広大な水田が遥か向こうまで広がっています。


水田の中に町があるのが栃木県の特徴ですが、皆さんは山の中に町があるイメージですよね。


自宅から六十里越に向かうには、栃木県と福島県の境にそびえる帝釈山脈を越えて行きます。


塩原温泉郷を抜けて行くルートと、鬼怒川温泉郷を抜けて行くルートがあります。


どちらを選んでも、結局合流しちゃうんですけど。


今回は、鬼怒川温泉郷を抜けて行きます。


五十里ダムによって作られた五十里湖畔を通って行きました。


最初の五十里湖は、1683年の大地震によって鬼怒川が堰き止められてできた湖でした。


その五十里湖は、40年後に決壊して五十里湖大洪水を引き起こしました。


現在は、五十里ダムのおかげで、決壊の心配はありません。


この日は晴天に恵まれていたため、青い空と青い湖がとても美しかったです。


さらに進むと、福島県南会津町に入ります。


田島の交差点を左折して、只見町方面へ向かいます。


コンビニやガソリンスタンドはこの先少なくなるので、田島で済ませておいてください。


国道289号線は、意外にも平坦で、真っ直ぐな道が続きます。


しかし侮ってはなりません。


この道は、会津高原だいくらスキー場のゲレンデの脇を通るんです。


それだけ標高が高く、真冬はスキー場と同じ量の積雪がある道なんです。


雪のない季節に行くと、そんなことは信じられない道です。さらに進むと、只見町に入ります。


只見駅の入り口の交差点を左折すると、国道252号線です。


六十里越は、ここから始まります。

すぐにダム湖の脇を通ります。


ここは、ダムが2つあって、ダム湖も2段になっているんです。


この写真は、下側の只見ダムの只見湖です。


周囲の山が湖に映っています。


正面奥に見えるのが、田子倉ダムです。


近づいていくと、そのダムの巨大さに驚くことと思います。


六十里越は、田子倉ダムの直前で右に急カーブして、ヘアピンカーブをいくつもクリアして、一気にダムの上まで登ります。


ここだけでも走りを楽しめますが、この先が絶景ワインディングになります。


でも、慌てないで一休みしましょう。


ダムの上に、駐車場とトイレ、レストハウスもあるんです。


その駐車場から見る田子倉湖も田子倉ダムも絶景ですよ。


ここで身体と心をほぐしたら、絶景ワインディングに出発します。


《注意点》


トンネルは、出口まで確認してから進入する!


六十里越の田子倉ダムに近いトンネルは、とても狭いんです。


しかも、入り口がカーブになっているため、トンネルの中が見えません。


もし大型トラックがトンネル内を走行していたら、バイクでもすれ違うことが困難なほどの狭さなのです。


数年前に、トンネル内を目視確認しないで進入したバイクが、大型トラックのタイヤに巻き込まれるという痛ましい事故がありました。


減速や一時停止を行い、耳と目で安全確認するのはツーリングの基本です。

  • ガードレールが無い! その理由は…

トンネルを抜けると、ダム湖沿いの断崖絶壁の上を、テクニカルなコーナーが続きます。


浮砂があったりして滑りやすい路面ですので、ここではサーキットごっこはしないでください。


ツーリングに適して走り方を覚えてから、六十里越に来てください。


まず、外足加重と重心移動をしっかりやって、バンク角を浅く取ります。


適切なギアを選択して、アクセルを開けてトラクションを掛けます。


そして、タイヤのグリップを十分に引き出すように走ってください。


湖が見えるところは何処も絶景です。


もの凄く高所感を味わえる道なので、お尻の穴がヒュって締まるのを楽しむこともできます。


でも、この景色に違和感はありませんか?


普通ならば絶対にあるものが映っていないんです。


ガードレールがないんです。


六十里越のコースアウトは、即、ダム湖へのダイブになります。


そんな危機なルートなのに、転落事故を防止するガードレールが設置されていません。


もちろん理由があります。


あまりにもたくさんの雪が降り積もるため、雪の重みでガードレールが剥ぎ取られてしまうからです。


だから、写真のように頑丈なコンクリートで凸凹を作って、ガードレールの代わりにしているんです。


でも、バイクの転落事故防止にはならないと思います。


《注意点》


豪雪地帯の路面は平らではありません。


大小の凹凸があり、とてもバンピーです。


なので、普段のペースで走ると外側に膨らんで行きます。


もし、オーバーランすると、数十メートル下の湖にダイブすることになります。


ペースを抑えて走ることと、イニシャル調整を低めにしておく事をお勧めします。


写真中央に、只見線の旧田子倉駅跡があります。


秘境駅で有名だったところなので、ご存知の方も多いと思います。


こんな絶景の中を、列車で走れたのはすごいことですよね。
  • これが醍醐味!スノージェットを見ながら走る

この六十里越は、雪に道路が削り取られないように、至る所に長大なスノーシェッドが作られています。


豪雪地帯に挑む、人類の叡智の結晶だと思います。


私個人的には、中国の万里の長城に次ぐ長さの巨大建造物だと思っています→違います


それくらい凄いルートなんです。


スノーシェッドの窓から絶景を見ながら、ワインディングを走るって、めちゃくちゃ凄いと思いませんか?


《注意点》


六十里越のスノーシェッドは、大型トラックも通ります。


私が訪問した時は、平日ということもあり、たった1台の車としかすれ違うことがなかったので、いろんなところで撮影できました。


しかし、土日など交通量が増える時は、駐車する時には細心の注意を払ってください。


長いスノーシェッドも終盤になると、窓の外を滝のように水が流れ落ちる場所があります。


本来は、スノーシェッドの下を流れる川でした。


毎年毎年、雪解けと一緒に流れ落ちる石が詰まってしまい、今ではスノーシェッドの上から滝のように流れています。


この滝の水量がかなりあるので、見応え十分ですよ。


この滝の先にあるトンネルを抜けると、新潟県との県境になります。

トンネルを抜けた途端に、下り坂の急カーブが続いているので、十分に減速して走行してください。


新潟県に入ると、また渓流沿いの道になります。


スノーシェッドの色も変わるんです。


朱色のスノーシェッドと清流のコンビも綺麗ですね。


お腹が空いてきたので、道の駅に向かいます。


入広瀬の道の駅でお蕎麦をいただきます。


心と身体を休めて、お腹を満たしたら帰路に着きます。


帰りは何処を通って行こうか?


いろんなルートを自由に選べるのが、ソロツーリングの醍醐味ですね。


池澤 まろうどは、ライディングテクニックを通じて皆さまの無事故、無違反、無事帰宅を応援します。

制作・協力

池澤 まろうど

バイクの窓口編集部

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